魔法のシンガー♪ネギっ子ミク 第三話 「リンの手料理」 > ブクマでつながった作品

魔法のシンガー♪ネギっ子ミク 第三話 「リンの手料理」

 今日は両親の結婚記念日で、2人ともレストランに出かけてしまった。
 だから食事の支度はリンちゃんがしてくれるという話になったんだけど……目の前に並べられた見た事も無い様なごちそうの数々に僕は目が丸くなった。

 これ、全部リンちゃんが作ったのか!?

「お兄ちゃん、ごめんなさい。張り切って作りすぎちゃいました……」

 申し訳無さそうに僕を見ているリンちゃんだが、謝る事なんて無いじゃないか!!

「リンちゃんすごいよ! こんなに料理が上手ならすごくいいお嫁さんになれるね!」
「お嫁さん……ですか!?」

 あれ?
 リンちゃんが真っ赤になってる。

「ホントに……なれるでしょうか……」
「ああ! リンちゃんは可愛いくて優しいのに、料理が得意なんて最高じゃないか!」
「お兄ちゃん、誉めすぎです……!!」

 はは、照れてて可愛いなぁ。

 ん? ……視線を感じる。
 ああ、わかったぞ、これは。

「こら、てめぇ」

 ほらね、リンちゃんと同じ顔した弟だ。

「何だいレン君、眉毛が釣りあがってるよ? そんな怖い顔したら女の子にモテないぞぉ?」

「オレは別に女の子になんか興味ねぇよ! それよりネギ、さっきも言っただろ。リンに手を出すなって」
「ふーん、君、弟なのにリンちゃんの事好きなんだ?」
「なっ……!!」

 お? レン君の態度が変わったぞ?

「そうじゃなくてっ……リンはオレの大事な姉ちゃんなんだよ……変な虫が付かないようにオレが監視してるんだ」
「そんなの、リンちゃんには迷惑なんじゃないのかい?」
「ぐっ……そんな事……無いよな?」

 レン君がリンちゃんをちらっと見る。

「レンくんはわたしの事心配してくれてるんだよね? わかってるよ」
「リン……!」

 何だこの雰囲気は。
 僕が場違いみたいじゃないか。

 そこに、さらに空気が読めない奴がやって来た。

「おお、リン! すごいごちそうだな!!」
「お姉ちゃん。うん、ネギも沢山入れたよ。いっぱい食べてね」
「いや~料理上手の妹を持つと助かるなぁ」

 ミクは料理とかあんまり得意そうじゃないよな。

「ミク」
「何だ?」
「お前は料理はしないのか?」
「そんなもの、魔法でちょちょいのちょいだ」
「ネギしか出さないんだろ?」
「当たり前の事を今更聞くな」

 ……だよなぁ。
 こいつの場合、料理=ネギなんだろうきっと。

 とりあえず、今日は僕の親も出掛けてるし、4人で食事をするか。


「いただきまーす」

 リンちゃんの作った料理は見た目だけじゃなく、味も最高だ。
 こんなお嫁さんが欲しいよマジで。

 沢山あった料理は4人で全部食べてしまった。
 主に食べてたのは僕とミクだけどな。

「そうだ、ネギ」
「何だよ」
「リンとレンの好物買っておいたか?」
「ん? バナナとみかんの事か? ……ちょっと待ってくれ」

 僕はいつも果物を買った時に入れてる棚の中を覗いた。

「お、あったあった」

 バナナとみかんを取り出す。

 ん?

