裏花火の投稿作品一覧
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誰かの幸せ祈ることが
とても傲慢なことだと
教えてくれたのは君だった
誰かの囁き拾うことが
とても難しいことだと
教えてくれたのも君だった
生まれてきたことを
ただ嬉しいと
思うためには
どれだけの奇跡が...遠いいざなみ
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瓶に詰めた青い蝶を
飽きることなく転がしてる
瓶に詰めた青い蝶は
飛び立つことはもう出来ない
水の中に
羽根を広げて
すれ違った辻占が
どこで楽園を見たと言ったの
どうしようもないユメばかり
どうしようもないアイばかり...瓶に詰めた青い蝶
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イエス! ハッピーニューイヤー!
あけましておめでとう
新年早々こちとら修羅場だ
蜂蜜色の初日を背負って
ドリンク片手に大脱走
めでたくねーよ
蹴るんじゃねーよ
飛び込まねーよ
押すんじゃねーー!
血液循環...イエス!ハッピーニューイヤー!!
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この町をはなれ
しんしんと降る雪を見たときに
とても驚いたの
雪は吹くものだと思ってた
風は止まないと思ってた
ああ、三重は風の国なのだと
初めて気がついた
B
底冷えなんて知らない
隣のおばさんの苺...雲いずるまち
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どこまでもどこまでも
セルリアンブルー
染め上げてく
胸を裂いて
吸い込んでく
息を深く
遠い雷鳴
まとわりつく熱
止まない雨音
濡れたアスファルト...ソラアイ
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胸に残る陽だまりの熱を
誰にも渡したくは無かった
そのためにこの爪は、黒く土を掻く
わかってもらおうなんて思ってない
慰めてもらおうなんて思ってない
誰のことも
傷つけるつもりなんてないんだよ
僕が僕であるために
僕が僕とあるために
ただこれを守りたいだけ 帰れない...溶けた陽だまり
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【メロ】
遠く遠く
陰る道筋
灯る灯る
あれは篝火
重なり続ける、記憶の綾を
すり抜けてく笑顔 ふわり
【メロ 】
朽ちないからだに
風化する記憶...忘却を生きる
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いつものウォークマン
ケースを開けたら100円玉
どうしたんだこれ、確かに昨日は入ってなかった
そしたらこそっと耳元に
「マスター、俺にも歌わせてよ」
うちのレンのふてくされた声
なんだお前たった100円で
買収するつもりか
これが付け届けか
確かに他所のレンばかり...缶ジュースより安い我が家のレン
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親を知らない仔猫が
僕の口をちゅっちゅと吸う
ちゅっちゅ
ちゅっちゅ
ちゅっちゅ
ちゅっちゅ
無理だぞ、どんなに吸ったって
おっぱいじゃない、ミルクは出ない
でも、
ちゅっちゅ...ちゅっちゅだけ男とガメラの子供
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警鐘を鳴らせ
水底まで響き渡る
警鐘をこの空の彼方まで
呼応するのは血液の脈動
沸き立つ焦燥に目を覚ませ
眠れる意識を引きずり起こせ
さあ、此処が戦場
己の精神を切り裂いて
取り出せよ、武器を掲げろ
守るべきものが出来た...鏡の警鐘
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祭り囃子だ 手を叩きゃんせ
月のまにまに鼓(こ)を叩き
人も獣ももののけさえも
ともに輪になり踊りゃんせ
あやかし行列
かさ地蔵
仏陀が韻踏み天女が踊る
人は人とて盆踊り
サアサ 酔いサ宵やサ好いサ
今宵はよい日だ...よろづの宴
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1、
僕は灰猫
黒くも白くも無ァい
汚い色ねと指差されても
尻尾をひらり
悔しくない
だって前脚日に透かし
きらきらちらちら
(きらきらちらちら)
見える?光ってる...僕は灰猫
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夢で会いたい、なんて嘘だ
もう何年もたつのに、
夢だけは壊れた時計のように
くりかえし君に会う
幸せだった残像が焼き直され
くりかえしくりかえし、
僕は夢の中で君を愛しいと思う
目が覚めたときのむなしさを
なんて言ったらいい?
もう早く誰かを好きになりたい...もう君の夢なんて見たくない
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胸の奥の底の底には
私の感情の地下水が流れてる
冷たく澄んだその水の中には
目の無い魚が住んでいる
嗚呼何も見えない
何も見えないのよ
真っ白に透けた魚の、骨の一本一本が
くねり、喘いで 泳ぎ去る
地下水の海に、消えていく
波紋がゆらり...目の無い私
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この前仕事場で
扶養家族のかたは
お変わりないですかと
聞いたならば
100歳のおばあちゃんが
今日も元気に歩いてるって言われたんだ
文字の上の生年月日が
急に愛しくなったんだよ
会ったことない
知りもしない...100歳のおばあちゃん
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ねえ、トイレでさ
虹色のトイレットペーパーだったら
君だったらどうする?
お尻を拭かなくちゃいけないのに
引いた紙は世にも麗しい
虹色のトイレットペーパー
嗚呼僕なら
僕ならどうしよう
虹色のトイレットペーパーで
お尻を拭くなんてとても出来そうに無いよ...虹色のトイレットペーパー