Turndog~ターンドッグ~の投稿作品一覧
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――――――――――彼女に惹かれたのは、いつからだったろうか。
――――――――――彼女に魅せられたのは、何がきっかけだったろうか。
細かいことなんて何も覚えてない。唯気づいたら彼女に惹かれて、彼女に魅せられて。
恋の病を――――――――――患って。
自分でも馬鹿だと思った。現世の人間を愛さず、平面...【ルカ誕】2年越しの想い【ルカさん5周年だZE!】
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「ぐあああ!!?」
「ぎゃあああ!!」
「こ……この化け物娘が!!」
村を出て数日後。流歌は数十人のチンピラに絡まれていた。
「グルルルルル……!!」
威嚇の唸り声を上げる流歌。しかしその顔には疲弊の色が見えていた。
(かれこれ50人くらい倒した……かな……? ……その割にはなんか減ってない……)
...四獣物語~魔獣少女ルカ⑥~
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―――――どれくらいの時間がたったのか。
「……はっ!!?」
私は突然に意識を取り戻した。
「……ここは……?」
えっと、私どうしたんだっけ。
そうだ、確か村長と楽さんの話を聞いて、そのまま飛び出してきたんだ。
それで確か崖から落っこちて、身体が岩に突き刺さって―――――
「……――――――――――...四獣物語~魔獣少女ルカ⑤~
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《――――――――――へえ、これは珍しい。こんな“得物”が手に入るなんてね…………》
――――――――――誰かが私の耳元でつぶやいている。
ぐぐ、と体を起こすと、そこには赤い髪の少女が。
私よりも少し年上ぐらいだろうか……二つに結った髪が渦を巻いている。
私が起き上ったことに気付いた彼女は、小さく嗤...四獣物語~魔獣少女ルカ④~
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お母さんの葬式は、私と楽さん以外誰も出席しなかった。
楽さんが慰めてはくれたけど、正直心は晴れない。
私にとっては、お母さんが最大の心のよりどころだった。
虐められた時も、馬鹿にされた時も、いつだって慰めてくれたお母さん。
お母さんなしで、これからどうやって生きていけばいいんだろう……。
葬式が終わ...四獣物語~魔獣少女ルカ③~
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「あっち行け! 化け物!!」
そんな言葉とともに、私の額に石が投げつけられた。
石を投げつけた少年たちは罵声を浴びせながら走り去っていく。
…………でも、反論はできない。
だって事実、私は化け物なのだから。
私の名前は流歌。性は―――――ない。この村では、相当裕福な家でなければ名字など与えてもらえな...四獣物語~魔獣少女ルカ②~
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――――――――――獣憑きには、いくつかの種類があると言われている。
確認例が一例しかないようなものもあるが、大雑把に分けると三つの型に分けられる。
一つは憑依型。死んだ人間の体に獣の魂が宿ることで、獣の力を宿して蘇ったもの。人間と獣の心が同調することが大事らしい。例えば―――――どちらも人間が憎い...四獣物語~魔獣少女ルカ①~
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軽い。軽い。体が軽い。
なんということでしょう。まるで羽根が生えているかのように体が軽い。
これも機械心臓のおかげなのだろうか。それともテトさんの……?
どちらにせよ、先生曰く『あと三日ぐらいで退院できる』そうだ。三日後が楽しみだ。
楽しみで楽しみで眠れなくて、私は夜中だというのに廊下をぽてぽて散歩...四獣物語~大砲少女リン⑤~
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《―――――――――――――――起きな。起きなよ》
『……う……?』
―――――誰かの声で、目が覚めた。
ここはどこだろう。真っ暗。
手術は―――――終わったのだろうか?
辺りを見回すと、そこに見慣れない人影があった。
紅い髪をツインテールに巻いた女の人。私より少し年上ぐらいだろうか。
《よかった。...四獣物語~大砲少女リン④~
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「……これより、ヒト心臓形状式機械心臓移植術を開始する。お願いします」
『お願いします』
「じゃあ始めるぞ、メス!」
リンとキヨテルの会話から1週間後。リンの機械心臓移植手術が始まっていた。
「……よし、心膜を剥離するぞ。メッツェン!」
「ハイ!」
軽やかに手術を進めていく。後ろで作業をしている手術...四獣物語~大砲少女リン③~
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窓の外を枯れ葉が舞い、その枯れ葉を木枯らしが吹き飛ばしていく。
日に日に少なくなっていく木々の葉っぱは、まるで私の命のよう。
―――――そんな枯れ木のような私の人生は、もう14年になる。
こんこん、と病室のドアがノックされた。
重い音を立ててドアが開く。ずごごごごごごご。
大丈夫なのでしょうかこのド...四獣物語~大砲少女リン②~
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―――――生まれた時から、私は外の世界というものに全く触れたことがない。
もっと遊びたい。もっと外の空気を吸ってみたい。―――――それだけの願いすらも、この私の弱々しい心臓は叶えさせてくれない。
私が知るのは、無機質な病室と私につながる点滴、あとは先生や隣の病室の患者さんだけ。
外の世界と、外の...四獣物語~大砲少女リン①~
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――――――――――どれほどの時が経っただろう。
私は再び意識を取り戻した。
暗い。何も見えない。でもなんだかいい香りがする。
次第に目が慣れてくると―――――何だか花の様なものが見える。どうやら棺の中のようだった。
《パァアア―――――――――――――――――――ア―――………》
突然クラクション...【カイトファン注意】四獣物語~昆虫少女ミク⑤~
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《――――――――――起きろ。起きなよ》
……誰………?
