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ヒガノボルカナタ

真っ白なキャンバスに 色をのせるように
私たちは歩き出す

翡翠色の彼方に 紅い華をそえて
目に映るものすべてが 色鮮やかで
両手いっぱいに抱え込んだ 小さな私を
今の私が 哀れむように睨む
一筋の涙をつたわせて

真っ白なキャンバスに 色をのせてくごとに
大切なものを 置き去りにして
セピアに染まってく思い出(もの) 見送るしかないなら
今感じるぬくもりを ぎゅっと抱きしめて

あのうたかたの影 夢にまどろんで
手を伸ばしては また幻と消え
旅の道しるべ 虹色の羽をなくしたのは
切り取った窓の外へ 身を投げたその日

真っ白なキャンバスに ぽっかりと浮かぶ
記憶の中の空白 セピアに沈んでた
思い出にも一度 あの時の空の色を

真っ白なキャンバスに すかし見る青い空
たそがれの光そえて
星のない暗闇も まばゆい朝陽に目をやかれても
今始まるこの瞬間を 柔らかに描きだそう

人の歩みはまるで白の世界に絵を描いていくよう
過ぎ去って行く日にちは、だんだんと色あせて、消えて行ってしまう
それでもそんな日々が積み重なって今ができている
構成素材がなくなってしまっても、決してなくならない今が―――ある

投稿日時 : 2008/09/05 19:08    投稿者 :姫守 流騎

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