檸檬飴の投稿作品一覧
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手に持っている缶珈琲がいつの間にか空になっていた。
そんなに勢い良く飲んだつもりなかったのに。
首を傾げながら点滴を連れて棟を徘徊していると、子供達と目があった。
目があった子供は手をたたき、僕を指差して笑った。
「あのひとジュースこぼしてる!」
「ほんとだ。ふくがぬれてる。きったなーい。」
「うわ...ジェシカ
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国道沿いに対峙する僕達の閉じた未来。
息を弾ませながら、屋上階まで駆け上がる。
扉を開き、真っ直ぐフェンスまで歩く。
その途中で缶コーラが目に映った。
ポイ捨てする奴なんて、この世界にはたくさんいるんだ。
そういう奴は良心は痛まないのだろう。
道徳なんて死んじまえ。
そう呟いて缶コーラを思い切り蹴り...再教育
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あれ、おかしいな。
何で僕のことを無視してるんだろう。
何かしたっけ。
いつも君のことを考えてあげていたじゃないか。
瞳からポロポロと涙が溢れる。
それでも君は僕のことを見ない。
あぁ、そうか。
泣いたって無駄なんだね。
じゃあ、もう終わりにしようか。
君に好かれていた、あの人気者の僕はもういない。...334人の敵
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月光が純白のカーテンを通して輝いている。
カッターを置いて立ち上がり、部屋の電気をつけた。
純白のカーテンが照明を反して月光は私の目には映らなくなった。
リストバンドを付け、ベッドの端に座り、膝をかかえる。
…何でこうなったんだっけ?
深々と意味の無い考えに沈んでいく。
…心身に異常があるから、だっ...キミナシビジョン
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バイトが終わって外に出ると、日が暮れていた。
風が吹いていて、昼間とは比べ物にならないくらい寒くなっていた。
手に息を吹き掛け、暖めようとしたが、全然暖かくならない。
…酸欠になりそうだ…
息を吹き掛けて手を暖めるのは諦め、コートのポケットに手を入れた。
…こうすると、姿勢が悪くなるんだよな…
…ま...君が悲しい時には
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カーテンを勢いよく開ける。
天気は曇り空。
今日は洗濯する予定だったんだけど…
仕方無いと思いながら、洗濯物を袋に詰める。
コインランドリーは家から少し遠い。
でも、洗濯をサボった俺が悪いし。
適当に着替えて家を出る。
街並みは一昨日と比べて、随分変わった。
クリスマスムードで、イルミネーションやク...ペアリング
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「ねぇ、ルキ。」
「んー?」
「今日何の日か知ってる?」
ソファーでゆっくりとくつろいでいるルキに声をかけた。
「えーっと……10月31日?」
ルキはテレビから目を離すことなく答えた。
私はその言葉に頭を横に振りながら答えた。
「私は日にちを聞いた訳じゃないの。何の日か聞いたの。」
「何の日?………...Happy Halloween
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「ただいま…」
誰もいない部屋に、帰宅を告げる。
特に意味はない。
習慣化している行動。
ただ、それだけ。
今日も疲れる一日だった。
クレームを処理したり、上司のご機嫌をうかがったりするだけの仕事。
それを毎日毎日、何回も何回も繰り返す。
疲れないはずがない。
スーツを脱ぎ、ハンガーに掛ける。...なまえのないうた
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日曜日の朝、俺はミクの家で本を読んでいた。
「…ねぇ、クオ。」
「ん、何だよ。」
半分程読んだところで、ミクに声をかけられた。
「これ、何?説明して。」
目の前に突き出されたミクの手には、俺とミクじゃない女が仲良さげに手を取り合ってる写真があった。
「何って……写真?」
「そういうことを聞いてるんじ...キミなんて、
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「ふぁ~…眠……。」
閉じそうになる瞼を手でこする。
髪の毛がグチャグチャだ。
手で整えようとするが、なかなか直らない。
……いつもより、寝癖がひどいかもしれない。
そう思い、急いで洗面所まで走る。
鏡を覗くと、やはりあちこちに髪の毛が跳ねている。
…寝相、それほど悪くないはずなんだけどなぁ。
鏡の...距離を縮める方法
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†過去編†
「姉さん、いる?」
ドアをノックして、返事を待つ。
「入っていいわよ。」
ドアを開けて中に入る。
「…話があるんだ。」
「前の話の続きね。いいわよ。」
「姉さんが吸血鬼になったのは、いつ?」
「んー、今のメイトより少し幼いくらいかしら。」
驚いた。...真っ赤なキャンディ†13†
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「さっすがレンきゅん!!似合ってる~☆」
「………………。」
「もう可愛い!!頬擦りしていい?」
「…………死ね。」
「ツンデレだな!レンきゅんのツンデレhshs…!」
「寄んな!!殴るぞ!!」
「レンきゅんに殴られるなんて嬉しいっ!さあ、どうぞ!」
