魔法のシンガー♪ネギっ子ミク 第九話 「メイコの思惑・前編」 > ブクマでつながった作品

魔法のシンガー♪ネギっ子ミク 第九話 「メイコの思惑・前編」

 メイコさんを部屋に送り届けて自分の部屋に戻る途中、レン君の部屋から拍手が聞こえた。
 楽しそうな話し声も聞こえる。
 そういえばリンちゃん、朝からずっとレン君の部屋に行ったままだな。
 何してるんだ……?

 部屋のドアをノックしてみる。

「はーい」
 出て来たのはリンちゃんだ。
「あれ? お兄ちゃんどうしたんですか?」
「今拍手が聞こえたから何かと思って」
「あ、それはですねっ! 中入って下さい!」

 リンちゃんに言われるまま部屋に入ると、満足気な顔のレン君の前に何か置いてある。

「レン君……?」
「ああ、ネギか。見てくれこれを! すっげーだろ!!」
 レン君はいつものクールさはどこへ消えたのかというほどのテンションだ。
 
「……プラモデル!?」

 レン君が指差すそれは、かっこいいロボットのプラモデルだった。
 完成がプロっぽいな。塗装も完璧じゃないか。
 って、感心してる場合じゃない。何でまたこんな物……。

「レン君、それどうしたんだい?」
「オレが組み立てたんだよ! かっこいいだろ?」

「ああ、確かにかっこいいけど……」
 僕はプラモデルなんて持ってないし、どこから手に入れたんだ?

 リンちゃんがにこにこしながら教えてくれる。

「先日メイコお姉ちゃんから貰ったんです。レンくんは手先が器用だからこういうの好きじゃないかって。カイト王子にも同じものをプレゼントしたらしくて、レンくん、王子よりかっこいいもの作るってはりきってたんですよ。何日もこつこつ頑張ってさっき完成したんです」

「そうなんだ。じゃあ王子が作るものも気になるね」

「あいつに負けるわけ無いだろ! なあリン」
「うーん、確かにレンくんのはかっこいいけど、王子のも見てみないとわかんないよ」
「……絶対負けないからな! あいつの完成品見たらわかるさ」

 レン君すごい自信だな。

 しかしメイコさんも何でまた……。
 まあ、何か考えがあるんだろうけど、とりあえず王子の作ったプラモも見てみたいな。
 それにしてもレン君がこんなに器用とは意外だったな。

 メイコさんもそうだけど、人は見かけによらないものなんだなぁ。





 そして次の日。

 今日はバイトも休みだし、ゆっくり出来るなーと居間でテレビを見ていたら、メイコさんが頭を抱えて部屋から出てきた。

「うー……頭いたーい……」
「メイコさん、大丈夫ですか? お酒弱かったんですね……」
「……ごめんねネギ君。あたしを抱えて部屋まで連れてきてくれたってルカから聞いたわ。ありがとね」
「いいえ、いいんですよ。元はといえば父さんのせいですし」

 その時僕はプラモデルの事を思い出した。

「そうだメイコさん、プラモデル……レン君と王子にあげたんですね。昨日レン君に完成品見せてもらいましたよ」
「あら、もう完成させたのね。レンは昔から器用でね、元々大人しい子で部屋にこもって何か作ってはリンにプレゼントしてたのよ。それで、ね」

「そうなんですか……今はあんなに強気な性格なのに全然違いますね」
「あの子が今みたいになったのは10歳の時からね。やっぱり男の子らしくなりたかったんでしょ。でも本来の性格はそのままよ。ミクもそうだけど二人ともわざわざクラスチェンジで性格まで変えるなんてね……」

「ミクもですか……?」
「そうよ? あんな話し方の女の子そうそういないじゃない。あれは元のミクの性格じゃないわ」
「へー……」

 いや、僕にはあれが地の性格としか思えないけどね!!

「でも、何で王子にまでプレゼントしたんですか?」

 メイコさんがクスッと笑う。

「カイト王子はレンと仲良くしたいらしいんだけどね……レンが一方的に嫌ってるのよ。だから何だか不憫に思えてね。同じ物作ったら話も合うんじゃないかって思ったんだけど」
「そうだったんですか。やっぱりメイコさんは優しいですね」

 メイコさんが首を振る。
「そんな事ないわ。あたしはただ皆仲良くして欲しいだけよ」
「……そういえば僕もちびっこ達とルカさんが仲が悪いの嫌だったもんな」
「ふふ、そういう事ね。ネギ君だって優しいじゃない」
「え、いえいえ!」

 そんな訳でメイコさんの思惑はわかったけど、そうそう上手く行くかなぁ?



