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  • 懐古 -響奏曲・Interlude- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:173
    2012/06/07
    12:58

     何だか、子供の頃に遊んだ『ひみつ基地』にいるみたいな気分にさせる部屋だなぁ。
     此処へ来ると、カイトはいつもそんな風に思う。天井まで届きそうな本棚と正体のよく判らない怪しげな瓶詰めの並ぶ試料棚に囲まれ、中央には大きな作業机がどんと据えられて、その上にはいつでもいろんなものが所狭しと広げられている、メイコの研究室。机上に留まらず床の上にもごちゃごちゃと散らばるそれらは、例えば作りかけの術具やその材料となる素材だったり、新たな術の構築式を書きつけた羊皮紙であったりする。雑然としていて、でも何処かあたたかくて、カイトは結構この部屋が好きだった。
     『塔』は、その名の通り敷地いっぱいに建ち並ぶ幾つもの塔を持っている。術士達が暮らす居住塔、資料庫付設の研究塔、術具制作の工房がある開発塔……最奥にひときわ高くそびえるのは、管理者達の座する中央塔。そんな中、メイコの研究室は開発塔の端にあった。だっていちいち工房借りに行ったりするの面倒じゃない――とは、研究塔から出る時に彼女が残した言葉だ。

  • 響奏曲 -02- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:177
    2012/05/20
    00:04

    【一】闇の先の蒼、蒼の内にまた闇
     柔らかに腕(かいな)に抱かれるように、眩い蒼へと融けて。闇に代わってそれに包まれ、再び視界から変化が失われた。けれど、今度は明確に、進んでいると感じられた。見えざる手に腕を掴まれたように、はっきりと"何処か"へ引き寄せられている。惹き付けられる感覚に、鼓動が高鳴る。それはまるで、通りの向こうに恋しい者の姿を見付けた時のように。或いは、待ち望んだ報せを受け取る朝の目覚めのように。
     逸る気持ちをあるがままに、カイトは抗う事なく身を任せた。加速するのを感じる。弾けそうに胸が鳴る。

  • 夜明けのはじまる前【シェアワールド】 響奏曲【異世界】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:481
    2011/11/22
    21:57

     森を抜けるとそこには草原が広がっていた。そしてその先にある小さな村。そこが目的地だった。
     馬で「塔」のある街から一週間ほど。術者となってからほとんど「塔」から外に出ていなかったルカにとって、一週間もの距離は長旅だった。元々が「庭」や実家からあまり外へ出たことのないルカである。途中で立ち寄った村や旅商人の広げるテントを物珍しさから覗きこみ、長居をしたりしてしまったために、本来ならば4,5日で来れるところが長くかかってしまっている。
    「がくぽは何度か訪れているのよね?」

  • 呪詞・異界転位【響奏曲・設定】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:302
    2011/09/17
    22:03

    時の砂 流れ 落つる
    夜(よる)告げ鳥の かそけき 囀り
    天に実る 星を もいで

  • 響奏曲 -01- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:324
    2011/09/17
    21:56

    【序】因と果の律をすり抜ける
     軽く瞼を下ろし、身体から余分な力を抜く。意識からも同じく。ただ在るがままに、在るだけのものに。世界と己の境界を曖昧に、世界に溶け込み、世界と溶け合う。
       時の砂 流れ 落つる

  • 響奏曲 -Introduction・2- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:241
    2011/08/22
    18:32

     くそ、まだぴりぴりする。
     がつがつと足を進めつつ、がくぽは内心で毒吐いた。溢れかけた魔力を強引に捻じ伏せた名残が、乾いた冬の日に散る火花のように指先や髪の根に未だ主張している。
     それにまた苛立ちを煽られながら歩いていたからだろう。常ならぬ空気に彼が気付いたのは、わっと上がった歓声が耳に入ってからだった。

  • 弱い音 【シェアワールド】響奏曲【異世界】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:273
    2011/08/21
    18:34

     最初は、がくぽにもルカにも言うつもりはなかったんだ。と旅立つ寸前の彼は言った。
    「だってさ、なんかさびしいじゃん。別れの言葉って」
    ふざけたようにそう言う彼に、別れとかいうな、とがくぽは顔を顰めた。

  • 明け方の日【シェアワールド】 響奏曲【異世界】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:199
    2011/07/31
    12:43