「………この変態。」
「またそんなこと言って~、...仕事②
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「もう!何なのよ!」
今日は私の誕生日。
みんな覚えてくれていて、プレゼントももらった。
スゴく嬉しかった。
だけど、アイツだけ………。
もう夜になのに。
「誕生日くらい祝ってくれたっていいじゃない!」
さっきまでの楽しい気持ちと真逆のイライラした気持ちが溢れてくる。
全部全部アイツのせい。
「ミ、...ミク誕生祭
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「ねぇ、クオ。」
「ん、何?」
「明日海行くから。」
「ふーん…いってらっしゃい。」
「クオも行くの。」
「え、面倒くさ。」
「準備ちゃんとしてね。」
そう言って、ミクは部屋を出ていった。
思うんだけど、毎回俺の意思無視されてるよな…。
………仕方無い。...海 ver.檸檬飴
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さぁ自問自答の始まりです
「ミク、次はこの曲歌って。」
「……はい。」
私はVOCALOID。
歌うことが此所に在る意味。
最初はそれで良かった。
仕方がないと思っていた。
でも最近はそれでいいのか疑問に思っている。
「ん、いい感じ。……じゃ、ちょっと出掛けて来る。」
そう言って、マスターは準備をし...Specification
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「……疲れたな…。」
誰もいない部屋で呟いた。
今日の朝、あんなことがあったからか、ルカは帰りはずっと無言だった。
静かになったのは良かったが、チラチラと見てくるのは止めてほしかった。
「…今日はもう寝るか。」
いつもならまだ寝ない時間だが、まぁいいだろう。
「……おやすみ、姉さん。」
棚の上にある...真っ赤なキャンディ†12†
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「ミク。」
「何?」
「好きだよ。」
「いきなりだね。」
「…何か言いたくなったから。」
「そっか。……私も好きだよ。」
こんな幸せが、ずっと続くと信じていた。
でも………
アナタが消えてしまった。
「…カイト。」...Hope
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「あら、星が出てるのね…。」
ふらふらとした足取りで夜の街を歩く。
視界が少し歪んでいるが、気にしない。
もう少しで駅に着く。
「んー飲み過ぎたかしら…?」
今日は会社の飲み会だった。
私は飲む気はなかったのだけれど、上司に無理矢理飲まされた。
別に不味い訳ではなかったので、吐き出しはしなかった。
...バカの飲み薬
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「…本当に行くの?」
「あぁ。」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。心配するな。」
得意げに呟いた。
こんな強がり、ミクにはバレてるんだろうな…。
『次は……』
アナウンスが告げるのは、俺が乗る電車。
別れが近付く。
サヨナラを言うために口を開く。...タイムマシン
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何だコレ?
朝、家を出ようとしたら、家の前に大量のナスがあった。
「グミ、このナスは何だ?」
「え?ナスって何のこと……って何それ!?」
「拙者もわからないんだ。」
「……あ、お兄ちゃんの誕生日プレゼントじゃない?」
「誕生日プレゼント?」
「うん。」
今日は拙者の誕生日だったのか…。
すっかり忘れ...がくぽ誕生祭
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君と出会ったのは、桜が綺麗に咲いている頃だった。
白いワンピースを着て、公園の片隅に座り込んでいた。
そんな君を見た瞬間、僕の身体中に電気が走った気がした。
「初めまして。」
思わず、声をかけた。
君はチラッと此方を見て、直ぐに目を反らした。
「僕の名前はカイト。君の名前は何?」
聞いてから後悔した...三つ葉のクローバー
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「これ、歌ってみてくれ。レン、リン。」
「わ、わかりました。」
「まかせてよ、マスター。」
やっぱり…、緊張しちゃいます。
歌うことは大好きなんですけど、プレッシャーが…。
「「♪~♪♪~…」」
…なんとか、歌えてます。
「♪~♪♪~♪」
「あっ…。」
あぁ…、少し出遅れてしまいました…。...ヘタ恋歌
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「ねぇー。」
「……………。」
「ねぇってば。」
「……………。」
前にいる君に声をかける。
でも君は返事をせずに、どんどん先に行ってしまった。
…ちゃんと此方を見てよ。
僕は君の前まで走った。
そして君の顔を覗き込んで声をかけた。
「聞こえてるんでしょ?」...ラブアトミック・トランスファー
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今日は近所で小さなお祭りが開かれる日だ。
俺は今からそのお祭りに、グミを誘いに行こうと思う。
本当はもう少し前に誘おうと思ったんだけど、タイミングが合わなくて誘えなかった。
……決して俺がビビッて誘えなかったわけじゃないからな。
タイミングが、タイミングが、合わなかっただけなんだからな!!