 リンちゃんが嬉しそうな顔でこっちを見てるのに対して、レン君はちらっと横目で見たかと思うとすぐに目を逸らした。

「レン君、バナナ好きなんだろ?」
「べ、別に……」
「じゃあ、これいらないか」
「ま、待てよ! 食べてやらない事も、ない……ぞ」

 やれやれ。素直に好きだって言えないもんかねぇ。

「はいこれ」

「……」

 レン君は無言でバナナを受け取ると、後ろを向いて食べ始めた。
 ああ、レン君の性格が何となく読めてきたぞ。ようするに素直じゃないんだな。

「なぁネギ、私にはおやつのネギはないのか?」
「おまっ……! あんだけ食っといて、まだ食う気か!?」
「やだなぁ冗談もわからんとは」
「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ……」

 全く、ミクは相変わらずだな。
 まあ、こいつの事は今はいい。

「リンちゃん、みかん好きなんだってね。はいどうぞ」
「ありがとうございます……! 美味しそうです」

 リンちゃんはすごく美味しそうにみかんを食べてる。
 ああ、目の前に天使がいる……!

 みかんを1個食べて、リンちゃんは「ごちそうさまです」と食べるのをやめた。
「あれ? 1個でいいのかい? まだ沢山あるよ?」
「あ……えっと。みかんは1日1個って決めてるんです」
「そうなんだ?」

 そこにミクが笑いながら話に割り込んで来た。
「いっぱい食べると黄色くなっちゃうもんなぁ」
「黄色くなる?」

 何の事だ?

「お、お姉ちゃん!!」
「本当の事だろう? ネギ、リンは昔な、みかんの食べすぎで手が黄色くなってたんだよ。私が指摘するまで本人気付かなかったんだ」
「お姉ちゃん……何で言っちゃうの……」

 リンちゃんが真っ赤になってる。可愛いなぁ。

「みかんの食べすぎで手が黄色くなるもんなのか?」
「ああ、私もリンの手を見て初めて気付いた」

 ん? ちょっと待てよ?

「そういうお前はネギ臭いんじゃないのか? 手が」
「何を言う!! 私の魔法で出したネギは手に匂いなんて移らないぞ!」
「ほう……そうなのか?」

 僕はあの匂いがだめなんだが……匂いがないならもしかして食べられるかもしれないな?

「ミク、あの時出したねぎま、また出せるか?」
「おう! 任せとけ!」

 ミクは「ネギネギ!!」と唱える。
 目の前の皿の上にねぎまが出てきた。

 僕は1本手に取ると匂いを嗅ぐ。

「確かに他のネギと比べるとあんまり匂わないような……?」
「だろう?」

 僕は意を決してそれを口に入れた。


 ……入れて後悔した。

「うげぇぇぇぇ」
 
 何だこれは!?
 ネギの味が濃さ2倍増しだろう!!
 いくら匂わなくても、こんな濃厚なネギ味食えるか!!

「こらネギ、人に出させておいて、随分な態度だな!?」
「……僕はネギだけは絶対に食べられないという事がわかったよ。すまなかったな」
「まったく、君はネギの良さがわからないとは可哀想な奴だな」
「可哀想で結構」

 そんなこんなで、賑やかな夕食タイムは終わった。
 リンちゃんが後片付けしてるから僕も手伝おうとしたけど「お兄ちゃんはくつろいでいて下さい」と断られてしまった。

 本当にリンちゃんは良く出来た子だなぁ。

 ミクとレン君の2人は何だか似た物同士っぽいけどな。

 僕が居間に行くとミクとレン君が何やら話をしている。何の話だ?

「ところでレン、今のクラスは何だ? ちなみに私はDARKだが」
「オレはCOLDだよ。変える気もねーし……」

 ダークとかコールドって何だ?
 
 こういう場合は聞いてみるのが一番だな。

「なぁミク、今話してたクラスって何だ?」
「ん? 何だネギ知りたいのか?」
「ああ、興味あるな。魔法使いってのも胡散臭いが、一応色々あるみたいだしな」

 ミクは少し機嫌悪そうな態度になる。
「胡散臭いとは何事か! 私はこれでも由緒ある……」
「魔女少女だろ? わかってるって。だから教えてくれよ」
「むむ。仕方ないな。私達魔法使いには、それぞれクラスというものがある。それは個人個人で数も種類も違う。ちなみに私は7つ持っているぞ」
「へー、クラスが違うと何が変わるんだ?」

