タグ:BSP
113件
ダメだと言われるとやりたくなる事って絶対ある。入っちゃダメって言われると入りたくなる、聞いちゃダメ、見ちゃダメ、言っちゃダメ、判ってるけど気になっちゃったの。
「リヌちゃん?どうしたの?ずっとPC見てるけど…何か調べ物?」
「あ、えっと、学校の宿題で!」
「そうなの、あんまり夜更かししちゃダメよ。」...BeastSyndrome -22.空気読んでよね!-
安酉鵺
「あ~冰音リヌちゃんだ。うわ~可愛い~♪」
「え?タレントなのか?」
「使土、女の子を羽交い絞めにする物ではありませんよ、手を放しなさい。」
その言葉に意外とあっさり手を放してくれた。強盗…じゃ、ない?でも何この怪し過ぎる集団!女装!スーツ!全身黒!思いっ切り疑いの目を向けているとまたピアノの音が聞...BeastSyndrome -21.不可侵領域-
安酉鵺
「リヌちゃんは本当に可愛いわね~。」
「将来タレントとかなれるよ!絶対!」
小さい頃から可愛いと言われて育った。歌を歌うのが大好きで、ダンスも楽しくて、芸能界にスカウトされた時だって正直楽勝だと思ったの。だけど目の前に居る人達は本当に全然可愛くて、歌も上手いしダンスも私より綺麗で…。
「やめやめ!や...BeastSyndrome -20.ズルイ心も私の心-
安酉鵺
抱き締められたまま顔を上げる事が出来なかった。勿論やましい事した訳じゃないけど、真っ直ぐに先生の目を見れなかった。どうしよう、絶対絶対誤解してる!してなくても良い気分じゃないよね?あ、でも羽鉦さんがスキンシップ激しい方だから、そのせいで、とか言ってみれば誤魔化したり…いや、無理無理!黙ってたら余計何...
BeastSyndrome -19.世界で一番優しい檻-
安酉鵺
「大変大変たいへ~~~ん!」
ドタバタと大きな音を立てて木徒ちゃんが部屋に入…。
――ガラガラガッチャーーン!!
入り損ねた様だ…。盛大な音と共に平謝りする声が聞こえた。
「あぅ~~~痛い…。」
「大丈夫?」
「あ、スズミさん!大変なの!これこれ!これ見て!!」
木徒ちゃんは興奮気味に雑誌を目の前に...BeastSyndrome -18.言い訳出来たら神認定-
安酉鵺
「…怖がらせようとしたってダメですよ、羽鉦さん。」
「ん…?」
「羽鉦さんには私や奏先生が本気で傷付く事は出来ない、違いますか?」
両手首を押さえる力が、目の前にある顔が、怖くない訳じゃない。だけど同時に本気じゃないのも判ったから。笑顔でいるのに何処までも悲しそうな目が笑っても怒ってもいなかったから...BeastSyndrome -17.気付いたら、負けですよ?-
安酉鵺
『判ってる…君のせいじゃないって。』
誰…?
『だけど俺にはもう耐えられないんだ。』
この声…どこかで…。
『このままじゃ…いずれ…。』
どこかで…。
「いい加減起きろー。」
「きぃやぁああああああああああああ?!」
「ごふぅ…っ!!」
思い切り膝で鳩尾を蹴り上げていた。だって目を開けた瞬間アップで...BeastSyndrome -16.大丈夫、食べないから。-
安酉鵺
朝起きて顔洗う時洗顔フォームと歯磨き粉を間違えました。服を着替えたらボタンを掛け違えました。朝食の時醤油とタバスコを間違えました。何故か自動ドアに激突しました。羽鉦さんがとうとう呆れて言いました。
「今日変だよ。」
「判ってます…。」
昨日の言葉がずっとずーっとぐるぐる回って殆ど眠っていませんから、...BeastSyndrome -15.飲み込んだ言葉-
安酉鵺
自分でも何処をどう走ったのか覚えてない。気が付いたら木徒ちゃん迄振り切っちゃってた。人気の無い非常階段で力が抜けてへたり込む。顔が熱を帯びた様に赤くなってるのが鏡を見なくても判った。ダメって言われた事とか、食べられちゃうとか、そんな事より気付いた事に焦っていた。抱っこされて気になって、ダメって言われ...
BeastSyndrome -14.キミガスキ-
安酉鵺
木徒ちゃんは入居してからと言う物よく私の所へ遊びに来てくれる。一人っ子だったから妹が出来たみたいでちょっと嬉しい。違法接種で14歳だと聞いたが、奏先生曰く、表向きは15歳の誕生日にBSになった、と言う事になっているらしい。笑顔の裏にこの子も色々背負ってるんだと思うと少し胸が痛い。案内と散歩を兼ねてテ...
BeastSyndrome -13.食べられちゃうよ?-
安酉鵺
「何か走ったら疲れちゃった。ねぇ、寝れる場所無い?」
「図々しいにも程があるだろ!クソガキ!」
「何よスケベジジィのクセに!さっきの先生見習ってよ!超優しかったんだから!」
本当にぶん殴るんじゃないかハラハラしながら2人を見る。う~ん、奏先生戻って来て欲しいなぁ、正直これ以上は止める自信が無い。と、...BeastSyndrome -12.強がりの中に涙を隠して-
安酉鵺
「あの~羽鉦さん?」
「何だ?」
「私目の前でいっぱい食べられると見てるだけでお腹一杯になるんです…。」
「はへはいんならほれひょうらぃ、むぐもぐ…。」
「いや、何言ってるか判んないから。」
工音木徒、と名乗るその子は目の前で大量のケーキを端から頬張っている。昔飼ってたハムスター思い出す程の食べっぷ...BeastSyndrome -11.怒り過ぎて笑い出した-
安酉鵺
「ユウ!やったわ!」
突然マネージャーが鼻息荒く私に詰め寄った。手には興奮の余り握り潰された書類が見える。良いのかな?同時に入って来た奏先生もクスクス笑ってる。
「ウチの事務所だけでのコンサートが決まったの!場所はT都のセントラルホール!
