北向の投稿作品一覧
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(A)
揺り籠を知らないので 集められたとりどりの舟
人の児を知らないので 月にかざす宝物たち
(B)
川の琥珀を奏でる魚 目蓋の裏を彩るようだ
森の畔があやして揺れた 運び手たちを待ちながら
(C)
リィロ リィロ お願いを 始まる夜と織り上げよう
リィロ リィロ 星々の 海図を深く描くように
い...タフェタ・ララバイ
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(A)
廃屋の追憶流す 誰かの夢底 白の地平
澄んだ玻璃の出口は落ちる 温もりを呼ぶあなたの足跡
(B)
広がるのはただただ世界 名も知らぬ合図を待つようだ
(C)
織り上げた未来 色を挿し この胸に命を与え続け
何もない永久よ動かして いつか爆ぜる 赤々煉々
(A)
カタコトの時計を回す 棄てられ...赤々煉々
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(A)
音よ絶えないでおくれ わたしの弱さ映さずに
剥がれ落ちる運命でも あなたの名前繋がせて
(A)
捧ぐ祈り今尽きて わたしの胸は空になり
されど放してやるものかと あさましい掌で陰を攫む
(B)
水の月 端は冴えて 薄紅の夜が降りて
(C)
想え 遥か明けへ継ぐ筈の温もり、悲しみ、細き潮に...霞桜送送夜
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(A)
この硝子に0を詰めて 地平を定め線を引く
あの色から始まるので 祈りを置いて眠ればいい
(B)
君を悲しめるだろう 僕の限りない嘘が
(C)
散りばめたR 透明な朝を守れ 目覚めるように
許してほしい 返す手で星を手折る ゆっくりと
(A)
この岬に1を建てて 深空を測り糸を繰る...ETERNAL GREEN
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(A)
ひとつずつ違うささやかな 道を戻らない人の仔よ
絶えず流れゆく時ならば 君の隣に居られようか
(B)
柔らかく繋いだ掌 慣れることはない喜びでしょう
(C)
わたしは幾歳を巡る命
人を知り愛を知り 送り続ける うたうた
(A)
月も波達も生まれ変わり この瞳だけがそれを留めてる...うたうた
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(A)
光を求めてたたずむような 雲をわたしと重ねているの
(B)
去らない願い 夜は深い
抱いてください この先に
(C)
月が咲きます今宵も白く 泣いていました 嗚呼、嗚呼、
(A)
虚ろを抱えてさまようような 雲をわたしと重ねているの
(B)...朔夜ノ花
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(A)
夜を泳ぐ眠らない河が 運命の海へ流れ流れ
かつて落ちた雨たちは跳んだ 薄い酒だけ乾して跳んだ
(B)
鳩に恋した蜥蜴が歌う 音で繋がるあまねく雨夜で
(C)
誰かの墓標を打ち鳴らす ひとたびだけの粒が満ちて
震えないものは何もない
だからねわたしの虚言に ひとことだけで頷かないで
静けさに泣...雨景夜舟
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(A)
高天へ上り降り落とす 春霞を晴らす揚雲雀
紅さす指に花を乗せ 目蓋を開けよと音が下り
(B)
呼声は蒼天に坐し 許す君と此処に沿う
我をして恋を終わらしむ 呼はされど止むを知らず
(C)
此の刻愛しいと願う玉響 憧れ晒す風 現を渡る
叶わない願いを知りながら 手を取らぬ今よ泡沫の底
(A)...詠籠謡霞
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(A)
あれはたしか7日前 メールを何度も読んでみたの
嫌いなのに「牡蠣づくし」 コースの料理を直視できない
(B)
でも今日は同期の送別会 笑って送ってあげなくちゃ
(C)
梅酒ロックで流し込め いきなり生牡蠣ひとり2杯
産地の違いコメントいるの 「美味しい」だけじゃすまない流れ
(A)
それは年...オイスター
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(A)
排水口から夜が漏れていた 慌てて口を塞ごうとして
立ち籠める雲が窓に映え 写し取る瞳
胃の底を持ち上げる
(B)
たとえ鏡が腐り落ち 強い眼差し忘れても
雨夜に咲いて明けに散る 懐かしい熱をそっと呼び覚ます
(A)
排水口から溢れ出るままに 優しく夜は髪を梳かした
ゆらめく雨の手 川となり ...雨口河流
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(A)
あなたと描いたソラトブサカナ 綿菓子みたいに抱えてた
容とらないココロを束ね スケッチブックにとじこめて
(B)
