イズミ草の投稿作品一覧
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誕生日にはきっちりプレゼントを用意すると決めていた。
本当は12月27日までに用意できたうえで、誕生日当日の朝っぱらから驚かすと決めていた。
そしてあなたの笑顔を独り占めしてやろうと企てていたのだ。
――鏡音リン、永遠の14歳。
今頃届いたレンへの誕生日プレゼントの品が梱包された、妙にニヤけたロゴマ...【リンレン誕】プレゼント【イズミ草】
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私がその部屋に入った時には、すでに満員だった。
皆でいたいけな少女を囲んでどんちゃん騒ぎ。
玄関でその光景を見て唖然、呆然と立ち尽くす私に真っ先に気付いたのは、しるるさんだった。
「あ、イズミさーん! おそいよーぅ!」
お酒でも飲んでるのかな、とも思ったけど、その手に持っているのはオレンジジュース。...【かなりあ壮】お元気で【イズミ草】
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「ごめんなさい……」
青い髪の男が私の足元で土下座をしている。
私はそれを見下ろしながら仁王立ち。
さながら、愚かな咎人と、傲慢不遜の女王様だ。
「な・に・を、申し訳ないと思ってる訳?」
「それは……その……」
男が顔を上げる。
眉がこれでもかというほど下がり、瞳には涙を溜めている。
それでも威厳あ...【めー誕】 赤 イズミ草
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「とりっくおあとりーーーとーーーー!!!」
そういって俺の背中にタックルを炸裂させてきたのは、皆の予想通りあの元気有り余るあの子だ。
「……リン、ハロウィンって……昨日だったよな?」
「うん! そうだよ! 何レン、もう忘れちゃった? おじーちゃんになっちゃった?」
愛くるしい笑顔で笑う。
もうお菓子...trick or……?【イズミ草】
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我を忘れて、闇雲に走った。
なんだかとっても走りたかったから。
そうしてだろうか。
別に何もないのに、なぜだかとっても寂しいのよ。
家族を亡くしたわけでも、恋人と別れたわけでも、何かを失敗したわけでもないのに。
いいや、いくつか失敗をしてる。
一つはうまく笑えないこと。
一つはうまく気持ちを伝えられ...【連想ゲーム】大丈夫【イズミ草】
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もうすっかり涼しくなってしまった。
茹るような、あの暑さはどこへやら、秋どころかもうすでに冬の足音すら聞こえてくる気がする。
秋は、なんだか哀しい。
酷く感傷的になるのはなぜ?
空の色が無駄に澄んで綺麗だからか。
風が肌を冷やすからか。
雲が白すぎるからか。
葉の色づき始めたあの紅が、物哀しいからか...秋空【イズミ草】
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ネオンが輝く見上げた東京の空は、予想以上にくすんでいた。
今日は彼女の誕生日、といってももう夜。
昼間はなかなか二人とも忙しくて会えないから、どうしてもこの時間になってしまうのだ。
……とはいえ、遅いな。
別に一流ホテルのレストランを予約とかしてるわけじゃないけど。
でも約束の時間から軽く2時間は過...【ミク誕】ネオン【イズミ草】
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◆ ◆ ◆ ◆
さようなら、苦しいくらい愛したあなた。
あなたのことは一生忘れない。
不器用な自分に向けてくれた笑顔も、未来へ導いてくれたその背中も、逞しいその瞳も、繊細な心も、脳裏に絶え間なく浮かんでは消える。
さようなら、泣きたいくらい愛したあなた。
あなたを忘れるなんてできない。
ぎこち...-Lost Maze-
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それはあるうららかな春の日曜の午後だった。
なんという嫌がらせだろうか。
今さっき旧友から電話が来たのだ。
40分後、近くのカフェに来てほしいと。
冗談じゃない、そういうことは前日に言っておいてくださいよ。
そういうわけで、今の今までパジャマだった干物女な私は、怪獣に負けず劣らず部屋の中を暴れまわっ...香り 【イズミ草】
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僕が彼女を見つけたのは、あるうららかな午後のことだった。
出会ったのではなくて言葉のとおり、見つけたのだ。
彼女は電車の中でただ一人黙々と読書をしていて、スマホを弄るやら周りと騒ぐやらしている周りの中では、単に目立って目についただけかもしれない。
でも、ただ本に目を落としているだけのその彼女の姿が、...本の彼女 【イズミ草】
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絶えず思う。
こんな『嘘の日』に生まれた私が生まれたことを誰も歓迎なんてしてないんじゃないかって。
誕生日はなんだか憂鬱。
皆の笑顔が果たして本当なのか、わからないから。
皆の言葉がどうして本物なのか、知る術も無いから。
これはそんな私の物語。
今日は私の誕生日。
本来ならば誕生日といえばケーキ、プ...【テト誕】嘘の日【イズミ草】
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episode5 ××××
彼女を追いかけていくと、そこにはこれまた綺麗な噴水があった。