―――――私はいったい、どうなったのだろう。
作業員に突っ込んでいって、突き飛ばされて、ショベルカーに思い切りぶつかったことまでは覚えている。
頭に凄まじい痛み、そして視界の周りに紅いモノが飛び散って―――――そこで記憶が途切れている。
ゆっ...四獣物語~昆虫少女ミク④~
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その日の晩。
私は家に帰って、一人でぼ~っとしていた。
私は今一人暮らしをしている。両親は数年前に家にできたオオスズメバチの巣を自ら撤去しようとして、オオスズメバチの逆襲に遭い亡くなった。
まだ小学生だった私を、親戚は皆厄介者扱いした。『虫好きにろくなやつはいない』なんて言って。
何でも私が生まれる...四獣物語~昆虫少女ミク③~
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《―――――バキンッ!!》
『あ痛ぁ!?』
後頭部にいきなり衝撃を受けて、私は思わず女の子らしくない悲鳴を上げてしまった。
振り返ると、男子二人がケタケタと下品な笑い声を上げながら逃げて行った。
「『会いたい』だってさ~!! 誰に会いたいのかね!?」
「や~い、キチガイチック―!!」
小学生か。
…...四獣物語~昆虫少女ミク②~
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「ひっ、ひぃぃぃ……!! やっ、やめてくれええええええ!!!!」
私は人間が大嫌いだった。
『うるさい。ホントうるさい。あれだけ町の人をいじめておいて、今さら命乞い?見苦しいったらありゃしないわね』
取るに足らない理由で他人を虐めて、陥れて、騙し抜く人間が大嫌いだった。
「ど……道路を通すために、町...四獣物語~昆虫少女ミク①~
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――――――――――『獣憑き』――――――――――
―――――あなたは、そう言った存在をご存じでしょうか。
私達の世界では、『獣憑き』と言えば動物などの力をその身に宿した、悪魔憑きの人間の一種―――ということになっています。
強力な獣の力を揮える代わり、その力の制御は非常に難しい―――――そのことか...四獣物語~プロローグ~
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やあ諸君。吾輩は猫又のロシアンである。
しかしメイコには驚かされたものだ……奴の潜在音波とやらがあれ程まで怪物級の大技だったとはな。
思えばこの町に来て初めてであったのも奴だった。あの時も驚かされたが、仮にあの時あの潜在音波を放たれていたら、吾輩はあの時点で猫又の力を解放していたかもしれんな……。
...ロシアンのデータファイル⑦
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「へぇ……清花ちゃんと会ったか!」
「はい、彼女が置き忘れたシルルスコープ届けてくれて、それを追いかけてですね」
「どうだ? 彼女、いい子だったろ?」
「なんかターンドッグさんが言うといかがわしく感じるんですが…ええ、いい子でしたよ!」
「なんでいかがわしいの!?」
謎な会話を繰り広げる俺と雪りんご...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版④~
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『……随分とまぁあちこち回ってきたみたいだな』
「!」
部屋に戻ってみると―――――月を背に、碧い焔を揺らす猫又が座っていた。
「なんだ、珍しいなロシアン。お前の方から来るなんて」
『散々珍しいといわれた貴様に言われたくはないな』
「ぬぐ……誰から聞いた?」
『いろんな奴からだ』
ゆらゆらと尾を揺ら...dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-6~年収め:どっぐちゃん・ロシアン~
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かなりあ荘に戻ってきた俺たちは、することもないのでとりあえず外に出てみた。
すると―――――
「ふんふん、スコープの注文ね。今すぐ材料用意できる?」
「あ、明日になれば……元旦から申し訳ないんだけど……」
「へえ、いいじゃん縁起良くて! 明日は本店の方もすっからかんだから、まさしく来年最初のお客様よ...dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-5~年収め:ゆるりんてぃあ+ちず~
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「Turndogじゃない……珍しいわね、こんなとこで会うなんて」
そう言ってルカさんは近づいてくる。とうとう4回目だ。創造者が想像した世界を散歩して回るのがそんなに珍しいかおまいら。
いつもの出勤用バッグに、鼠色のピーコートを羽織って、桃色の手袋をつけている。それでもやっぱり寒いのか、顔が少しばかり...dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-4~年収め:ルカ~
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「さて……ミクの話じゃ、夜までルカさんは戻ってこないんだっけ」
「それまでどうやって時間を潰すの?」
「んー……あすこ行くか!」
「どこよ?」
「町はずれの……『あいつ』のバーだよ」
バー『whine&wine』。
即ち―――――ハクの店のドアを軽くたたいた。
「ハクー、いるか? 入るぞー……って…...dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-3~年収め:ハク・グミ~
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『……うーむ』
ヴォカロ町に到着早々、俺は一つ唸り声を上げた。
「……人っ子一人いねえな、この時期は」
「そりゃあ、町の人も忙しいもの」
