霜降り五葉の投稿作品一覧
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太陽が一番元気な時間。
マスターが帰ってくるまで、まだまだ余裕がある。
洗濯物はちゃんと干してあるし、さっき掃除機もかけた。
ベッドメイキングもした。
マスターの部屋の窓はもう少し開けておくとして…後は……えーと………。
……無い?終わった?
あ……いやでも買い物はマスターに頼まれてないし。
…やっ...KAITOの種 番外編2(亜種注意)
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カフェモカアイスとその他いくつかのアイスを自転車の籠にいれて風を切りながら走る。
いくつかの出来事を振り返りながら思う。
己の不甲斐無さと、コウの強さ。
二度、助けられた。
とても大きな二回。
落ち着いたつもりでいて、全く落ち着いていなかった。
冷静に成り切れずにいたせいで周りが見えなくなっていた。...KAITOの種16 後編(亜種注意)
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抱きしめていいかな?
あったかくてやさしくて
大切な大切な僕の宝物
ぎゅっと強く
でも優しく
君を抱え込むのが好き
まぁるくふんわりとした
君といる空間が好き
傍にいないとさみしくて
触れれないともどかしい...ぬいぐるみ
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何度もお礼を言い、電話を切って、冷蔵庫へと向かう。
そういえば…買い物しないで帰ってきたのだった。
不安だったら種を植えたのと同じアイスの方がいいと言っていたが。
カフェモカアイスあっただろうか。
見落とさないように冷蔵庫を漁る。
…残り一つ。ギリギリだな。
というか足りない気がするが。
とりあえず...KAITOの種16 中編(亜種注意)
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モカの様子がおかしい。
熱がある。
息も荒い。
とりあえずわかるのは、尋常ではないということ。
泣きじゃくるコウの横で、モカが苦しそうに目を開ける。
「………………ま、す……た…?」
大丈夫か、どうした?
ソファの上にクッションを置き、モカをその上に移動させる。
コウが涙を拭いながらソファに飛び乗っ...KAITOの種16 前編(亜種注意)
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一目見て君に恋をしました
通り雨が降っていて
傘も差さずに髪を濡らした君の姿
俯いて悲しそうな瞳
今にも泣きそうな横顔
その全てに僕は恋した
手をのばしたら触れる距離
でも触れたら壊れてしまいそうで
離れて行く君
小さくなる後ろ姿...一目見て
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久しぶりに夕暮れ前に帰途についた。
珍しく早く家に帰れるな。
…あ。そういえばアイスが残り少なかったはずだ。
買ってから帰るか。無いと文句を言われそうだし。
そう思い至って道を変えた。本来真っ直ぐ進むべき所の角を曲がる。
するとそこには妙な光景があった。
「は、な、し、て、く、だ、さ、い~」
「本当...KAITOの種15(亜種注意)
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陽の光が部屋に差し込んでくる。
暖かい。
ぽかぽかと気持ちが良い。
薄い毛布を手にして窓際へ向かう。
今日こそは昼寝したい。
忙しいのとコウの邪魔で、ここのところ昼寝する暇が無かった。
麗らかな今日。昼寝には最適だ。
陽に当たりながらぬくぬくと眠ろう。
「み」
コウが後ろを付いて回る。...KAITOの種14(亜種注意)
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春、と呼べるほど暖かい。
寒い日も少なくなった。
ただ天気がころころと変わる。ここ最近雨ばかりだった。
久しぶりに晴れた今朝、気分も自然と良くなるものだ。
雨が嫌いなわけじゃないが、しばらく続くと流石に飽きてきて、太陽が恋しくなる。
まぁそう思えるのも雨のおかげだったりするわけだが。
天気が悪かった...KAITOの種13(亜種注意)
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モカとコウを連れて散歩してると、声をかけられた。
黒い…KAITOに。
「あの…ここどこですか?」
……どこ、と言われても…。
涙目になりつつある黒いKAITO。
もしかして、迷子なのか。
手に地図を持っている。見ればいいのではないだろうか。
