鏡の悪魔Ⅲ 2 > ブクマでつながった作品

鏡の悪魔Ⅲ 2

                 -進入-
 館へと戻り、レンはリンとランの飛びつき攻撃によって出迎えられることとなった。
「お帰り!遅かったね、レン!」
「もう、リンさんとずっと待ってたんだよ?お姉ちゃんを困らせないで」
 楽しそうに言うリンとランを適当に振り払うと、レンは思い切り悪態をついて見せた。
「あ~うるさい。誰がお姉ちゃんだ。…おっカイト兄、久しぶり」
 キッチンのほうでメイコとルカの手伝いをしていたカイトを見つけると、レンは少しだけ挨拶をしてキッチンの前を通り過ぎた。それをみてカイトは微笑んで見せると、
「ああ、久しぶり。もうすぐ夕飯だって」
 と言った。
 二階に上がってスクールバックを置くと、部屋のベッドの上に座り込み、ついさっきのレオンの言動について軽く整理してみることにした。
 この部屋はレン専用の部屋だ。というのも、これはメイコのはからいで、
「レンもリンも思春期だしね!それに指輪の中だなんて、狭苦しそうだわ」
 とのことだ。そうこうしているうちにいつの間にかこの部屋を与えられ、皆が楽しそうにレンの部屋の家具探しを始めているのだから、驚いた。
 と、話が脱線していた。今はレオンについてだ。
 机の引き出しから小さなメモ帳を取り出すと箇条書きで要点をまとめ始めた。書き終えてからこれらから導き出される結果を、頭の中で模索しているとノックの音もなしに部屋のドアが開いた。
「レン、晩御飯だよ。早く食べよう。――何、かいてるの?」
 入ってきたのはリンだった。入ってくるなり用件を伝え、レンの手にしたボールペンとメモ帳に興味を示してメモ帳を覗き込もうとした。
「ん?あ、いや、なんでもない。もう晩飯?今日は何だろ」
「今日はね、カレー。ルカが一番得意な料理」
「アイツは基本的に料理得意じゃないだろ。それにカレーって誰でも作れるじゃん」
「あ、そういうこと言うと、ルカにチクっちゃうよ?」
「それは勘弁。初めて会ったときみたいに弓矢でズドーンは怖いからな」
 そうおどけて見せるとベッドのうえから立ち上がり、メモ帳を机の鍵をかけられる引き出しに滑り込ませた。

 夕飯を食べ終えるとどっと疲れが出て、その日はそのままベッドへもぐりこむことになってしまった。
 真夜中にレンの部屋のドアを開くものがいた。
 電気などつけずともカーテンの隙間からこぼれる月明かりによって、レンの少し長い髪の毛がきらきらと光って鮮やかだ。相手がベッドの中で動かないでいることを確認し、手を大きく下へ振り下ろす――
「…ッ!」
 手に持ったハサミの歯は布団へと突き刺さり、代わりにその手を眠っていたはずのレンの手が強く押さえつけていた。ハサミの歯が月光に反射し、怪しく光ると同時に侵入者――ランの長い髪をもきらめかせた。
「ラン?何、やってんだよ。こんな夜中に」
 手にはいった力は緩められることもなく、レンはいつも通りの口調で双子の姉に問いかけた。
「…シ」
「え?」
「ヒトゴロシ」
「何いってるんだよ?ラン。変な夢でもみ――」
「五月蝿い!!気安く呼ぶなッ!この、人殺し!!!」
 その表情は憎しみを固めて作り上げた人形のようで、いつもの優しげなランとは似ても似つかない、別人のようだった。顔が引きつりレンの手の力が弱まったのを見計らって、布団の刺さったままのハサミを手にとり、レンの腹へとその刃を向ける。その光景に、レンは体中から血の気が引くのを感じた。
「ら、ラン?どうしたんだよ?」
「うるさいッ」
 言い終わるのが早いか動き出すのが早いか、ランはレンのほうへハサミの刃を向け、走り出す。そう広くもない部屋の中、この距離でとめるのは至難の業だ。ならば、避けるしかない。
 軽やかに身を翻し、ランの突進をかわしてうまく相手の後ろに回ると、ランのハサミを持った手を後ろに回して動きを止め、ランがハサミを落としてベッドの上にうつぶせに倒れる。
「…は…何、やってんだよ…」
 そう言ってため息をつきながらランの反応を待ったが、どうもランが反応を示さない。
 そっと顔を覗き込んでみると、ランは可愛らしい寝息を立てて眠っていた。
「な…んなんだよ…」
 そういいながらも双子の姉をお姫様抱っこすると、部屋を出てランが寝ていたはずの部屋まで運び、ベッドに寝かせた。無邪気に何かの夢でも見ているのか、時折寝言を言ったりちょっとだけ微笑んでみたり。さっきの表情はどこへ消えたのか、いつものランの表情そのままだった。
 それを確認すると、レンはそっと自分の部屋へ戻った。
「しかし…どうしたんだ?」
 無論眠れるはずもなく、頭を引っ掻き回してランがああなった理由を考えているうち、一人の男の顔が頭に浮かんできた。
『さっき君のお姉さんに会ったよ。家を探しているようだったら、教えておいた』
 まさか、とは思うが、もしかしたら、とも思う。
 その時にランに何か魔法をかけておいたのではないだろうか?本人にはわからないように魔法をかけることくらい、レンにだって簡単にできるのだから、術者ならば朝飯前だろう。
「あの野郎…」
 イライラを向けた相手は窓の外の月だった。ひときわ大きく光る月を睨みつけ、レンはベッドの中へと飛び込むように入って、しかしその夜、眠れることはなかった。