総勢30名以上、観客動員数2万人の大規模コンサートよ!」
...BeastSyndrome -10.デカイ捨て猫-
安酉鵺
微かなバラの香りと乾いた風が鼻をくすぐった。どの位時間が経ったんだろうか、それとも数秒だったんだろうか。
「羽鉦さん…く、苦しいです…!」
「え…あ…!」
我に返ったのか、羽鉦さんは勢い良く私を押し放した。かなり動揺しているのかこっちを見ようともせず視線が宙を泳いでる。何か可愛いかも?少し堪え切れな...BeastSyndrome -9.ここにも一人罪作り-
安酉鵺
ずるずる引き摺られて連れて来られた場所は中庭だった。お昼時なせいか殆ど人は見当たらない。木陰から見えるバラがゆらゆら風に揺れていた。
「わー綺麗なバラですねー。」
「白々しい!そこに正座!」
「はい…。」
木陰の芝生に大人しく正座した。羽鉦さんは心臓弱い人なら発作の一つも起こしそうな位の目付きで睨ん...BeastSyndrome -8.ゴメン、それ…反則…-
安酉鵺
「えっと…じゃあ、この日からは3日間ロケ、と言う事ですね、それなら…。」
「本当に色々ごめんなさいね~、でも売り出し中ですし~。」
「構いませんよ、お仕事は大事です。彼女は歌う事が、貴方はマネージメントが、
我々はそのサポートが大事な仕事、でしょう?」
「先生ったら優しいわぁ~。もうもう!」
奏先...BeastSyndrome -7.ランチの途中で爆弾投下-
安酉鵺
「エサをやったつもりは無いぞ、羽鉦。」
「ぷっ…!息切れしてやんの。」
「奏先生!」
思わず羽鉦さんを突き飛ばし奏先生の元へ走った。今更心臓がバクバク言ってる。怖かったのとびっくりしたのと後は…よく判んないけど兎に角動悸が収まらなかった。
「…お腹空いた所にそんな美味しそうなの寄越すから。」
「お前...BeastSyndrome -6.ラ、ライバル宣言ですと?!-
安酉鵺
「西棟の最上階って…ここ…だよね?」
自分の部屋が狭いとは感じていませんでした。むしろホテルの一室みたいで広々として快適だと思って過ごしていました。だけどこの部屋は何ですか?スペシャルスイートですか?この部屋だけで1フロア使っていませんか?格差ってきっとこう言う時に使う言葉なんですね、身に染みて判り...BeastSyndrome -5.獣の檻に小鳥が一羽-
安酉鵺
『ダメだよ、あの先生を好きになっちゃ。』
――昨日言われた言葉がずっと頭の中をぐるぐる回っていた。奏先生とは会ったばかりだし特に恋愛対象に見ていた訳でも無かったんだけど、そんな風に言われると逆に意識して見ちゃう。単純な自分がちょっと悲しい。そもそも、奏先生と羽鉦さんてどう言う関係なんだろ?ただの患者...BeastSyndrome -4.先生はお見通しですか-
安酉鵺
「あの~闇月さん?」
「羽鉦で良いよ~、何?小鳥ちゃん。」
「小鳥ちゃんじゃなくてスズミです…じゃなくって!どうして貴方が此処(楽屋)に
いるんですか!」
「離れたら護衛の意味無いでしょ。」
ニコニコ笑顔が段々イライラして来たかも。保護施設と言っても寮みたいな物らしく、
四六時中施設に居なくても構...BeastSyndrome -3.天然は無敵です!-
安酉鵺
「優雨さん、優雨スズミさ~ん。」
「うぅ~ん…まだ眠いぃ~…後5分寝かせて~…。」
「朝食は原則各階の食堂になりますが、体調次第ではお部屋でも大丈夫です。」
「う~…じゃあ、お部屋でも~…。」
ふかふかのお布団にスタッフの柔らかい声…あ~二度寝って気持ち良いなぁ。この所忙しかったしゆっくりまどろんで...BeastSyndrome -2.最も危険な護衛役-
安酉鵺
車に揺られる事2時間、ぽかぽかした車内温度と適度な振動はゆりかごの如く心地良い眠りに誘う。隣でマネージャーが何やら話しているみたいだけど、もう眠気が限界に…。
「こらユウ!聞いてるの?!」
「はっはいっ?!」
「全くもう…貴方には自覚って物が足りないわ?良い?貴方はスターなのよ?」
「はぁ~い…。」...BeastSyndrome -1.前途多難なお引越し-
安酉鵺
それはある研究所で生まれた。
『どんな傷も病も一瞬で治してしまう奇跡としか言い様の無い薬』
開発者の一人はこう言った。
「今すぐこれを学会に発表して量産しましょう!これは人類にとって大きな進化を齎す奇跡の
霊薬ですよ!」
興奮覚めやらぬ、と言った様子で他の開発者達も喜んでいた。それもそうだろう、彼...BeastSyndrome -0.prologue-
安酉鵺