右手を強く握りしめ 震える膝を留めて 線画を叩きつけた
(S)
もどかしいほど晴れ渡る夜を仰ぐ 怯えるわたしに傷つく勇気を
信じてたい約束はちっぽけすぎて 奇跡はいらないと星々が...ソラトブサカナ
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心の海が静止する世界
時を繋ぐ振り子を眠りへ沈めて
あなたの欠片 星のよう胸に
そして燃えて消えるの わたしを抱いて
知らないでしょう温かいこと
わたしの針が指す道の前に
文字が滲む聖書を花びらと置き去る
開く者はいないわ あなたの他には
わたしは抱かれ燃えて消えるの
知らないでしょう穏やかなこと...MY ANGEL
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(A)
口開けた依存症 脂色の天国
教唆する調停者 掠め盗るダイヤ
“まやかしがこれ程に真実か” 無垢な
糾弾が突き刺した 声嗄れた救世主
(S)
逆さまへと跳躍 騒ぐ影を蹴飛ばせ
裏切りだと噛みつくなら甘い引金を ほら
信じてみろ自分で立てる力感じて撃ち込め
歪む世界から獲得せよ“現在”...trigger
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(A)
空き地に咲いた向日葵が 降りしきる夜を抱き留める
忘れていました この根元に あなたと埋めた林檎飴
(B)
溶かしてくれないか幼い日々 風音誘う 蝉、影、土の香
(S)
柔らかな想いに包まれて 渇いているのなぜでしょうか
泣きだせば溢れる愛しさを 掲げ ぽつりぽつり 雨待ち
(A)
空き地に...雨待ち
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(A)
煙草燻る階段を駆け下りた底 ステージ
踵叩くピンヒール 履き潰す夜 静寂
(B)
緋色シュガー苦いだけさ 熟れ尽くした遊びだから
応えてシュガー耐えるだけか 溶け損ないのあなたは
(S)
崩してあげる lowへ撃ち抜け熱く深く
骨の奥まで侵しておくれ 緋でベル震わせ
四角で清い誠実なんて 不...緋色シュガー
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(A)
力無い糸屑みたいな 言葉に埋もれていさせて
今だけは哀れみに抱かれ 何も何も見たくないの
(B)
gloom room 慟哭を凪いだ 深い風は千切れ消えて
loop loop ひとりで 膨れてゆく薔薇が赤く
(S)
幸福の夢 溶けだして エフィメリカ 氷の日生まれたわたしの幻獣
焦がれた空へ...幸福のエフィメリカ
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(A)
まるで溶けた星が巡る 眠り知らない遊園地
文字が消えた熱も褪せた 触れる世界は痛くないの
(B)
迷い込むフリで帰らない理由を いつでも何度も失くすのはあなた
(S)
薄藍の幻夜 待ち待ちに翳る 絶え間ない光をあなたに示すように
愛しいわたしはおかしいのでしょう 閉じたその瞼にただキスをした...LED
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(A)
躊躇いがちの真昼の月を 雨が隠した 叱るように
この地を海へと還す唄は 歩く二人を埋め尽くした
(B)
浮かべる容(かたち)は望まない舟で 凍える私は縋る手を伸ばした
(S)
光は隠れて足浸す浪間 ゆらめき揺らぐ 彷徨う雨幻
確かな痛みを感じるだけの 今よただ雨を降らせて
(A)
描けただけ...雨幻
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(A)
どしゃ降りだった午後とノイズ 手触りのいい残り香絡める
気配と声と僕を沈めて なんとなく満たされるようだ
(B)
掴み損ねた真昼の影 横たわっていたい気分で
次の場所へと流れる雨 手の中で赤い色が重なる
(S)
曖昧な答えが空に浮かんで 雲の平原の境で燃える
今滲む真実(ほんと)が胸を焦がし...seek in amber
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(A)
頬杖の恋を溶かした 水飴色のガラス玉
ころころろ 胸をくすぐり お勉強机を転げます
(B)
お名前呼んでもよいでしょか 舌さき二回うつのです
(S)
紅い紅葉にキスをして お便りたより手折りおり
風へ預けていつまでも お話をしていたいのよ
(A)
溜息の恋を零した 夕焼け色のガラス玉...ちいさなことづて
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(A)
紡ぐ音の絶えて久しい 廻り疲れた糸車
かたりかたり時に揺られて 落ちる景色はひと欠片
(B)
すり抜けていく言葉、記憶 解(ほど)かれていく夢の檻
(S)
この掌(て)に何が残りましょう 求めた憧憬(いろ)は遠く遠く
それでも何を追うのでしょう 愛しい応(いら)え遠く遠く
(A)
積もる音の...白々落歌