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「…それで?」
「え?」
「…そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」
あれから、半刻が過ぎた。彼女は手持無沙汰にコーヒーを啜りながら、降りしきる雨を、俺の後ろの窓から眺めている。
外はとっくに夕闇が支配している。さらに、もうすぐ夕食時。
もういい加減、帰りたいんだが、と思いながら、ややボーっとしてい...[小説]君に傘を、俺に君を 後篇[ぽルカ]
奈月
今日の早朝から降り続く雨は、出かけ方にバケツをひっくり返したかのようなものへと変わった。先程からひっきりなしに叩かれるこの傘の限界も近いだろう。
雨によって煙る視界に目をひそめ、俺は大きな溜め息を吐き出した。
「こんなことになるならば、出掛けるのではなかった…」
天気予報ではここまで酷い雨が降るとは...[小説]君に傘を、俺に君を 前篇[ぽルカ]
奈月