「ククク…いよいよ…かな?」
「楽しそうですね、レオン」
 満月を見て卑しいほどの笑みを浮かべるレオンは、自分たちの家の屋根に上って大福を頬張っていた。それをしたの窓から顔を出して見上げてきたのは、金髪というよりかは薄いクリーム色の、長いストレートの髪を持った少女だった。
「…ローラ。どうした?」
「どうしたってこともありませんが、何か?」
 微笑の中には
『私がここに来ちゃいけないってか?おっさん』
 と、悪意がこめられているのだろう。
 それに気がついたレオンはあえて追求はせず、ちょっと苦笑いをしてもう一度月へと目線を戻した。
神々しいまでの月光は、夜の闇を照らし出し、辺りを包み込むようだった。

こーんばーんは…リオンです!
えーと、前話に脱字がありましたが…面倒なので直してません!(直せよ!)
…と、今回ですが…要約するとですね、
『ランが発狂したっぽい』
です。わぁすごいわかりやすい!ここをみればどんな話だったか、たこでもわかる!(たこルカ的な意味で)
と、言うことで、また明日!

投稿日時 : 2009/08/02 21:09    投稿者 :リオン

ヘルプブクマでつながった作品とは?

鏡の悪魔Ⅲ 23

                 -過去-
 その声の震えは次第に大きくなり、最後には泣き出してしまうのではないかと思わせるほどになって行った。けれど、ルカは話すのをやめようとはしなかった。
「次の日、私の靴箱に彼からの手紙が入っていました。答えは、ふられました。でも、その文面からは、彼の誠意が垣間見られたような気がしました。便箋は何度も消した跡がありました。いつもは汚い字も、綺麗でした。言葉も選んで居てくれたようでした。綺麗に返そうと思ったのだと、私は解釈したのです。それから、私は少し落胆して教室へと向かいました。今すぐにでも大声を出してないてしまいたい気持ちでしたよ。けれど、スラスの空気は異様でした。私を見た瞬間に女子たちの目つきが変わったのです。放課後、私は大勢に女子に呼び出しを受けました。内容は、私が彼に告白した件についてでした。何故知っているのかと聞いてみると、女子のリーダー格だった一人が言いました。あの手紙を書いたのは私よ、と。彼は、私からの告白を受けた後、彼女にその話しをしたのだそうです。どう断ればいいのか、と。自分が何度も書き直した手紙を渡して、どうしたらいいのか相談していたそうです。そうして彼女はキレイな字で私への手紙を書きました。彼を装って。彼と彼女は付き合っていたようでした。それを知らないで、私は大変な間違いをしてしまったと思いました。女子たちからは無視されるようになりました。男子と話そうとすると、放課後呼び出されました。先生に話しても、保護者とのトラブルを避けようとしてカ、聞く耳を持とうとはしてくれませんでした。話を聞いてくれる人なんて、どこにもいませんでした。私はいつしか、人との係わり合いを避けるようになりました。それは進学しても同じでした。ずっと、ずっと一人ぼっちのような、深い孤独が、酷く怖かった」
 そこで、レンはドアからはなれ、もう一度ベッドの上に座ってリングノートを手に持った。それ以上はルカの震えた声を聞いてはいられなかった。声を振るわせるルカは、今にも泣き出してしまいそうなのだろうと考えると、レンにはそれを背中合わせに聞くことはできなかったのだ。
ベッドの上で開くリングノートに書かれた言葉と、ルカの少し低いキレイな声が、レンの脳内で交差した。

リオンさん

リオンさん

2009/08/28 23:55

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