 その時、タイミング良くレン君が二階から降りて来た。
「喉乾いたなー。ネギ、何か飲み物ってあるか?」
「ああ、冷蔵庫に麦茶が入ってるよ」
「麦茶か……まあ何もないよりはいっか」

 そう言うとレン君は大きなコップに麦茶を入れて来るとソファに座った。

「なあ、レン君。王子の作るプラモ気になるだろ?」
「まあ、少しはな」

「見に行ってみるかい?」
「べ、別にあんな奴の家になんか行きたくねぇよ」

 ははは、気になるくせに素直じゃないな。

 そこにメイコさんも話に加わる。

「レン、完成したんでしょ?」
「ああ、昨日完成させた」
「さすがね、どう? 王子のも気にならない?」
「だ、だからオレはあんな奴の家には……!」


 だが、噂をすれば何とやらだ。

 いきなりインターホンが鳴った。
 慌ててモニターの前に行く。

「……王子!? どうしたんですか?」
 モニター越しには何だか疲れた様子の王子の顔が見えた。

『ネギ君おはよう。ちょっといいかな』
「あ、おはようございますっ! 今すぐ開けますね!」

 玄関のドアを開けると寝不足なのか王子の目の下にクマが出来ている。

「王子、お疲れのご様子ですが……?」
「いや……ちょっとね。あの、ネギ君はプラモデルとか作るのは得意かな?」
「え?」

 事情を聞いてみると、カイト王子はどうやらレン君とは正反対の人種のようだった。

「ボクは昔から何でも魔法で解決してたせいか、少し手先が不器用なんだ。それでネギ君に相談しようと思って……」
「でも僕プラモデルとか作ったのって子供の時で、最近は全然ですよ?」
「いやいや、それでも作ったことがあるなら大丈夫だよ。ボク一人じゃ完成させられそうもないから手伝って欲しいんだが……」

 その時僕は閃いた。

「僕よりレン君のほうが得意ですよ?」
「え? レンが?」

 僕は大声でレン君を呼んだ。

「おーいレン君!!」

 レン君は今玄関にいるのが王子だとわかっているせいか、全然出て来る気配がない。

「……ちょっと待ってて下さいね」

 僕は家の中に一旦入ると、ソファでくつろいでるレン君の肩を掴む。

「な、何だよ……!」
「のん気に麦茶飲んでる場合じゃないよ?」
「お、オレは王子に用なんかねぇよ」

 本当にレン君は王子の事嫌ってるんだなぁ。

 でもせっかくのメイコさんの好意を無にする訳にはいかない。

「いいから、こっちに来て!」
「お、おい!! 放せよ! こぼれるだろ!」
 レン君は慌ててコップをテーブルに置く。

 僕はレン君の腕を引っ張ると強引に玄関まで連れてきた。

 王子は機嫌の悪そうなレン君を見て困った顔をしている。

「あ、いや……無理にとは言わないんだけどね」

 王子はすでに引き下がる気のようだ。
 でもこのままじゃいけない。

「レン君! 王子が一人じゃプラモデル作れないって言うんだ。手伝ってやってくれないか?」
「な、何でオレが!」

 レン君もすごい嫌そうな顔をする。

 まったく、本当にこの二人は……!


 その時だ、王子の後ろから大荷物を持ったミクが現れた。

「……ミク、何だその買い物袋は」

 するとミクはドヤ顔で言った。
「母上のお使いに行ってきたんだ! ふふん、私だってこの家の役に立っているんだぞ! ネギも見習え!」
「あー……そうかい。お使いくらい僕だって行ってるよ。バイト帰りに洗剤買ってこいとかそんなのはしょっちゅうだ」

「むむ、ネギでもそんな気を使うのか」
「お前は僕の事どういう目で見てたんだよ!」
「ただ飯食いのぐうたら息子」
「失礼な事言うな!!」

 まったく、何だよ!
 僕だってバイト代全部じゃないけど……少しは親に渡してるんだ!
 それなのに酷いなミクは!

 だが、当のミクは涼しい顔で玄関に入ろうとする。が、王子がいることに疑問を抱いたようだ。

「カイト、何の用だ?」
「あ、いや……ちょっと……」

 王子もどう言っていいのか困ってるみたいだ。

 全く、ミクが関わると話がややこしくなるんだよな……。

「ミク、後で説明するからとりあえず荷物置いてこいよ」
「うむ。早く冷蔵庫に入れないとな!」

 ミクは中に入りさっさと袋の中身を冷蔵庫に入れ始めた。
 へー……慣れた手つきだな。入れる場所も間違ってないし、あいつ買い物とか結構行ってるのか……って、感心してる場合じゃないよ!