 ミクは、えっへんといった態度で腰に手を当てる。
「使える魔法が変わるんだ。DARKというのは私の持っているクラスの中でも一番私好みの魔法が多く使える。だから今はDARKを好んで使ってる状態だな」

「へー、そうなのか。で、レン君はコールドか。何か冷たそうな名前だな」

 レン君がこっちをチラッと見る。

「氷の魔法とか使えるからな。かけてやろうか?」
「いや結構……真面目な顔で怖い事言わないでくれ」

 レン君はそっぽを向いた。
 何か嫌われてるっぽいなぁ。

 ん? そういえばリンちゃんは何なんだろう?

「ミク、リンちゃんはクラス何なんだ?」
「ああ、リンはSWEETだな。リンは元々料理上手なんだがSWEETだとより多くの料理が作れるようになるらしい。お菓子作りも好きだしな」
「へぇ……リンちゃんらしいな」

 しかし、ミクのダークって……性格にもそのまま出てる気がするが気のせいか?
 レン君のコールドもリンちゃんのスウィートも同じ事が言えるし。

 その時僕は気付いた。

 ミクに最初に会った日、あの時いきなりミクは性格が豹変した。もしかしてあれって。

「ミク、お前、僕に最初に会った日に、クラスチェンジとかしてないよな?」
「おお! 良く気付いたな! 確かにあの時私はSOFTになったな」

 や、やっぱり名前は性格に出てるんじゃないか……!

「ミク。悪い事は言わないから、そのソフトってやつのままじゃ駄目か? ダークは何かイメージが……」
「馬鹿者! あんなひ弱なクラス使ってられるか! せいぜい泣き落としする時くらいしか使えん」

 ……素のミクの性格がダークに近いんだろうな。そうか。

「じゃあ、やっぱりクラスチェンジで性格にモロに影響出るんだな。なあレン君」
「な、何だよ……」
「レン君は他にどんなクラスがあるんだい?」
「あ、あんたに教える筋合いはねーよ!」

 だがミクがにやにやしている。何だ?

「レンはな、素の性格が真面目だから好んでCOLDを使ってるんだよ」
「……? 意味が分からんな。真面目ならそんな生意気な性格にはならないんじゃないのか?」

 しまった本音が出た。

「てめぇ、生意気とか言ってんじゃねぇよ!」

 いや、生意気だろ。

「でもレン君は、リンちゃんの事大事に思ってるみたいだし、根は良い子なんだろ?」

「なっ……!? 変な事言ってんじゃねぇ……」
 レン君が赤くなった。弄ると面白いな。

 ミクがレン君の隣でいきなりネギステッキを取り出した。

「ふふ……」
「な、何だよ姉貴……何企んで……!」

 ミクが呪文を唱える。
「ネギネギ!」

 何だ?
 レン君の様子が何だか……?

「……ひ、ひどいよ! 急に人のクラス勝手に変えないでよ!」
「ははは、久しぶりに見たな。ノーマルは」

 ノーマル?

 レン君がこっち見て困った顔してる。何か全然雰囲気が違うのは何だ……?

「レン君、今はノーマルなのかい?」
「……そ、そうだけどっ! これじゃ魔法使えないよ……ひどいよお姉ちゃん」

 僕は耳を疑った。
 「お姉ちゃん」だって……?

 ミクが笑う。

「レンは元々魔法が使えないノーマルクラスだったからなぁ。私はノーマルでもいくつか魔法が使えたがな。才能って奴か? レンはノーマルに戻したら自力でクラスを変える事は出来ない。だから常にリンの側にいないと駄目なんだ」