俺たちが降り立ったのは町の中心部―――――センターステージ。普段はミク達が歌を歌い踊りまわって大騒ぎしている場所だが、さすがにこの師走月末に騒いでいる人はそうそう...dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-2~年収め:カイト・ミク・リンレン・メイコ
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……一年というのは早いものである。
気づけば木枯らしが吹き、昆虫は姿を消し、俺は生き甲斐を失い、どっぐちゃんは自らの髪にくるまり、ルカさんは灰色のコートを着て出勤するようになる。
師走―――――12月とはそんな時期だ。人肌恋しくなるぐらい寒く、それ以上に忙しい。
そんな冬の時期――――――――――
...dogとどっぐとヴォカロ町! Part11‐1~年収め:しるる・清花・ネル~
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「うにゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅ…………………………」
ミクが頭を抱えて悩んでいる。
『TA&KU』との戦闘でもなければ悩むこと自体が殆どないあの子が唸りながら悩むとすれば。
まぁ、『あの子たち』についての問題かなんかあるんだろうな。
そう思いながら、久々の休暇をとった私は紅茶を静かにすすっていた。...【リンレン誕】愛する双子に追憶の音を
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―――――一瞬、普通の人間だと思った。
それぐらい、彼女の姿には違和感がなかった。
袴が私服代わりだといってしまえば普通の人間で通用しただろう。
だがその足はふよふよと浮いていた。
その瞬間、彼女が幽霊であることを理解し、一瞬体が固まった。
だがどっぐちゃんは明るい顔をしている。
そうか、そうか。こ...dogとどっぐとヴォカロ町! Part10-2~15人目~
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雨も冷たくなってきた、12月中旬のある日のこと。
俺はかなりあ荘一階のしるるさんの部屋の横で、どっぐちゃんと一緒に佇んでいた。
元々の用は、『ネルネル・ネルネクリスマスセール! 大特価で放出しちゃうぞSP!!』という、アイテム割引セールについて相談しようとしていた。
……が。
「……この話声……」
...dogとどっぐとヴォカロ町! Part10-1~邂逅~
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リュウトたちが去って行ったその晩―――――。
バー『whine&wine』の扉が勢いよく開かれた。
バーテンのハクがびくりと身を震わせながら入口の方を見てみると。
「……なんだ、メイコさんですか。脅かさないでくださいよ……」
「あははははははごめんごめ~ん、許してちょ~☆」
「……べろんべろんですね...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅷ~エピローグ~
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巨大な火の手が上がっていた。リュウトのドラゴン体が、爆発炎上していたのだ。
そのドラゴン体の握りしめた両手の間から、いろはが這い出してきた。
「う……うう……はっ!? リュウ……リュウっ!!」
慌てて燃え上がるドラゴン体の頭部まで跳んで、強固な頭蓋骨をこじ開け、リュウトを助け出すいろは。
だが―――...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅶ~終結~
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―――――メイコ―――――
―――――おい、メイコ!―――――
『メイコ……また町民とケンカしたのか!?』
「……だってマスター」
屈強な男たちを足蹴にしながら、あたしは後ろからやってきたマスターを文句ありげな目で見つめた。
『こいつら、ミクやリンの事を馬鹿にしたのよ!? 『ロボットのくせにうざって...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅵ~メイコ、再誕~
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「……………はっ!!?」
突然ルカが山の向こうを見つめて立ち止まった。
「? ルカ、どうしたの?」
「……ミクおねえちゃんが……危ない……!!」
「え!? ……あ!?」
ようやくメイコも気づいたようだ―――――山の方向、町はずれから異様なほどの音の波が襲ってくることに。
「行かなきゃ……行かなきゃ!...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅴ~ルカちゃんの本気~
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「へえ? ルカさんが子供にねえ……どうなってるのか調べてみたいなぁ……」
「もう少し落ち着いたら調べさせたげるわよ、ネル」
「ネルお姉ちゃん……あんまりいじられたくないよ……」
「う゛っ!!? う……なんて破壊力……このあたしが良心の呵責に苛まれるなんて……」
『改造専門店 ネルネル・ネルネ』のカウ...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅳ~Queen of VOCALOID・HATSUNE MIKU~
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「こ……この子があの巡音君だというのかね……?」
「信じたくないだろうけど……まぁ、その通りよ」
呆れ返ったようなメイコの言葉に目を丸くしているのは、ルカの上司・橋本喬太郎捜査一課課長だ。
メイコの横で、幼女となったルカが首をかしげている。
「めーちゃーん、このおじさん誰ー?」
「おじっ……!!?」...仔猫と竜と子ルカの暴走 Ⅲ~ミクの決意~