鳥野ささみの投稿作品一覧
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足跡の一つ消え二つ消え
漣は引き 乾いた眼
満ち満ちたるは地獄なれど
過ぎ去りし青は美しく
何故を問うても手のひらに
答えを告げる口はなく
形なきもの握りしめ
砕いて返す 鉄の味
行かば 黄泉路の 焼けたる野原
背負い 進むは 愛憎(いのり)の証...ハルシュラ
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宵闇の一番星は
燃えながらただ逃げていく
指先を掠めるだけで
この胸をともに焦がすだろう
輝き ひとつ 残すだけ
(きらきらひかる)
僕の声は届かない
(いたみにあえぐ)
走りすぎていく軌跡の途中
ただ僕が立っていただけなんだ...星霜賛歌
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いらされませませ不憫なお方
こちらは冥土の端の端
あらあらそないなお顔されても
あちきにゃどうにもできません
あげられるのは紙と筆だけ
辞世の句でも書いたらどうです?
折り紙にして河に浮かべて
現世(うつしよ)にでも流してあげますよ
壊れないものが欲しいと泣いた
ございませんねと頬を叩く...めぐりめぐりうた
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”とある殺人事件に容疑者が2人。
2人は賢く品行方正、
「まさか嘘だ」と人は言う。
おまけに確たる証拠もない。
何としても手柄を上げたい警官は、
こんな話を切り出した。”
貴方に選ぶ権利を
自白(おしゃべり)か黙秘(だんまり)か
黙秘は罪と知りなさい
互いに口を噤めば...賢き囚人のジレンマ
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夕闇にクチナシ
黄昏時の学校で、
ふとした拍子に思いませんか。
「自分ははたして誰なのか」
昼か夜かもわからない、
曖昧さが混ざり合った色の空。
自分なんか、いてもいなくても変わらない世界では
存在すら足元の影に食べられて
夕闇に溶けて消えていくような、
そんな気さえするのです。...夕闇にクチナシ
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これは喪失感
これは被害妄想
これはやるせなさ
こんな虚脱感
たぶん遠くで鐘の音を聞いた
そこに私は居るんだろうか
残酷な手紙は届くんだろうか
指先は震えるばかり
祝福は言える?
言う資格もない?...6月のagony
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ああ、ここから
逃げ出したいな
出口なんてもう
ふさがれてるけど
そら、じゆうに
飛んでく奴ら
恨めしくて
撃ち落としてやりたい
ちいさなちいさな窓から
ライフルで悲鳴を上げる...羊とライフル
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ちょっとくらいの躓きも
繰り返せば痣になる
抉られて 削られて
継ぎ接ぎだらけの自尊心
前だけ見ている直向きさ
憧れ過ぎたら毒になる
大丈夫 頑張ろう
逆なでしていく根性論
崇高な目的のためには
手段なんて選んでられないよ...ロマ×リア
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出口のない部屋
部屋の中央には円卓
円卓には3人の被験者
被験者の手には拳銃
それぞれのこめかみに
突きつけあった銃口
「実弾入り(アタリ)は1つだけ」
さあ実験を始めましょう
円環のウロボロス
被験者Aのひととなり...円環のウロボロス
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喉もとの軟い皮膚に爪を立てて
生きてること(イノチ)を感じる 悪い癖
ふさがりかけのキズアトをめくっては
流れる痛みに胸なでおろす
どうか触れてくれるな それの意味を
ひとりでなら立っていられるのだ
誰かが となりに いることが
私の足を挫かせる
えぐらないで 優しい言葉で
まだ頭の中を整えられない...えぐらないで
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長い髪が好きと言ったから
アタシは髪を切りました
元気な子が好きとも言ったから
つんとすましておりましたの
鏡に映る姿の
なんと滑稽なことでしょう
似合わぬリボンなど付けて
お高くとまったつもりですかアタシ?
心に渦巻く劣等感
足元に漂う悲壮感...コンプレックス14
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幾つものヒビに軋む雑音を
くすんだ刃物で削ぎ落とした
僅かに零した希望にさえ
見放されるくらい切望して
揺るぎなきもの
強い眼差し
つかの間の陰り
さざめく水面
嵐が来ると
肌で感じて...Liar
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この手紙を今
読んでいるであろう
君に言葉を送ります
これから先に歩んでいく道は
時につらくて涙こぼすでしょう
逃げたっていい 思い出の中に
少しだけなら受け止められるよ
そして涙が乾いたならば
そっと引出しにしまってください
この手紙は今...手紙
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大切なものほど
簡単に壊れて
輝いた破片は
濁った水に沈んだ
呟いた声は泡に満たず
砂と化して零れ落ちた
泥の中で産声
溺れもがき苦しみ
叫び声は届かない
永遠の子守唄...泥の中で産声
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集い集え僕らのホーム
ここは第二の故郷
笑い笑え約束の地
ここは出会いの場所
生まれ落ちた瞬間
人はみな旅人になる
自分の居場所を探し
あてどなく流離う
運命のヒトは
目に見えぬ...home
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御伽噺を聞かせましょう
花と少女と天使の話
町はずれの時計塔
近づいてはいけないといわれていた
けれど、この時間になると
決まって聞こえてくるのだ
とても奇麗な歌声が
けれどそれは同時に
ひどく切ない旋律で
胸が、締め付けられるようで...暁の魔法
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この道をずっと進めば
お別れだって 知っていたけど
君がいて 俺がここにいて
笑い合ったことはなくならない
話しかければそっぽを向いて
一人口をつぐんだ君
無口なふりして強がりで
ほんとは誰よりも臆病で
恐がらなくていいよ
壊れたりしないから...みちゆき
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花の額 赤い首 落とす
琥珀
氷の弦 冷たい指 奏で
子守唄
さよならだ
すべてここに
おいていきなさい
(何も持ってはいけない)
未練など
残さぬよう...アンダーテイカー
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長い夜が明けて 未来 顔を出す
新しい風に鳥の声は歌い出す
遠く続く海原 境目の線なんて
見渡す限りどこにもないよ
何度 心を踏み台にして
強くなろうと考えただろう
この空の色 他にない色
どこにいてもここに帰ってくる気持ち
いつまでも変わらない青
すぐそばでさ 輝いてたんだ...fine day.
