【消火器がダンディーで気が利く場合】消化器かカッパか、どちらがダンディーで気が利くか聞かれれば【原曲者に謝れ】
私の恋人は、とってもダンディーで気が利くの……消火器だけどね!
【消火器がダンディーで気が利く場合】
消化器かカッパか、どちらがダンディーで気が利くかと聞かれれば【原曲者に謝れ】
「ただいま!」
バン! と元気よく家のドアを開けた。
家には、いつもと変わらないベッド、テーブル、タンス……そして消火器。
消火器は私が帰ってきたことに気づき、私の方へ寄ってきた。
「おかえり、グミ」
いつもと変わらない爽やかなイケメン顔、聞き惚れるようなバリトンボイス。
私が愛する……消火器の君。
「お前の為に、ちゃんとドラマの予約はしておいてよ」
「ホント! いやー、私録画し忘れてたからさー」
「あぁ、今から見るか?」
「もちろん! ……あ、でも洗濯物……」
「俺が片付けといた」
「わぁ! ありがとう!」
本当に君は気が利くなー。
しかも私が椅子に座ろうとしたら、さっとロープ(黒い紐のところ?)で椅子を引いてくれるし。
うん、本当ダンディー。
しかもテーブルの上に角砂糖2つ入りの、私のためのコーヒーがある。
あぁ、ホント気が利くなぁ。ちゃんと私の好みも知ってるし。
ズズッ、とちょっと違うような効果音でコーヒーを味わいながらも、私は君が手渡してくれたリモコンでTVのスイッチを入れた。
そして録画リストの中の『カッパマン♯5』を再生させる。
TVの画面いっぱいに、赤いマントを翻した丸っこい緑の伝説上の生き物……カッパが映った。
そしてタイトルコールが始まったのだった。
*消火器side*
『ダダンダダンダダンダ──ン!!!(ドラムロール)
皆の平和を守ります! カッパマン! ただいま参上!! ドォォン!!!(後ろで何かが爆発した音)』
「きゃー! カッパマンステキー!」
グミが無邪気な幼少年の如く興奮した。
『きゃー! 誰か助けてー!』
知らない女の人が助けを呼ぶ。
そして1秒後、ア○パ○マン(局が違うため名前を伏させていただきます)の如くやってきた!
『チッ、のこのことやってきやがったな! カッパマンめ!』
女の人をチェーンソーで殺そうとしていた(ある意味グロい)タニシマン。
別にのこのこじゃないと思うんだが。
たった1秒でここに来たんだから。
『ふん、今日こそ倒してやるぞ! タニシマン! 大学時代で……結局100万円返してもらってない借りをな!』
カッパマンよ、お前どんだけ騙されてたんだ!
そんな100万円も貸すかね、普通。
っていうか今日こそって、毎日戦ってるんですか。
前回は「死んでいるマンボウ」と戦わなかったか。
『くらえ! サンドリペリオン(砂の反乱)!』
おい待てタニシマン。
それは「F○RY T○IL(局が違うたm(ry)」に出てくるキャラの技名だぞ。
まさかパクったのか……!?
『どうだ! この砂で鳥取砂丘を作ったんだ! その力でお前も生き埋めにしてやるゥ!』
鳥取砂丘はお前が作ってたのか!
いや、これがフィクションなことは分かっているが、絶対あとでこのドラマクレーム来るよな……
さて、対するカッパマンは……?
『この野郎、僕の服を汚しやがって……! 許さねぇ!』
服ってマントのこと!?
怒るポイントそこじゃねーだろ! 後ろで女の人がさっそく生き埋めになってるの気づかないのか!?
『くらえ! 「カッパ様は雨の日の天の川の余裕で渡れるんだぜ」キ──ック!!』
『ぐはぁ!! く、くそゥ、カッパマンめ……! 次こそ覚えとけよ……!』
ここで必殺技が繰り出され、タニシマンは呆気なく倒された……が、まさかの光の速さで逃げていった。
だから決着がつかないのか。
『お、タニシマンめ、結構上手そうなタニシ置いてってるじゃねーか……だから止めを刺せないんだっつーの』
まさかのタニシ分けてくるから止め刺さないのか!?
そこは正義のヒーローなんだから刺しとけよ!
『さぁ、あとは何処かの家のキッチンでタニシ茹でよーっと』
何処かの家ってことは、まさかの不法侵入するつもりかこいつ……!
その家の主が帰ってきたら、「ゴメンゴメン砂抜きは外でやっておいたから」さって言うつもりなのか。
そしてその家の主が「そういう問題じゃねーんだよ」って心の中でツッコむのか。
『カッパマン・完』
「きゃー! 本当カッパマンカッコよかった……!」
こうしてドラマが終わると、グミはものすごい満足感で浸っていた。
「いーなー、私もカッパマンにキッチンでタニシ茹でてもらいたいなー」
……お前にはあの色々ツッコミどころ満載のgdgdドラマがカッコよく見えるのか……
しかしそんなことを素直に言ってしまえば消火器の名折れ(?)
俺は代わりに違う言葉をかけた。
「そんなカッパマンなんかより、俺がいるじゃねーか。今日の晩御飯は、タニシがいいのか?」
「うんっ!」
本当はお前の為に、違う晩御飯を振舞ってやろうと思ったんだがな……
しかしグミの注文にちゃんと応えねば消火器の名折れ(?)だ……! と思いながらキッチンに行くと、
「あ、ゴメンゴメン、砂抜きは外でやっておいたからさー」
──丸っこい緑色の伝説上の生き物……カッパがいた。
しかも、カッパはタニシを茹でていた。
*グミside*
「タニシのフルコースだ」
と君はテーブルにたくさんの料理を運んできてくれた。
あれ? いつもは真っ赤の君の顔の赤みが、ちょっと薄い……? 色落ちしちゃったのかなー?
「赤ワインに合う味付けにしておいた」
「へぇー。赤ワインにあう味付けってどんなのだろー」
「食べれば分かるさ」
あれ? まさ君の顔の赤みが薄くなった……?
私がそのことについて口を開こうとしたら、君がグラスに赤ワインを注いでいた。
……まぁ、いっか。色落ちしたってことだよね、きっと!
私は「いただきまーす!」と手を合わせて元気よく言ってから、さっそくタニシを食べる。
そして赤ワインを呑んだ。
「わぁ……! 本当に赤ワインにぴったり! とっても美味しい!」
「そ、そうか。それはよかったな」
「うん! 私、君のこと好きになってよかった! 大好きだよ!」
「俺も大好きだよ」
二人で愛の告白を交し合いながら、またタニシを一口。
そして赤ワインも一口。
美味しいぃ~。もうこれ、レストラン出せる級なんじゃない!?