「……マスターに、地図…渡されたんですけど………マスター...KAITOの種12(亜種注意)
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唯一度の為に 赫い華を咲かせ散る
唯一度のこの瞬間…
数多の華が咲く此処の
目にも留まらぬような隅
血を染め出した赫い色
一輪風に身を任す
華も葉も同じ時を過ごさんと
赫緑の色共に咲く
唯一度の為に 赫い華を誇らせる
唯一度の瞬間の為...相思華
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求めてもすり抜ける
貴方はまるで泡のよう
この手は口は喉は
貴方を求めているのに
ここにはいない
弾けて割れて消えて無くなる
心の中で溢れていく
求めてもすり抜ける
貴方はまるで泡のよう
水が欲しい 声が欲しい...泡
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うーむ…どんなのならばいいんだろうか。
留守番する時間の長いモカとコウのために、暇つぶし用に何か用意してやろうと思い、買い物に来た。
しかし何を買えばいいのか。
確か色鉛筆が大きくて描きにくかったとモカが言っていた。
だから千羽鶴用の小さい折り紙を買おうと思ったのだが…、正直これでもでかい気がする。...KAITOの種11(亜種注意)
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寒い。外に出たくない。
だが横でみーみーと散歩を促す奴がいる。
どうしたものか。
この寒いのに。
大体今日予報は雨だぞ。
氷から生まれただけあって寒さには強いらしい。
だから寒いからと言っても聞かないし、太陽が出ていなくても関係ない。
出たいか出たくないか。それだけだ。
この間外に出てから散歩が気に...KAITOの種10(亜種注意)
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アイスを食べている時に思う。
モカとコウはいつも文句を言わずに出されたアイスを食べているが、好き嫌いはあるのだろうか。
聞いてみるか。
「みっ」
…表情からして見るに、何でもいいらしい。
モカはどうだろうか。
悩んでいるみたいだが。
「……………特に……」
呟く様に言った。
正直モカは表情が読めない...KAITOの種9(亜種注意)
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哭いて泣いてないて
いつになったら涸れるのか
哭いて泣いてないて
いつになったら嗄れるのか
この手が離れ
この言葉は届かず
二度と会うことはない
涙が頬を伝う 途切れない
声が喉を震わす 止まらない
叫んでも呼んでも...泣き声
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だんだん暖かい日が増えてきた。
晴れた日は外に出ようと思える。
「………マスター…」
ん?
「どこか……行くんですか…?」
外に出る準備をしているのが気になったのか、モカが聞いてきた。
買い物がてら散歩しようと思っただけなのだが…。
そうか。こいつら留守番させなくてもいいのか。
行くか?散歩。
「み...KAITOの種8(亜種注意)
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まただ。
「みみ~み、みみ~み、みみ~み、みーみー」
今日一日、コウはご機嫌だ。
ずっと歌っている。
なんかいいことでもあったのだろうか?
凄く幸せそうだ。
こっちまで気分が良くなってくるぐらいだ。
「み、み」
…なんだ?
「みーみ、み!」...KAITOの種7(亜種注意)
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赤い兎がおりました。
青い小鳥と話します。
「幸せの国はどこにある」
「幸せの国はあちらにある」
緑のリスが歩きます。
黄色い狐達と共に。
「幸せの国はこちらかな」
「幸せの国はこちらだよ」
紫鹿が止まります。
桃色小熊と呟きます。...幸せの国
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輝いて
いつもあたたかい
とっても素敵で
誰にだって優しい
いつまでも
素のままの
君でいて
(non title)
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マスターは今、家にいない。
何してるのかとかは知らない。
夜には帰ってくるとは言ってたけれど。
退屈しないようにと色鉛筆と画用紙を置いて行ってくれた。
氷KAITOが苦労しながら楽しそうに絵を描いている。
何の絵かはすぐ分かった。
「みー!」
何アイス?