そんな事...金魚 ver.檸檬飴
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紫陽花が咲いてる道を、あなたと一緒に歩く。
いつもは手を繋いで歩く、この道。
でも今日は手を繋がず、お互いに距離をあけて歩く。
「……………。」
あなたは黙ったまま。
私を呼び出したのはあなたなんだから、早く用件を言って欲しい。
その用件が私には何となくわかるけど。
「…………なぁ、」
「……何?」...紫陽花 ver.檸檬飴
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★グミ★
「カイト先輩!!カイト先輩!!」
「ん、グミ?どうした?」
「好きです!」
「ハハッ、ありがとう。」
「『ありがとう』じゃなくてですね、」
「あ、今日朝練あるから先に行くわ。」
「え、ちょっ…」
「またな。」
「あ、あ~…」...グミカイ ver.檸檬飴
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「ねぇ、蛍見に行かない?」
「あ?」
俺、今勉強してるんだけど。
「だから、蛍見に行こうって!」
「嫌だよ、面倒くさい。」
いつも唐突過ぎないか。
「今しか見れないのよ。」
「テレビで見れるじゃん。」
蛍のDVDがあるかどうかはわからないけど。
「それはっ…。」...蛍 ver.檸檬飴
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「はい、全員集合して!!」
「何ですか、マスター。近所迷惑です。」
「少し大きな声を出しただけなのに。グミは厳しいなぁ…。」
「当然のことを言っただけです。」
「ねぇねぇー、何の話してるの?」
「リンちゃんもマスターに言ってあげてください。『うるさい』って。」
「酷いよ…グミ…。」
「ますたーうるさ...七夕 ver.檸檬飴
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「あっつ~…。」
天気予報では、今日は雨だった気がするんだけど。
何でこんなに快晴なんだろう…。
太陽が嫌いだとかいうわけじゃないけど、これだけ暑いとさすがにイライラしてくる。
「早く帰ろう…。」
呟いて、歩くスピードを速めた。
「ただいま~。」
返事が無い。
どこか、涼しいところにでも行ったのかな...暑いときは、
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俺はルキの妹の…えっと、…名前なんだっけ。
……あ、ルカ。
ルカだった。
今、そいつと学校に向かっている。
いろいろと話してくるけど、何故かルキの話が多い。
「兄はいつもふざけてるように見えるけど、本当はすごいんですよっ。」
「…へー…。」
「小さい頃は野良犬から守ってくれたんですよ。」
「…へー…...真っ赤なキャンディ†11†
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『拝啓 グッバイワタシ』
近くにあったプリントの裏に赤いペンで書いた、頭ごなしの机上の空論。
自分でも、何の為に書いたのかわからない。
「……ハァ。」
溜め息をついて、プリントをグシャグシャに丸める。ワタシは一体何をしたいんだろう?
「あのコ、プリントをグシャグシャにして、何がしたいのかしら。」
「...アブストラクト・ナンセンス
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―曖昧被った仮面 もしかして 今まで見せてた それも嘘?
「会いたいの。」
キミにハートを差し出す。
「いいよ。あ、でもお金はちゃんと用意してよ。」
「うん。わかってる。」
あれ?
ハートだけじゃなくて、ダイヤも奪われちゃってる?
「本当に扱い易い。」
あの女はまだ気づいてないのかな?
俺が『お金だ...ポーカーフェイス
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「グミ、誕生日おめでとう!」
朝起きたら大声で叫ばれた。
朝から元気過ぎますよ…。
そういえば、今日は私の誕生日……いえ、製造日でしたね。
「…ありがとうございます、マスター。」
淡々と言葉を返す。
「今日、グミの誕生日パーティー開くから。みんなも来るよ。」
機械の製造日を祝うとか…。
やはり貴方は...グミ誕生祭
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―きみはわたしのもの?
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「あなたが好きです。付き合ってください。」
真っ赤な夕暮れ時に、君に告白した。
君はあまり興味無さげに、「いいよ。」とだけ言った。
私はそれでも嬉しかった。
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あれから私は君の為に全部を捧げた。
大好きな君の為だから、全然...サンセットラブスーサイド
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俺は野球部のエースピッチャー。
期待の星とか言われてる。
そんな俺は今、甲子園をかけた試合をしている。
これに勝てば、甲子園へ出場できる。
「レーン!!頑張ってー!!」
観客席には俺を応援してくれている、リンがいる。
気合いを入れながら汗を拭う。
相手とは1点差。
この回をおさえれば、俺達の勝ちだ。...星 ver.檸檬飴