タグ:白の娘
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28.女王リン、即位
レンと王女の部屋で落ち合い、王女の服装に戻ったリンは、まずレンに指示を出し、緊急事態の名目で王と王妃の部屋へ向わせた。
目的は、亡くなっている王と王妃を発見するため、そして、彼らに長年にわたり危険な投薬をしていた医師の身柄を押さえるためである。部屋に着いたレンは、大声で兵士...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 28.女王リン、即位
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66.ゆすらうめの花 ~白ノ娘、ハクの最終回~
初夏。緑の国が一年で一番輝く季節。
ハクは、緑の王都の港に近い、海の見える丘の上にいた。
「ミクさま。ネルちゃん。……来たよ」
ミクの墓に植えられた木は、美しい若葉を輝かせており、その下に寄り添うネルの墓には、ゆすらうめの樹が植えられていた。ユス...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 66.ゆすらうめの花 ~白ノ娘、ハクの最終回~
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53. 悪の娘、悪の召使
「この、無礼者!」
レンは、自分の声が凛と響いたことに満足した。
「……よかった。間にあった。」
……自分が、彼女の身代わりになれる間に、この国は変化を成し遂げた。
顔はいくら似ていても、もうじきレンの声は太い男の声に変わる。
兆候は出ていた。だから、レンは出来るだ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 53.悪ノ娘、悪ノ召使
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20.緑の女
「けが人がいると聞いて、リンさまは迷わずに路地に飛び込んでいらした」
「私達に、すぐに助けを求めていらした」
「自分の医者をすぐに貸した」
「一介の薬師だってすぐに受け入れた」
賞賛の声が高まるなか、リンは助けてくれた人々に感謝を述べる。まるで、青の国の王になったようだとリンは思った...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 20.緑の女
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31.落ち逝く星
「ホルスト様!」
玉座の間の外の番兵が、血まみれになって出てきたホルストと医者のガクに色を失った。
「すぐに医者と担架を!」
「私が医者だ。担架と、そして部屋をひとつ空けてくれ! そして私の道具を返してくれ!」
すぐに走り出そうとした番兵を、ホルストの声が止めた。
「いい。……...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 31.落ち逝く星
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21. 自覚
レンは悪夢を見ていた。
真っ黒などろどろとした渦の中に、体がずぶずぶと埋まっていく。
必死に逃げようともがくけれども、どんどん体が沈み、ついにとぷんと頭が埋まってしまう。こぽり、と息の泡が吐き出され、鼻と口に臭い泥が流れ込んできた。
「助けて……」
腕はどろりとした泥に囚われ、...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 21. 自覚
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14. 双子の恋 前編・リン
青の国の太陽が、今日も金色に輝きながら上ってくる。朝、真っ白な太陽を迎えた青の国は、この朝も心地よい風が吹いていた。
気温の上がる前の、涼しい海の音と共に、さわさわと玄関や道を掃く箒の音が響く。
リンたちの宿泊している宿も、のんびりと人が動き出した。
メイコも風...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 14. 双子の恋 前編・リン
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19.願い
ガクが立て続けにリンに指示を出した。リンはうなずくと、宿ではなく街に向って走った。路地の入り口には、突然の不穏な騒ぎになにごとかと人が集まっていた。しかも青の国の王室の使い馬車が路地に堂々と停まっているのである。
リンは路地から飛び出した。
突然の正装の若い娘の姿に、人々は驚く。ど...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 19.願い
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18. 再会
灼熱の昼間が過ぎ、滝のような夕立が過ぎ、やがて夜がやってきた。
雨の去ったころに青の国の使いの馬車がやってきて、リン王女とメイコ、そしてガクを今夜の晩餐会の会場へと誘って行った。
ひとり残されたレンは、着替えて宿の外へ出た。リン王女には、食事は宿で摂るように言われていたのだが、と...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 18.再会
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14.双子の恋 後編・レン
「眠れなかった……」
レンは、ぼんやりと海をみながら思った。
「リン以外の人のことを考えてすごしたのは、初めてだ」
昨夜、リンが青の皇子の宴に出かけている間、散歩に出た町でハクと名乗る娘に出会った。染めた緑の髪に、燃えるような瞳。そしてなにより、勇気のある彼女の行動と...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 14. 双子の恋 後編・レン
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15.平和の絆
「レン、」
今日の行事に供をするはずのレンが倒れたと聞き、すぐさまリンは飛んできた。
今朝方はずいぶんとボーっとした印象だったのが嘘のようだ。今にもスカートをからげてガクの部屋の扉に突っ込みそうなところを、寸での所でメイコが肩を押さえて止めた。
「王女様。落ち着いて」
まるで視...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 15.平和の絆
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ちょっと一休み・『一か月と3日遅れの誕生日』前編!