「王子、こんな所じゃ何ですし中に入って下さい」
「あ、ああ……そうさせてもらうよ」

 王子が中に入ると、レン君も嫌そうな顔だがとりあえずはその場に留まってくれた。
 ミクは相変わらず失礼な態度で王子に疑問を投げかける。

「で、何でカイトがここにいるんだ? 遊びに来たのか?」
「あ、いや、うん。ちょっとボク一人じゃ解決出来ないことがあってね」
「お前に解決出来無い事なんかあるのか? トップクラスの魔法使いのくせに」
「魔法を使わないことなんでね……」

 やっぱりカイト王子はトップクラスの魔法使いなんだ。

 だが、そんなすごい人なのに、今のカイト王子は何だか少し頼りなく見える。

「メイコさんに、この世界で少年たちが夢中になっているというものをプレゼントされたのだけどね、ボクは魔法で何でも解決してきたために、自分の手でそれを組み立てることが出来なかったんだ。それで……」

 そう王子が言いかけて、僕がその続きを慌てて言う。
「レン君がプラモデル作るの得意だから手伝って欲しいんですよね?」
「あ、ああ……うん」
「……」

 王子は困った顔で、レン君は機嫌の悪い顔だ。

 横に座ってるメイコさんも何だか二人のことが心配そうだ。

「何だ、じゃあレン、お前が王子の家に行って手伝えばいいだけの話じゃないか」

 ミクは軽く言う。だからこの二人の関係じゃそれが簡単に出来ないから困ってるんだよ……!

「何でオレが……」

 つまらなさそうな顔のレンくんを見て、ミクがニヤリと笑う。
「レン、自信ないんだろ? カイトに見られながらやって失敗するのが怖いんだな? それじゃあ仕方ないなぁ。なぁネギ?」

「……レン君そうなの?」
「ばっ……!! オレがそんな失敗なんかする訳ねえだろ! 馬鹿にすんなよ!」

 だがミクはニヤニヤしたまま続ける。

「口だけならなんとでも言えるよなぁ。カイト、悪いな、レンは自信がないみたいだ」

 そこまで言われレン君がテーブルを叩く。

「ふざけんな! わかったよ。やってやる。すっげーの作ってやるからびびんなよ!」

 レン君が王子を睨むと、王子は少しびくついた様子で何度も頷いた。


 何だかんだ言って、ミクのおかげでレン君は素直に王子の家に行くことになった。
 ミクのやつ、計算してるのか何も考えてないのかわかんないな。

「しかし、そのプラモデルとかいうのを作る所は私も見てみたいな! 見学に行くぞネギ!」
「僕もかよ! 今日はせっかくの休みなのに……」
「なら丁度いい! さあ、行くぞレン」
「言われなくても行ってやるさ!」


 そんな一連の会話を聞いて、途中でメイコさんの表情が穏やかになっていた。
 メイコさん、こうなるのわかってたのかな。
 途中で一切口出しをしなかったのは、てっきり頭痛のせいかと思ってたけど……。
 それにミクの行動はやっぱり計算していたんだろうか。まあ、僕にはわかんないけどさ。


後編に続きます。

随分間が開いてしまいました。一応前回のラストから繋がっています。

私自身はプラモデルに関しては素人なのですが、子供の頃によく弟の横で見ていたので、それを思い出しながら書いてみました。
弟はマニアックで、よく改造とかしていましたよw

後編に続きましたので、続きは近いうちに投稿したいと思います!

ルカさん出せなくてごめんなさい……;

投稿日時 : 2011/11/25 01:50    投稿者 :ぎんこ

ヘルプブクマでつながった作品とは?

「VOCALOID HEARTS」~第22話・狙われた少女~

「連続暗殺事件…物騒な世の中」
 唄音ウタことデフォ子。MARTで支援を受けて社会復帰を果たしたウタは、小さな広告店でうだつの上がらない毎日を送っていた。基本的にやることといえば、街中で昼前から夕方まで延々とティッシュ配り。彼女は正直、そんな仕事に満足はしていなかった。クールで無気力、それでいて人前に晒すことのないサディエストさを持った彼女にとっては、余計に。
 しかしここまできて、ようやくまともな職を掴んだウタは、再びカイトの世話になるわけにはいかないと思い、贅沢は言えなかった。そうして今日も変わらず長く感じる昼休憩の合間に、自分のデスクに弁当を広げて新聞を読んでいた。15歳にはあまり見られない光景だが、カイトに「日頃から新聞を読め」と言われていたので、その習慣が身についているようだ。テレビ番組覧の裏には、連日この¨暗殺事件¨について大きく報道されていた。
 ¨立て続けに起こる暗殺事件。そして昨日未明、30代と見られる男性が都内のマンションで倒れているのを近隣住人が発見した。警察によると男性は腹部に銃撃を受けており、現在懸命な治療が行われている。男性の身元は現在確認中であるが、アンドロイド平和統括理事会の重役であるとみられ、理事会も独自に調査を開始している。警察は殺人未遂の容疑で、以前の事件と同一犯である可能性もあるとみて捜査を進める方針だ。¨
「…寝よ」

オレアリアさん

オレアリアさん

2015/11/06 18:09

▲TOP