タグ一覧 > タグ『和風ファンタジー』の作品

  • 世界の創り方 『双子の月鏡』番外編ニ 和沙さん 閲覧数:544
    2008/10/05
    17:59

     天鳩は、手近な窓から、身を躍らせると、そのまま、木立の中に、舞い込んだ。
     自分と同じ色の影に隠れて、天鳩は、小さく、息を付いた。
     それから、その息を取り戻すように、大きく、息を吸い込んだ。

  • 世界の創り方 『双子の月鏡』番外編一 和沙さん 閲覧数:436
    2008/10/04
    00:23

    カップリング注意です。レンリン(双子に近い関係ですが、現在の倫理観に基づく近親相姦には当たらないかと思います)、ミクオ→ミク、それから、本編の都合上、書くことになったのですが、ほとほと、ありえなくて、申し訳ありません、ガクポ×カイコという、よくわからないカップリングが含まれます。これらのカップリングを受け付けられない方、本編を未読で、ネタバレを好まれない方は、閲覧をお控えになったほうが、よろしいかと思います。
    何もほしがらない君に、世界の権力を
    何もほしがらない君は、笑って、みんなに与えてしまえるから

  • 【曲募集歌詞】 紅葉狩(仮) 【和風ファンタジー?】 azur@低空飛行中さん 閲覧数:333
    2009/08/31
    21:33

    深き山路を尋ね来て 時雨を急ぐ秋の暮
    枯れた庵の宿を乞い 恩に主の名を聞かば
    声なき御簾の向こうより 白き手指のたおやかさ

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 和沙さん 閲覧数:296
    2008/07/19
    19:25

     まだ陸がなく、世界が空と水だけで別たれていた頃、水には、男(おのこ)しか、棲まず、空には、乙女しか、棲みませんでした。
     そんな遠い昔、双子の月は、共に、水の中に沈んでいました。
     しかし、ある時、ひどい津波で、月の一つが、空に、投げ出されてしまいました。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 終章 和沙さん 閲覧数:273
    2008/09/15
    03:12

    「これから、貴方たちを、あちらに送るわ。あちらは、今、ちょうど、満月が灯る頃よ」
     ひとしきり、歌って、舞って、座り込んで、杯を傾けて、しばらく、寛いだ後、命炬が、何気ない調子で、そう言った。
    「ええっ!? だって、私たちが、ここに来て、まだ、一日も経ってないよ!!」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二 和沙さん 閲覧数:260
    2008/07/19
    19:34

     鈴が、楽しそうに、軽やかに、舞うから、蓮も、それを、うつした。自然と、唇が、鈴の歌をうつし始める。
     リン、リン、リンと、鳴り響く鈴の音と、一つの声のように、合わさった、蓮と鈴の声。その歌声に、薄桃色の花が、金の光をかたどるように舞い咲いてゆく。
     伸ばした手が、触れそうで、触れないまま、離れ、扇が、シャラリと翻された。鈴に出逢うように、彼女と、逆周りに回って、初めて、手が触れる。あたたかい鈴の手を、握らずに、合わせたまま、最初と同じ、振りを取る。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 三 和沙さん 閲覧数:195
    2008/08/13
    20:10

     心地の良い、夢のような時間。
     いや、まさしく、夢の時間。
     その蓮の夢を、壊すのは、いつも、間の抜けた声だった。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十八 和沙さん 閲覧数:191
    2008/09/14
    23:07

    「俺は……そういうのは……」
     その赤い瞳が、赤い舌が、何かを、嘗(な)めるような、嘗めて溶かすような視線が、蓮の心を、妙に、ざわつかせて、蓮は、搾り出すように、そう言いながら、俯いた。
    「慣れていないわよね。だから、よ」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十七 和沙さん 閲覧数:189
    2008/09/14
    23:02

     飛び込んだ、そこは、本当に、一面の暗闇だった。蓮と鈴のほかには、何も無い。蓮と鈴は、身を寄せ合って、辺りを見回した。
    「何か、本当に、何も無いね」
    「ああ……これじゃ、方角も何も無いな」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 四 和沙さん 閲覧数:167
    2008/09/06
    20:33