それは少し前の緑の国のお話。
「ミク様はわがままだ。」
ハクが緑の国の女王、ミクのお付きとなって3か月ほど過ぎたころ、ハクはそう学習した。
ハクは、緑の国のヨワネという紡染織で有名な工芸の村で、刺繍職人として働いていた。腕前はすこぶる良かっ...ちょっと一休み『一ヶ月と三日遅れの誕生日』
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54.囚われの女王
てっきり地下の牢屋もしくは強盗や殺人などの罪を犯した者たちの監獄へと送られると考えていたレンだったが、その予想は外れた。
メイコが女王の拘置場所に選んだのは、国教会の塔の一室であった。
とはいえ、だんだんと秋の気配の濃くなる季節に、石造りの塔の部屋に幽閉されるのは苦しかった...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 54.囚われの女王
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27.黄の国の王、死す
レンは王女の部屋に忍び込み、明るい黄の色のドレスに着替えた。黄色のドレスは夜に咲く花のように闇の中でよく目立つ。市におしのびで出かけるリンに代わって何度も王女に扮したレンにとって、豪奢なドレスさばきはお手の物だった。
髪をいつものリンのようにしっかり分けて整え、燭台を準備...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 27.黄の国の王、死す
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64.リグレット・メッセージ
「レン……!」
暁色の髪の青年が、飛びこんできた彼女を、立ち上がってしっかりと抱きとめた。
青年の腕の中で、リンの息を吸い込む音が、浜辺いっぱいに響いた。
「……背、伸びたね」
「うん」
「……声、変わったね」
「うん」
「ねぇ、レン」
「うん?」...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 64.リグレット・メッセージ
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23.不穏な帰還
再び20日に及ぶ海の旅をして、リンら一行は出発した黄の国の港に戻ってきた。
緊張と、自分の国に戻ったという安堵をないまぜにしながらリンは船を下りた。出発した時からひと月近い時間が流れている。黄の国の気候はすっかり乾燥した夏の様相を呈していた。
迎えた者は、ひと月前と同じ、この...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 23.不穏の帰還
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17.王女と女王
木を植える祭りの興奮も冷め遣らぬまま、海辺の町には再び夜が来た。
夕方に降った雨のおかげで、今夜はしっとりとした空気が世界を満たしている。一番大きな行事の『木を植える祭』が終わって、下町は今頃、お祭り騒ぎだろうなとリンは想像した。
本日の晩餐会は、少し海から離れた会場だ。潮の...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 17. 王女と女王
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52.リンの本音、レンの告白
「これを着てお逃げなさい」
レンが自分の服を突然脱いで差し出したのを、リンは呆けたように見つめていた。
「レン。逃げるのは召使のあなたの方でしょう? あたしは女王ですもの、ちゃんと残って、王の政治の責任を取らないと」
「馬鹿野郎!」
ついにレンは怒鳴った。
「君は女...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 52.リンの本音、レンの告白
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41.ネルの意地
ネルとハクは王宮を出て夜の町を走っていた。
「ネルちゃん、ネルちゃん……待って」
ハクの足がもつれ、ネルがもどかしげに引っ張る。
「何よ! 急いでどこかに隠れないと! 黄の国の軍が押し寄せてくるわよ! 」
「待って! 」
強くハクが引っ張り、ネルはつんのめるように振り向く。
...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 41.ネルの意地
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26.嵐の前夜
「王女がいない! 」
次の朝。なかなか起きて来ないリンを、お疲れのご様子だから、と案じたのがいけなかった。
「メイコ殿!」
町中を駆け回ってきたガクが宿へと飛び込んできた。
「追いかけようにも町中の馬が出払っている!」
「やられた! 」
メイコは思わず叫んだ。早馬、馬車馬、郵便...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 26.嵐の前夜
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25.もたらされた凶報
「……緑の国のミク女王が、青の皇子と婚約した」
なんだ、とリンは冷たい溜息をついた。それならとっくに知っている。ホルストにもいずれそうなるだろうと伝えたはずだ。
「……なお、ミク様は、譲位するおつもりはないそうだ。緑の国の女王として、青の皇子と結婚するそうだ」
「なんですっ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 25.もたらされた凶報
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30.解雇、そして
「私が死すれば、この力、黄の国は失うぞ!」
そう叫んだホルストを、女王リンは剣で刺した。
「……!」
ぼたり、と重い血の塊が赤いじゅうたんに落ちた。
「リン殿! ホルスト殿!」
「ガクの縄を解きなさい。その医師は単なるホルストの雇われ者。もう用は無いわ」
縄を解かれたガクが...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 30.解雇、そして
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『一ヶ月と三日遅れの誕生日』後編!