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貴方の逝く道には
花咲き誇れと祈りましょう
暗く寂しい旅路かもしれません
けれど痛みや苦しみは其処にないのです
貴方を蝕んでいたものは何一つ
貴方の行く導に
光あれよと指折りましょう
辛く哀しい船出かもしれません
けれど喜びや安らぎを床につめます
貴方が大切にしていたものを何もかも...悲願花
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帝都の隅のこの屋敷
今日もレイヨウの声がする
愁い嘆くのは遠い日の
面影を探しているからだ
思い残した魂は
空に還れずに堕ちていく
大地に縛られ囚人と
なりて虚ろい只啼くばかり
あの声を聞くたび蘇る
愛したひと時の想い出が...レイヨウ
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名前を呼ぶ
哀しく笑って
振り返る影
貴方はまだ
過去(オモイデ)に
囚われてる
後ろを向いてはだめ
其処は暗い場所
ねえ私では貴方の陽だまりになれない?
問いかけは喉の奥に詰まる...ROPP
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*歌詞が若干猟奇的になっておりますので、苦手な方は御注意を!
さあワルツを踊りましょ
さあワルツを踊りましょ
さあワルツを踊りましょ
早く早く!
脚がもげて
腕が朽ちて
首が取れて
しまう前に!
赤いドレス...dancing in the nightmare
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遠く長く続く道
何処へ行くの? 答えはなく
逃げるように走り出した
息もできないくらい
気づけば景色さえ置き去りにして
何の声にも耳を傾けられずに
だれもいない道で一人
青空とにらめっこして負けて泣いたんだ
自分の速度は変えられないと
叫びながら走り続けた...アオゾラ
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林檎可愛や
可哀や林檎
憐れ私に食べられて
私嬉しや
愁しや私
熟れた林檎を食べられて
林檎売れしや
患しや林檎
毒の林檎は街に逝き
私の林檎が食べられた...りんごのうた
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かんかんに照り付ける太陽と
眼から零れる夏の雨
長く伸びた黒い影
蝉の声がやけに遠い
熱に揺らぐアスファルト
黒いしみはすぐに溶けた
よく晴れた日曜日
遠い日の夏休み
覚えているのは
鮮やかな景色...さよなら 夕立 夏の雨
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ねぇマリオネッタ遊びましょ
楽しい物語を聞かせてよ
私が退屈しないように
千の物語を聞かせてよ
遊びつかれたら
(壊れるまでは)
おやつの時間よ
(さあお食べなさい)
甘い甘い
甘い甘い...マリオネッタ
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ありふれた物語
誰も知らぬ花の名
其れは歴史の語り部
そよ風に種子が零れ
幾つもの感情乗せ
遥か彼方飛んでいく
美しい緑の都
柔らかな光射し
輝く笑顔は
戻らない...Lost Garden
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紫色の月の下で
ぴょんこぴょんこと跳ねながら
長い耳を縦に揺らして
僕らは踊る あほんだらのために
ねえ なんでそんな難しい顔して
考えまくってんの?
眉間に皺が寄ってるよ
ちょっと疲れてるんじゃない?
答えの出ない問題に
延々浸って思考のループ...3月32日には
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ゆるやか に なだらかに
まわたでくびをしめるよに
ぬるまゆに おぼれるよに
すいこんだ く う きが
はい から から だ を
お か す よ う に
ことのは の と げ は
ぜんしん に つきささり
かげをぬいとめ あし を
す く ま せ る よに...メキルマ
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あめ
しとしと
あめ
やまない
振り返れば
還れるなら
何度だって
扉探し
鍵求めて
ずっとずっと...祝祭
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石壁の檻
響く足音
松明(たいまつ)掲げ
揺らめく焔(ひかり)
迷い込んだ深遠の闇
作り出された人工迷宮
底に眠るは
約束された
或いは金銀財宝か
或いは英知の結晶か...人工迷宮
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黄昏の 始まりに
君乗せる 汽車が来る
小箱から 溢れ出す
旋律が 合図さ
叫ぶ汽笛 空を染めて
覆い隠す 未練なんて
体一つ 在れば十分
黄昏まで 御案内
さよならを告げる間も
与えない一瞬で...黄昏準特急
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電子の園に
我らは集い
ともに学んで
ともに歩もう
楽しいことも
苦しいことも
皆分かち合い
励ましあって
掛け合う言葉は海こえて
新たな絆の緒とならん...まぜ★生学園校歌
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太陽が少し傾いたら
秘密のお茶会始めましょう
おろしたてのティーカップ使い
上品な紅茶を注いで
テーブルメイクもぬかりはない
綺麗なお花で飾り立てて
お客様をお迎えにあがる
黄昏色したカブリオレ
首元彩る蝶ネクタイ
ぴんと背筋張るツバメの尾に...黄昏アップルパイ