 ミク、酷い事するなぁ。でもレン君がリンちゃんを特別視する理由がわかったな。
 お姉さんだからって以上に、自分の魔法使いとしての生命線みたいな存在なのか。

「ミク、わかったからレン君を戻してやれよ。可哀想だろ?」
「何だよ? すぐ戻したらつまんないじゃないか。なぁレン?」
「お姉ちゃんの意地悪……」

 その時リンちゃんが戻って来た。

「冷たいレモンティー入れてきました。一緒に飲みま……あれ? レンくん?」
「リン……」

 泣きそうな顔でレン君がリンちゃんの顔を見ている。

 リンちゃんはテーブルにコップの載ったトレイを置くと、すぐにミクの方を見た。

「お姉ちゃん! またレンくんに悪戯したでしょ?」
「何の事かなぁ?」

 ミクはしらばっくれているが、レン君の態度でバレバレだっつーの。

 リンちゃんは泣きそうなレン君の頭を撫でながら言った。
「今戻してあげるからね」
「うん……」

 しかし……ここまで大人しいレン君ってのも意外というか何と言うか。
 元々こんな性格じゃ、クラスチェンジしてでも性格変えたくなるかもしれないな。

 リンちゃんはカスタネットのようなオレンジ色のモノを出すと、2回叩く。
「プリクル プリカル スウィートマジカル」

 お? レン君の表情が明らかに変わった。

「サンキュ、リン。ったく姉貴には参るぜ……」
「あはは。いつものレンくんだ~」

 それにしても……リンちゃんの呪文はいかにも魔女っ子って感じで可愛いなぁ。
 ん? 待てよ。レン君もなんか呪文唱えるのか?
 興味あるな。

「レン君」
「何だよ。元はといえば、あんたがおかしな事言ったせいでオレがこんな目に……」

 あ、レン君機嫌悪いな。まあいい。

「まぁまぁ。落ち着いて。レン君はさ、魔法使う時何か呪文唱えるの?」
「なっ……そ、そりゃ……」

 何だ? また黙り込んだぞ?

 ミクがニヤニヤする。

「なぁレン、見せてやったらどうだ?」
「や、やだよ……」
「何でかなぁ?」

 ミクの奴楽しそうだな。
 普段からレン君はこんな風にからかわれてるのか? でも僕も見たいしな。

「ほらレン君、さっき言っただろ? 氷の魔法かけてやろうかって。やってよ」
「……死んでも知らないぞ?」
「いや、待った。死ぬのは困る。じゃあコールドなんだから氷とか出せないかな? そこにあるレモンティーに1個ずつ氷を増やすとかさ」
「地味だな」
「いいじゃないか。ほらほら」
「……わかったよ」

 レン君は何となく人の目を気にするような態度で、指を鳴らすとブーメランのような黄色い物を出した。
 
「クルーエル フリージング エナジー!」

 気が付いたらコップの中の氷が一個ずつ増えていた。

 ……っていうか。

「レン君は中二病なのかな?」
「何だよそれは! バカにしてんのか!?」
「だ、だってさぁ、今の呪文……あれ……ぷっ……」

 僕は思わず吹き出した。

「こ、このやろ……」
 レン君が怒っているけど、僕は我慢出来なかった。
 だっていかにも中学生の男の子が好きそうな単語並べてますって感じじゃないか。

「くそー……ばかにしやがって……」

「まぁまぁ、レン。私のように呪文を短くするのが一番だよ。うん」
「姉貴のはくそかっこわるいじゃねーか! 何がネギネギだ!」

 でもリンちゃんはニコニコしてる。

「わたしはレンくんの呪文好きだよ。かっこいいもん」
「リン……! そ、そうだよな!」

 あーあ、やっぱり最後はリンちゃんがまとめるんだな。
 この家、この先もリンちゃんがいないと大変かもしれないなぁ。

つづく

3話です~
何か今回投稿する時に文字数制限受けて、少し削りました…
内容は変わらないですけど、セリフとか若干変更したので、完全版をいずれサイトの方に載せたいです(^^;

自分でも書いててすごく楽しいので、今後も続けて行きたいです~

4話ももう出来てますw
また近いうちに(*´▽`*)

投稿日時 : 2011/04/09 00:04    投稿者 :ぎんこ

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