「で? 声が出ないって」
「うん。なんだか、恥ずかしくって」
「そりゃそうか。『生まれてきてごめんなさい』な人だもんね、あんた」
ネルが鼻歌で曲を付けて歌う。
「もうこれでいいんじゃない? 題は『白の娘』」
「いいわけないでしょ! もう……困るよ」
「ああほんと...ちょっと一休み『一ヶ月と三日遅れの誕生日』後編!
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44.晩夏の葬列 ~前編~
「なんですって? 」
緑の女王の玉座には、現在、黄の女王のリンが座っている。
「緑の民が、次々に自殺している?! 」
緑の各地に展開する黄の軍から次々にもたらされる情報に、リンはがたりと玉座を立ちあがった。
「織物の町ヨワネ、鉄鋼の町ククンダ、木材加工のシルガンド。住...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 44.晩夏の葬列 ~前編~
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29.粛清
諸侯の中でも強い力を持つシャグナが捕らえられた。そして、殺された。
ホルストは、王城まであと一日半という道のりの途中で、リンの遣わした兵士達に捕らえられた。
「何をするか! 私はこの国の重要な地区を治める諸侯のひとりであるぞ!」
「リン女王殿下のご命令にございます」
なに。メイコは...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 29.粛清
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61.白ノ娘、悪ノ娘
星明りを頼りに、ハクはリンを散々探した。
そしてついに、まだ夜の明けきらぬ青い闇の中で、ハクは浜辺にたたずむリンを発見した。
「リン……! やっと見つけた……!」
一瞬子供たちに囲まれて笑顔をみせるリンが脳裏をよぎったが、腹の底から燃え上がる恨みと怒りの炎がそれを吹き消...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 61.白ノ娘、悪ノ娘
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39.ミクの命
夜の闇に鋭く響いた笛の音。それを聞いた瞬間、召使の姿をしたリンは、手持ちの荷物に火打石を打った。
乾いた縄に火花が散る。鞄の布の端に着火したことを確認すると、リンはその鞄を与えられた控え室に置いたまま、部屋を走り出た。
「あっ。どこへ行かれます……」
扉の前で控えていた緑の国の...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 39.ミクの命
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63.輝きを留める者
おだやかな波が、朝の浜辺を寄せては返していく。同じ動きをくりかえしてはいるが、同じ波は二度とは来ない。
「……前は、蹴られたのに」
「今は、そんなことしないよ」
男が、手に握った短剣の柄を向けて、ハクにそれを返す。光の中で見ると刃は少し欠けていた。ハクの命を、暴徒から救っ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 63.輝きを留める者
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65.再び、海辺の町にて ~リン~
* *
少しだけブリオッシュが上手く焼けるようになったころ、ハクは、リンをもとの緑の王都の酒場まで送ってくれた。
酒場の夫婦は心配のあまり、帰ってきたリンを怒りまくり、そして、玄関の扉を開けて抱きしめてくれた。
「君は王女、僕...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 65.再び、海辺の町にて ~リン~
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55.5 間章 ~リンとルカ。カイトとメイコ~
空を焦がす夕焼けが去り、夕闇が激動の黄の国にゆっくりと降りてきた。行交う人は皆興奮し、すべての通りが祭りのように沸き立っている。
人々の顔は、夏の日照りにさらされて、乾き、汚れ、やせ細ってはいたが、今や疲れ切った表情をする者はいなかった。
戸惑い...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 55.5 間章 ~リンとルカ。カイトとメイコ~
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22.海辺にて 前半
それからのリンの七日間は飛ぶように過ぎた。メイコが当然のように、「民間においてどのような医療が現実的なのか、様子を見たいですから」とレンが入院している薬師の家を見学場所に指定した。おかげで、リンは思う存分にレンに付き添うことが出来た。
「おなかを刃物で切って、針でぬったりして...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 22.海辺にて 前編