     朝餉(あさげ)の席へと、足早に歩む蓮は、ふと、足を止めて、ため息をついた。
     海渡が、白いひげを蓄えた、上官なのだろう、男に、何やら、言われている。叱責でも、受けているのだろう。もっとも、叱責とは名ばかりの、言いがかりなのだが。
     蓮は、小さく息を付くと、男のもとに、歩み寄った。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十 和沙さん 閲覧数:163
    2008/09/14
    04:38

    「鈴!! 大丈夫か!?」
     背後から、鈴を狙おうとした魔物を、剣でなぎ払って、蓮は叫んだ。
    「ありがとう! 大丈夫!!」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十六 和沙さん 閲覧数:158
    2008/09/14
    16:34

    「廻子おねえちゃんも、歌うって!!」
     音を立てて、扉が開かれて、楽歩よりも、先に、鈴の声が、響き渡った。鈴の斜め後ろには、廻子が、どこか、ためらいつつも、何か、決意したような顔で、佇んでいた。
    「ありがとう。鈴。だが、もう、上限の月だ。お前たちの用を聞こう」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 六 和沙さん 閲覧数:150
    2008/09/06
    21:21

     十枚目の楽譜を暗譜し終えた蓮は、はたと、海草が生い茂っているところを睨んだ。
    「海九央(ミクオ)! そこで、何やっているんだよ」
     守り帯を下げて、蓮が叫ぶと、海草の密集したところが、サワサワと掻き分けられて、その海草と同じ色の髪と瞳の少年、海九央が現れた。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 八 和沙さん 閲覧数:148
    2008/09/07
    16:39

     十五歳になれるのは……蓮と鈴の、どちらかだけ……
     一人は、滅びる。
     突きつけられた、残酷な事実に、蓮は、ぎゅっと、胸を押さえた。今にも、押しつぶされそうだった。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 五 和沙さん 閲覧数:140
    2008/09/06
    21:09

    「蓮君。何枚、終わった?」
    「七枚」
     鍛錬や仕事を終えて、暗譜を始めた蓮は、海渡の声に、楽譜から、目線を上げずに、そう答えた。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 九 和沙さん 閲覧数:139
    2008/09/07
    22:20

     目を開いても、薄暗くて、よく見えなかった。
     きらきらしていないから、夢の中ではない。朝でもないだろう。
    「夜明けまで、時間があるから、まだ、寝ていられるよ」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十 和沙さん 閲覧数:133
    2008/09/07
    22:22

    「下弦の月の夜に、守り手の海渡と二人で、出立することになっている。そのまま、鈴を迎えに行くから」
     朝まで、まだ、時間があると言われて、床についた蓮は、再び、夢の中で、鈴に会い、先ほどの、海渡との話をして、力強く、そう言った。
     しかし、鈴の表情は、どこか、暗く、儚い。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 七 和沙さん 閲覧数:132
    2008/09/07
    17:08

     最後の楽譜を暗譜して、蓮は満足そうに、顔を上げた。そして、そのまま、凍り付いた。
     そこには、何もなかった。暗くて、何も見えないのではなく、本当に、切り取られたように、何もなかった。
     そして、その理由は、蓮が一番、よく知っていた。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十一 和沙さん 閲覧数:124
    2008/09/14
    03:14

    「よく来たな。私が、音楽を追及する男、神威楽歩だ」
     足音すらも、重々しく響く、長い廊下を、しばらく歩いて、やっと、辿り着いた、やはり、美しいけれど、厳(いかめ)しくて、奇妙な扉の向こうの広い居室(いむろ)で、椅子に腰掛け、彼らを待ち構えていた男が、そう言った。
    「はじめまして。私は、鈴」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十九 和沙さん 閲覧数:124
    2008/09/14
    03:18

    「あ!!」
    「道が終わった」
     光の道は、蓮と鈴の真上と真下で、円を描き、そのまま、消えていた。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十一 和沙さん 閲覧数:123
    2008/09/08
    21:35

     とうとう、この夜が来た。
     蓮は、下弦の月を見据えながら、先ほど、かったるい儀式で、賜(たまわ)ってきた、剣の束を、ぎゅっと、握った。
     蓮の肩に、ポンと、手が置かれる。見やれば、“僕がいるから”とでも言うように、海渡が、微笑んでいた。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十ニ 和沙さん 閲覧数:121
    2008/09/08
    21:42