噴水の周りには鮮やかな薔薇が咲いており、水がきらめいて何とも言えない。
でも、やけに重苦しい空模様のせいで、それらが余計に際立ってなんだか不気味だ。
「ねーぇ? どうしてあたしを追いかけてきたの?」
「えっ……...-Lost Maze-
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1月30日、今日は高校時代のみんなで集まって同窓会があった。
私たちは今22歳。
高校を卒業して以来顔を合わせてなかった懐かしい人たちが揃いに揃っていて、とてもうれしかった。
旧友に会い、お酒を飲み、昔話や現状報告に花が咲く。
皆変わってないようで、実は変わっていて、大人っぽくなっていたり、人当たり...あなたの笑顔【イズミ草】
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誕生日からいったい何日たっただろうか。
一週間? それ以上? もう数えることをやめた。
僕には酒好きの彼女がいる。
彼女の去年の誕生日には花束とケーキを夜中に届けに行ったのだが。
彼女からのお祝いの言葉や贈り物が届けられることも気配も一向になく、彼女がいる身にしてはとてつもなくさびしい誕生日だったこ...マフラー 【イズミ草】
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1月30日、今日は高校時代のみんなで集まって同窓会があった。
僕らは今22歳。
会場である居酒屋には懐かしい顔ぶれが揃っていて、酒を飲んだり、思い出話に花が咲いたり、はたまた現状報告などなど、過ごし方は人それぞれだが高校卒業以来の友との再会に皆感激しているようだった。
僕も高校で仲の良かった友達との...君の誕生日 【イズミ草】
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episode4 in the third garden
≪第三庭園≫
ということは、第一、第二もあるのかと彼に問うとどうやらあるそうだ。
後でまた案内するとも言われた。
でもこの美しい庭園、私たち以外誰も人がいない。
いや、家政婦さんのような人が決まった時間に手入れをしに来るのだろうか。
さっきの...-Lost Maze-
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episode3 廊下
コツ、コツ、と。
不気味なほどに反響する私たちの足音。
まるで機械で加工しているような、不自然な響き方だ。
前を歩いているカイアールは私が話しかけない限り黙々と歩いているだけだ。
ただただこの気味の悪い音を聞きながら、延々と続く廊下を歩いていた。もうかれこれ20分くらいだろう...-Lost Maze-
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episode2 信じられないということ
カイアールと名乗った蒼い青年の後について歩く。
少し歩いた後、無駄に馬鹿でかい扉が現れた。
「ね、ねぇ……カイアール……さん? これはどこに通じてるんですか?」
「ああ。僕のことはカイアールでいいよ、エルカ。ここはこの城の――玄関、とでもいうのかな。まあ、そ...-Lost Maze-
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「……遅い」
時刻は只今11時。
俺はあまりに痺れを切らして、そう零してしまった。
今日は俺たちの誕生日。
多分ミク姉やルカ姉やメイコ姐やバカイトも祝ってくれると思うけどそれはみんなの時間の都合上夜になる。
「そんなに待てないッ!!」
と朝っぱらから駄々をこねたのは、俺の双子の姉、リン。
みんなにお...君の笑顔 【イズミ草】
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episode1 荒城の迷路
――カツ、カツ
私に聞こえるのは、恐らく自分が歩いているであろう足音だけ。
未だに暗闇は続いていて、生きているかすらわからない気持ちの悪い感触。
もうどれほど『歩いた』のだろうか。
けれどなんとなく、視界は開けているような気がする。
記憶ほど曖昧なものはない。
もう最初...-Lost Maze-
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prologue
どうやら記憶というものに色褪せることは付き物で、それは私に対しても同等にあるものらしい。
大切な人がいた。喪いたくない人がいた。いとしい人がいた。それが全て同じ人に向けられた感情なのか、それとも違うのか、もう私には思い出せない。
私は誰なのか、ここは一体何処なのか。私は死んでいるの...-Lost Maze-
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こんにちは、名もなき雑草、イズミ草です。
えー、この度、少し「ボカロと愉快なボカロたち」以外の構想が固まったのでそれの報告というか、そういう感じのためのテキストを投稿してみようと思います。
まず、季節はすっかり冬。
クリスマス目前で、私の周りは浮かれ気味ですがみなさん、体調等崩してはおられませんか。...新作構想報告
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「どういうことですか!!? ちゃんと僕はネズミをすべて退治したじゃありませんか!!」
男は焦っていた。
「だから、何度言ったらわかる。お前に賞金は与えられない、と言ってるのよ」
「金じゃない!! アイス一年分だ!!」
「どっちだっていいでしょ!!」
「アイスは金じゃ買えないんだよ!!」
「あほか! ...ボカロと愉快なボカロたち。
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ある月の綺麗な夜、男は笛を片手に広場にある大きな湖のほとりに佇んでいた。