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~エンディング~ 白の娘
「生きていてごめんなさい。」
いつのまにか口癖になっていた。
弱音ばかり吐いて、つまらない人生の日々を送っていた。
街の人たちはみんな緑色の髪。
私だけ仲間はずれの白い髪。
いつしか私は森の奥で暮らしていた。
森の奥の千年樹にいつも一人で願いをかけた。
孤独で行き続け...悪ノ・ストーリー 第七幕
あき
62.暁
刃を前に、リンの唇がつぶやいた。
「ただの娘として生きてしまって、ごめんなさい。わたしは、悪ノ娘なのに」
……わたしに斬られたホルストやシャグナは、痛かっただろうか。刃を向けられたメイコは、怖かっただろうか。そして、死に追いやったミクやレンは、苦しかっただろうか。
ハクの刃の狙いが、わ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 62.暁
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24.決意
山道を越えて王都に向う道すがらも、水に税を課していることがリンの心を重く締め付けていた。初夏、青の国に出発する前も同じ道を通ったのだが、すでに同じ山とは思えないほどに草木が枯れ果てていた。
谷を流れる川の水はすでに無く、埃にまみれ乾ききった川底を無残に晒していた。
「雨の少なくなる季...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 24.決意
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22. 海辺にて 後編
いろいろなことがあったというのに、波は相変わらず穏やかに砂浜に打ち寄せている。
ゆっくりと沈んでいく太陽に、静かにやってくる夜の涼風。何も変わらない青の国の夏の夕暮れだが、月の形だけが変わっていた。
メイコ、ガク、そしてリンと杖をついたレンは、青の国から見る最後の夕焼け...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 22.海辺にて 後編
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42.罪なき逃亡者、ハク ~後編~
一軒の工房の前でハクは立ち止まった。
そこは、ハクが長い間、刺繍職人として働いた場所だった。
森の中にたった一人で住み、毎日ここへ通ってきていたのだ。
町を出た日と変わらない、長い年月に乾いた木の扉が、ハクの目の前にある。
「……どうも……」
ほかに、言...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 42.罪なき逃亡者、ハク ~後編~
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60.真実と葛藤とミクの短剣
ハクは走っていた。真っ暗な夜道の石畳を、リンを追って走っていた。
戸口から駆け去る際にちらりと見えたリンの向かった先は、海の方角である。
「あの娘、あの娘、あの娘……! 」
ハクの奥歯が、ぎりりと噛みしめられる。
「あの娘、本当に、『女王リン』だ……!」
ハクの...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 60.真実と葛藤とミクの短剣
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56.五年後、海辺の町にて
―五年後―
* *
“まさに彼女は悪の娘”
初春の宵。柔らかな夕闇が海辺の町を包む頃、灯りの燈った酒場に、一日の仕事を終えた男たちが集まる。談笑とともに、いつものようにがなる歌が響く。
“昔々あるところに、悪逆非道の王国の、頂点に君臨...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 56. 五年後、海辺の町にて
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43. ハク、新生
昔住んだ森の中に、ハクはひっそりと身を寄せた。
ヨワネの町のほうから、時折騒ぐ声が聞こえてくる。黄の兵が、ヨワネに到達したのだと気づいた。
「……」
ハクは、工芸の町ヨワネの工房に、物心ついたら住んでいた。同年代の子供たちよりもだいぶ早く針を握り、そして森の中に小さな家を与...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 43.ハク、新生
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33.緑の思惑、黄の進軍 ~緑編~
「ミクさま!」
この日も緑の国の女王、ミクは、ハクとともに刺繍にいそしんでいた。そのミクのもとに、金色の髪の若い女が飛び込んできた。ハクとともに和やかな時を過ごしていたミクの緑色の目が、一瞬で緊張をはらんで輝く。
「ネル! 待ちかねたわ!」
ミクが玉座から立ち...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 33.緑の思惑、黄の進軍 ~緑編~
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