     ざわつく海の中を、蓮は、鈴月に乗って、一心不乱にかけていた。
     水が騒いでいる。蓮の気が騒いでいるからだけではない。水の中で、戦闘が始まっているのだ。それも、かなりの実力者同士の。
     そんな実力者に、該当するのなんて、間違えようもない。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十五 和沙さん 閲覧数:120
    2008/09/22
    03:31

    「お前たちと、歌舞を興じるのは、本当に、楽しいな。この一瞬、一瞬が、私の論理を証明してくれている気がする」
     ひとしきり、歌い続けた頃、楽歩が、頷きながら、口を開いた。
    「楽歩の論理って?」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十五 和沙さん 閲覧数:112
    2008/09/09
    00:51

    「あ!! この衣! 蓮君のだ!!」
     水面近くになって、海渡が叫んだ。
     巨大な岩に、金襴の刺繍の施された布(きれ)が、引っかかっていたのだ。こんなに、豪華な刺繍のものは、そうそうはないし、だいたい、今日の蓮の衣装も、持ち物も、海渡は、ありありと思いだせる。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十三 和沙さん 閲覧数:110
    2008/09/14
    03:34

    「次は、蓮。お前が引くと良い」
     蓮は、気のない仕草で、影鏡の前に立った。そして、そこに、ゆっくりと、手を伸ばす。水の中に、手を入れたような感覚の後、手に、何かが触れた。思ったよりも、柔らかい気すらもする、それは、チカチカと、瞬いているような気がした。その瞬きに、促されるように、蓮は、それをしっかりと持って、抜き出した。
     ドキドキと高鳴る鼓動のままに、ぱっと、その欠片を見て、そこに書かれた言葉を見て、蓮の胸は、さらに、跳ね上がった。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十四 和沙さん 閲覧数:108
    2008/09/09
    00:43

    「天鳩(ミク)お姉ちゃん……どうしているかな?」
     ふいに、鈴が呟いた。先ほどから、遠くを見るような目をすることが多かったし、ずっと、考えていたのだろう。
     もう、海は静まっているとはいえ、その気持ちは、蓮にも、痛いほど、よくわかった。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十三 和沙さん 閲覧数:108
    2008/09/08
    21:45

    「うん。約束」
     そう言って、鈴は、小指と親指を立てた。
    「ああ。約束」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十ニ 和沙さん 閲覧数:105
    2008/09/14
    03:25

    「廻子お姉ちゃん。忙しいんだね」
     廻子の出て行った扉を、淋しそうに、見やりながら、鈴が呟いた。
    「だから、楽歩も、一人で、歌を作らないといけないのかぁ……つ……ねぇ。他には、何をしているの?」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十四 和沙さん 閲覧数:101
    2008/09/14
    16:27

    「私は、先ほど、引いた、この“桔梗”で歌おう」
    「うん……あ! 楽歩って、桔梗みたい」
     楽歩の言葉に頷いて、そのまま、楽歩を見つめてから、鈴はそう言った。

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十六 和沙さん 閲覧数:101
    2008/09/09
    19:33

    「鈴。疲れただろ? 寝ていいよ。俺が、見張っているから」
     疲れたのだろう。口数の少なくなった鈴に、蓮はそう言った。
    「だ、大丈夫! まだ、平気」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十八 和沙さん 閲覧数:90
    2008/09/09
    19:43

     そして、最後に残ったのは、今までの闇とは、比べようもないほど、大きくて、歪(いびつ)な形の闇だった。
     蓮は、剣を構えると、歌おうとした。そのとき、憑かれたように、鈴が、その闇に、歩み寄ったのだ。
    「貴方、どうして、隠しているの?」

  • 双子の月鏡 ~蓮の夢~ 十七 和沙さん 閲覧数:81
    2008/09/09
    19:38

    「今夜は、朔だな」
    「うん。月が灯らない夜」
     あの下弦の月の夜から、ちょうど、七日目の、朔の日。青い黄昏が、色濃くなってゆくのを眺めながら、蓮が言うと、鈴も歌うように、そう言った。青い横顔は、いつもとは、少し、違っているような気がした。何が、違うというわけではないのだが、どことなく、雰囲気が、この黄昏のように、物憂げで、漂っていってしまいそうだった。

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