     提出用の書類を手に、メイコは「塔」の渡り廊下を歩いていた。
     「塔」の名の通り、その建物はいくつもの塔で構成されている。一番広く巨大なのは中央にある研究者用の塔で、次いで居住区としている塔。その二つの大きな塔から派生するように大小の塔がその周辺にそびえ立ち、その間を渡り廊下が繋いでいる。
     これだけ大きな組織となるまでに、幾年の歳月を経たのだろうか。居住区の塔から研究塔へ渡り、更にその回廊をぐるりと回りこんで中心に在る建物へ向かいながらメイコはそんな事を思った。どれだけの人がこの塔の中で暮らしそして終わりを迎えたのか。そんな事を考えながらメイコは「塔」のいちばん中央にある建物へ向かいながら思った。

  • 始まりの日【シェアワールド】響奏曲【異世界側】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:278
    2011/07/24
    18:07

     積み重ねられた知識の層が織りなす静謐な空間がそこには広がっていた。丈夫なつくりの棚に詰め込まれているのは過去から続く記憶の書。幾人もの賢者が思考錯誤し生み出した術式が記されたもの、この世界の生物全てに関する習性を緻密に研究したもの、古今東西の文化文明を事細かに記録したもの。
     そして嘘かまことか、胡乱な物語ばかりが綴られたもの。
     書物自体に貴賎は無く、全ての文献が紐解かれる時をただ静かに待っている。選ぶのは読み手側。事の優劣をつけるのは全て人の側。何が正しく何が間違っている、など書き遺されたモノたちには関係の無い話。

  • 物語の始まる前の日  【シェアワールド】響奏曲【異世界側】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:282
    2011/06/05
    14:35

    「ずいぶん遠くまで見回りをしたようですね」
    きちんとした服装にマントを羽織り、眼鏡をかけた青年が外から『塔』へ帰ってきたルカたちにそう声をかけてきた。眼鏡の奥、読み取ることのできない冷静なその表情に、ルカは思わずがくぽの背中に隠れてしまった。
     4人で数日、森付近に点在する町や村の見回りをして。ルカたちが『塔』に帰って来た時。丁度『庭』から戻ってきたのだろう、玄関のところでキヨテルに出くわしたのだ。

  • 希求 -響奏曲・Interlude- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:171
    2011/05/19
    22:19

     ドン、と重い音が森の奥に轟いた。
     音の後には、抉られた地面。爆発系の術の痕跡。
     そこだけ緑の衣を剥がれた大地をじっと見つめて、少年が一人、唇を引き結んでいた。黒色のシャツに銀のタイを締め、肩にはシャツより更に濃い黒のケープを纏う、『庭(ガーデン)』で学ぶ生徒の制服姿だ。

  • 響奏曲 -Introduction・1- 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:156
    2011/05/17
    23:00

     終わる世界に、彼らは生きる。
    「此処も、か」
     低く呟く男が見下ろすのは、何も無い場所だった。

  • 重なる音  【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:186
    2011/05/17
    20:47

     溢れ返る想いがある。何かを伝えたい、けれどその手段が分からない。どうすればいいのか分からない。どうしようもできない。目の前で起こっている事象に対してなすすべもなく、ただ見つめることしかできない。
     けれど、だからこそ。無力だからこそ。「次」を拓くために私はあがきもがくように、手を伸ばし前を見て、何かを探しているのだろう。
    ――――――

  • 少し昔の話  【シェアワールド】響奏曲【異世界側】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:369
    2011/05/17
    18:51

     狂った魔獣が吼えた。大音量の咆哮が森の中の空気を、木々の枝を、逃げる子供の鼓膜を、震わす。肌で感じる魔物の気配に逃げながら子供は悲鳴を上げた。恐怖で走っている足がもつれる、かくんと力が抜ける、水の中に沈み込んだように周囲が重くなる。
    そしてそのまま、まるで地面に滑り込む様な勢いで、ざん、と子供は倒れ伏した。手に持っていたバスケットが、ころんと少し先に飛んでいった。
     身体の下で押しつぶされた草が一瞬、青い香りを立てる。けれど、そんな事を感じる余裕もなく、子供は襲い来る魔物から逃げるために地に伏した身体を起こそうとした。が、しかし恐怖に縛られてしまった手足はもう言う事を聞かず、ただ緩慢に空をかくばかり。焦りで吐く息だけが早く荒くなっていく。それでもなんとか気力を振り絞り、がくがくと震えながらも子供は立ち上がろうとした。

  • コラボ概要  【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 【シェアワールド】響奏曲【異世界×現代】 閲覧数:219
    2011/09/25
    13:03

    <ストーリー>
    魔術の生きる、何処かの世界。其処は今、滅びの危機に瀕していた。
    僅かずつ、しかし確かに、消失していく世界。

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