男に表情はなく、ただ風によって押しては返すかすかな水面を見つめていた。
そして男は笛を唇に当て、奏でだす。
誰も聴いたことがないような、危ういメロディー。
それでもどこか物悲しい、心地良いメロディー。
少しの間、物音一つしない...ボカロと愉快なボカロたち。
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「お誕生日おめでとう!!!」
なーんて言葉と綺麗な花吹雪が、私の部屋に舞うことはなく、とうとう一人で誕生日を迎えてしまった。
本当は一番に祝ってほしい人がいたのだけれど、忙しそうだったから一緒に私の誕生日を迎えてほしいなんて言えなかった。
なんとなく一人で食べるケーキはむなしい感じがしたので何も自...【めー誕】誕生日の夜 【イズミ草】
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山が染まる、紅く染まる。木の葉が落ちる、土に還る。
季節は変わった。
あったかわからなかった秋が、もう終わりを告げていた。
そして私の確かにあったはずの青春も、いつの間にやら終わりを告げていた。
いつから終わっていたのだろうか。
いつから変わっていたのだろうか。
いつから思っていたのだろうか。
もう...失恋 【イズミ草】
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「あー! カイトだー!」
「本当だー! なんか如何にも胡散臭い別にセンスもよくないむしろ悪い服着ていきなりやってきてネズミ倒すからアイス一年分くれっていいくさったあのカイトだー!!!」
青年は困っていた。
「なんか如何にも胡散臭い別にセンスもよくないむしろ悪い服着ていきなりやってきてネズミ倒...ボカロと愉快なボカロたち。
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昔々、あるところに。
ネズミの被害にあっている小さな町がありました。
人々は困り果てていました。
食糧がなくなる。
家を蝕まれる。
農作物を荒らされる。
そんなある日、なにやらおかしな服を身にまとった、青年がやってきてこう言いました。
「報酬をくれるのなら、この僕がネズミを一匹残らず退...ボカロと愉快なボカロたち。
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「あ゛ーーーーづ゛ーーーーーい゛ーーーーーーー!!!!!」
「るっせぇリン!! 余計に暑くなんだろ!!!」
エアコンの切れた扇風機だけの部屋に、そんな二つの声が響いた。
声の主はリンとレン。
いつもは仲の良い双子なのだが、最近の異常なまでの暑さで、リンはいらいらモードのようだ。
「へーぇ!...鏡音の夏【イズミ草】
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蝉が鳴く。
こんなに暑い今年の夏は、もうそこに存在するだけで息苦しい。
額には汗が滲む。
みんな友達と、恋人と、青春を謳歌しているというのに、私のこの有様はなんだ。
毎日課題もせず家でごろごろする生活。
夏だというのに、体重も減りやしない。
何だ、夏の女神は私を見放したのか。
連絡が来てほしい人から...夏 【イズミ草】
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人魚姫が王子に振りかざしたナイフは、まだ人魚姫の頭上にあった。
人魚姫の手は小刻みに震えていて、今振り下ろさんと力をメいっぱい入れているのに、ナイフは何故だか今ある場所から動いてはくれない。
『どうして……どうして……』
体中が震えだした人魚姫。
そのうち身体に力が入らなくなり、ナイフも手か...ボカロと愉快なボカロたち。
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カイト王子と、隣国の姫君の結婚式が今日に迫った。
人魚姫は何もできず、震えていた。
あの日の自信はどこえやら、とうとう【死】が迫っていたのだ。
あの人に気持ちを、想いを伝えることができないまま、自分は死んでしまうのだと。
笑えるほどに実感していた。
時刻は1時を過ぎたころ。
今日の日が昇れ...ボカロと愉快なボカロたち。
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人魚姫が次に目を覚ましたのは、見知らぬやけに豪華な天蓋付きベッドの上であった。
人魚姫は少々顔に戸惑いの色を見せ、あたりをきょろきょろと伺った。
しかしそこには魔女どころか、見慣れた妹のリンの姿もない。
不安に充ち溢れ、とうとう身体を起こそうとしたその時だった。
人魚姫の『足』に突如、得も言...ボカロと愉快なボカロたち。
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光速でお城を抜け出した人魚姫が向かったのは、国のはずれにある魔女の家。
そこには人々に嫌われた魔女がいるというのだ。
魔力が強すぎ、魔女として有能過ぎたその魔女の名は皆もう忘れかけているが『メイコ』といった。
人魚姫は魔女の家に辿り着いたとたんに、ドアを壊さん勢いで思い切りノックなしで開いた。
...ボカロと愉快なボカロたち。
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昔々あるところの海の底。
人間は誰も足を踏み入れたとこのない、未知の世界。
そこにはそれはそれは美しい「人魚姫」がいました。
人魚姫はとてもおてんばで、王様や召使いを困らせていました。
そんな人魚姫は、嵐の夜、人間の男性を助けます。
その男性に心を奪われてしまった人魚姫は、その人のことばかり...ボカロと愉快なボカロたち。