「み」
バニラか。...KAITOの種 番外編(亜種注意)
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あれから二時間。
状況は今だ変わらず。
あえて言うならラムレーズン色した氷KAITOが疲れて寝たぐらいだ。
…二日酔いするのだろうか。
いくらアイスで酔ったのだとしてもあれだけ酔ってれば明日大変そうだ。
はぁ…。
ため息なんかついてみる。
どうするかなぁ。
結局何があったのかわからなかったし。
そう...KAITOの種6 後編(亜種注意)
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いつもより少し遅く帰宅する。
一つ何かあると何故全く関係のないものまでトラブルを起こすのか。
理解が出来ない。
最近やけに忙しい。
そんな時に限って面倒なことばかり起こるものだし。
ああもう。早く帰ってアイスでも食おう。
どうせ二人にせがまれるんだし。家のドアを開ける。
………静かだ。
寝てんのか?...KAITOの種6 前編(亜種注意)
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疲れた。
それ以外他に言うことがないくらい疲れて家に帰ってきた。
家のドアを開ける。
そんな動作がとても億劫だ。
「みーっ!」
ただいま……。
「………み?」
元気の無い返事に、流石の氷KAITOも異変を感じとったらしい。
一瞬で表情を変えた。
「…み?み?」...KAITOの種5(亜種注意)
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朝、何かに起こされる。
みーみーと鳴くそれは目覚ましかと思ったが、違った。
氷KAITOだ。
時計を見る。四時。
…早起き過ぎる。
モカはまだ寝ているようだ。
つかいつの間にベッドの上に乗ってるんだこいつら。
ソファで寝てただろ。
「みーっ」
あーはいはい。何ですか。...KAITOの種4(亜種注意)
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「みーっ!」
………何だこれは。
昨日カフェモカKAITOを洗っているときにふと思ったことを実践してみた。
氷にKAITOの種を植える。
結果……生まれた。
カフェモカKAITOよりも小さく、カフェモカKAITOよりもよく動く、何か。
「み?」
……み?
氷KAITOはさっきから「み」としか言ってい...KAITOの種3(亜種注意)
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カフェモカからKAITOが生まれて次の日。
今のところメルトしたりとかはしてない。
以外にもカフェモカ以外のアイスも食べるようだ。
アイスを食べてる時、相変わらず乏しい表情が凄く必死に見える。
せっせとでかいスプーンでアイスを掘り返す姿は、横から見ると面白い。
「………っ!」
…慌てて食べたせいで頭...KAITOの種2(亜種注意)
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KAITOの種を貰ったので埋めてみようと思う。
とりあえず家にあっただっつのカフェモカにでも。
冷凍庫に入れるべきなのか迷うな。
よし。冷蔵庫にしよう。
数時間して冷蔵庫の扉を開ける。
…いた。
カップの中で体育座りしてるよ。
カフェモカから生えてきたKAITO。
…色がおかしい。
茶髪だ。...KAITOの種(亜種注意)
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○月×日
僕が消えるまで、後三分。
貴方が歌ってほしくないのならば、僕は歌わない。
痛くて、痛くて。泣きたくとも。
一緒に知った。
一緒に歩いた。
一緒に泣いた。
一緒に感激して、苦悩して。
一緒に笑って、成長した。
向こうの世界に見える貴方の姿。...黒
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□月△日
何度も挑んだ。
何度も諦めた。
何度も、もう止めたいと願った。
それでも君は歌い続けた。
それが唯一の支えで、また挑戦した。
繰り返すことでわかった。
花が必ず咲くように、君の歌は必ず実を結ぶのだと。
君が笑った気がした。
外は赤い色をしていた。...赤
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○月△日
マスターはいつも、僕に歌を歌わせながら、何かしている。
見るなと言われたから、見ない。
マスターはいつも、何かしている時に、日付を確認する。
聞かれても、わからない。
マスターはいつも、空の色を確認して、何かしている。
今日は、青空だと言った。
何をしているのか。
どうでもいい。
“知リタ...青
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○月×日
おはよう。
初めまして。
今日からココで過ごす君。
目覚めの気分はどうだい?
生憎外は雨だけど、君には関係ないかな。
一緒に学ぼう。
一緒に進もう。
一緒に笑おう。
一緒に感動して、絶望して。...白
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なんでなの?
決まっていたの?
サヨナラもしてないのに
サヨナラより辛い現実
血なんかよりも熱い涙
涙なんかより痛いココロ
認めたくなんか、ない
なんでなの?
戻れないの?
キミがいないことぐらい...『バイバイ』
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波が凪ぐ 湖
晩刻の月
一片の蝶が飛ぶ
水面を揺らし
月影に見る 紅い花
蝶が止まり 水に散る
漣立ち 空が滲み
朱に染まる
終末の瞬間思い描き
不死の蝶が舞う...不死蝶
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船が街を出ていく 手紙を乗せて
『久しぶりに…』
三年前のこと
まだ俺は子供で わがままばかり
いつもお前を困らせてた
でもお前はこんな俺に笑って付き合ってくれていた
二人で見つけた秘密の場所も
赤い星も いつもの会話も
どれもが宝物で 輝いていた
三年前のこと...親友へ