ichicaの投稿作品一覧
-
それから僕たちは
無彩を塗りたくって
正常めいた
水溶性の言葉
渦巻く街
それは気化されて見えない
消えない
土砂降りの中で
君は傘を落として
虹を探す...ユウリ
-
衛星は何度も
今世紀最後の快晴を伝えている
廃品回収車のアスファルト揺らす音
もうちょっといたいけど
行かなきゃ
息絶えた街の
何かの塔の向こう
記憶と同じ色したそれを
僕は空だと知っている
嘘みたいだって思うほど...アースレコード
-
街が憂に染まる頃
夜の隅を切った
ビルの窓 揺れる月
風が胸を締め付けた
何もできないまま
今日が終わっていく
息を吸って吐くだけの人生だった
そんなもんだ 僕は
夏を待つ君の
その声だけが思い出せない...遠く夏、紺青
-
南の空に日が沈んで
何億年も経った
覚えてるかい
今日はもうずいぶん遅いから
眠ってると思うけどさ
おやすみ
これから僕はどこへ行こうか
この星がもう長くないとしても
何一つ知らないような顔で
歩いていよう...おとぎの惑星
-
花を待ってた 淡い花を
君の声がずっと遠く揺らいだ
心の底 落ちて行けば
窓の奥が色付く
風が吹けば彼方の春
忘れないように捲ってる
今更だ
喜びも悲しみも全部
全部に蓋をして
しばらくはまともでいられたんだ...紙の散花
-
声を上げた瞬間に
煌めきは失われる
数秒間 忘れないで まだ
加速しては膨らんだ
ガラス玉に身を投げて
再周回 何度だって目指した
戻ることはないさ
鼓動の種を撒いて
そこに咲いた宇宙の花
昨日に手が届けば...Eureka
-
たった一つの空白で全てカラフルにしてしまった
君の宇宙
平行線 向こう側で花が咲いていたって知らずに
夏が終わる
ずっとこんな風に傷つけて
滲んだ指で描いたって今更だろ
きっと
彼方見上げた空に夜光雲が走る
ロケットに乗せたさよならと
このがらくたの歌が...ゴーストロケット
-
あの旅路を思い出せ
そうやって色を重ねて
もうじき夏が顔を出す
どうか褪せないでいて
「朝を待ったまだら猫が
立ち止まって仰いでいる
ふっと風が吹いて
そう 昨日までとまるで違う
そんな今日に手を伸ばして
届かないなって腐ったら...夢想家たち
-
カーテンが風に揺られてあの雲が覗いてる
空だって青いのに
僕は壁の染みを眺めてる
そういえば、昔作った秘密基地を見たんだ
マンションに変わってたんだけど 嗚呼
期限切れの日々を掃いて捨てる
そんな風になれたらいいけどさ
もういっそ
空を飛んでしまえたなら
この歌一つをあげるよ...リル
-
深い水の底
誰かの言葉が潰れていく
現実感のない痛みは棘になって残っている
頭上の色が何処かに重なったようで
理由も言えない
ここじゃ涙の形さえも見えずに
染められないまま見上げた 空擬きの月
それはもう僕みたいだった
波に揺れる
こんな夜は消えたいだけ...ジェリーフィッシュと空擬き
-
枯れた花を見ていた
それがまるで綺麗だった
夕暮れの合図で街が終わっていく
その前に僕は
死んでないだけの数年間
陽が優しいほど自分が嫌になった
ただ、生きてるんだって感じさせてくれ
心の在処を知りたいだけ
そんな有り触れた鼓動を止めても
夕纏った空の底に花笑う...ロストブルー
-
溶けるほどに茹だっていた
伽藍堂な頭上、青
ゆら 揺らぐ視界の隅
雲を探していた
いつか灰色に染まってった心で
「つまんないな」って吐き捨てるだけ
君を描くだけ
きっと 触れられないまま褪せてくんだって
じゃあせめて笑ってくれ
今更遅すぎるなんて言えよ...アッシュ
-
朝空の星みたくなれたらいいと思う
汽車に乗った僕がいた 白い丘の上、一人
水溜まりの空を歩けば淡く灯火が揺れるような
薄明、誰かをずっと待っていた 今も
夕影 凪ぐ夏風
遠い空に花を見ていた
暮れない茜雲に馳せた声さえもう思い出せない
ずっと待った丘の上 錆びたギターを弾いている
汽車に乗って夏を征...ナギ
-
歩くことが上手くなれないまま
夜に置き去りにされて
過ぎてゆく日々を鳴らしている
他にする事もなくて
誰の声も聞こえないような
それくらい遠くに行こう
たった一つが足りてないような
思い出だけ持ったまま
遠く霞む月を見ていた
泡沫の朝に浮かぶまま...あかつきと青