harunaの投稿作品一覧
-
紺と白を基調にした、王道のセーラー服を身にまとい、少女はベットに座っていた。
赤いタイを胸の前で結わえ、スカートを膝上に。その制服以外にも、少女の周りには様々な、一般的には「コスプレ」と呼ばれる服が散乱していた。
今回の相手はコスプレをさせることに悦びを感じる、というタイプだったどうしてなのか...インモラルアクトレス
-
人は外見だけでは解らないという人がいる。
顔だけが人の魅力でないという人がいる。
少女もその両方の言葉をもちろん知っていたけれど、前者の言葉にはあまり共感を持てず、後者の言葉には賞賛を送りたかった。
だって、彼女の周りには彼女の外見に惹かれて鼻息を荒くした獣達がいたから。
肉を目の前に差し...インモラルアクトレス
-
両目で見る世界は 完全で
片目で見る世界は 不完全
当たり前のこと
色も音も感触も
全部ぼやっとしてて
片目の世界で生きてる
僕にとっては当たり前で
「固いもの」も
「柔らかい」と
離れてく 人たち...片目の世界
-
――ここから堕ちましょうよ。
*
ざわざわとうるさい駅のホーム、そこに「彼女」は居た。
今日、自分と落ちるはずの少女と会うために。
鮮やかなピンク色は、スーツの黒の中で否応なしに目立つ。
人を惹きつけるような美しさを持つその女性は、バックから携帯を取り出しいじる。
その口元...ワールズエンド・ダンスホール<2>
-
数々のビルが建ち並び、その存在を主張し合うかのようにそびえあい、人が蟻の様に蠢く都会――渋谷。
しかしそれも以前の事。
いまその都会は――硝煙の匂いがうずまいていたのだから。
*
路地裏を黄色が駆け抜ける。
黒と黄色、その蜂の様な色合いのソレは、そのまま数m走ると立ち止まった。
...そして銃口を向けた 1
-
3時まで10分前―
レンは断頭台の前に経っていた。断頭台の横に立っているのは、女剣士。
「あら、王女様。やっと来たわね」
「ふふっ」
レンは挑発するように笑いを零す。女剣士は顔を曇らせたものの、腕を組み王女を嘲笑った。
「貴方が今まで何人もの首を刎ねてきた断頭台。その切れ味の良さは貴方が一番ご存知で...王女様と召使のお話 *9
-
―少女は、数年前まで平和だった「街」――いまは「物」だが――に住んでいた。
街が平和だったのは、少女が5歳くらいまでのときだった。小学校に上がる直前、「戦争」は勃発し――そして、街は大国の「物」になった。
そして――少女の両親も、既に亡くなっている。
戦争で、ではない。
時期こそ戦争と重な...パンダヒーロー(自己解釈) 3
-
人を喰う。
少女は喧嘩の報酬を貰った後、そんな一言を心の中で呟いていた。しかし、少女はそれを心の中で自嘲(じちょう)気味に添削(てんさく)する。
―いや、私の場合―竹を喰うか。
何せ「パンダヒーロー」なのだから。
少女の心はまるで動物一匹来ない森の様に静まり返っていた。まるでアンドロイド。...パンダヒーロー(自己解釈) 2
-
ミシミシッ。
少女が男の顔に足先をめり込ませると、そんな特徴のない音が響いてきた。
そのまま男は後ろにのめり、廊下の床に倒れる。その顔は、……描写せずとも予想した通りの惨事になっていた。
「……はい、これでいい?」
冷めた表情をした中学生頃とおぼしき少女は、手を軽く掃う(はらう)と後ろで呆然...パンダヒーロー(自己解釈)
-
教えてダアリン ダアリン ねえダアリン
*
双子はいつも「一緒」だった。
着る服も、食べるものも、外見も果ては身長から学力まで―
全てが同じ。まるで鏡に映したかのように。
そして、彼女等もまた自分達はいつまでも離れないと信じていた。
―わたしたちはいつもいっしょ。いっしょじゃない...リンネ/自己解釈≪1≫
-
「く、殺」
「早、し」
「こ、な」
「ろ―――」
「早く、殺してしまいなさい!」
私は、その聞き慣れた声にハッと現実に引き戻された。
それは、私を引き取ってくれた―今ではただ指示を下すだけのフェアリーゴットマザーだった。
囁く……あの声が。
それは今の私を底なし沼へと引きずり込んでいくには十分な威圧...サンドリヨン 其の参
-
ホップステップで踊ろうか。
*
――今日は授業を抜け出してきた。
開け放たれた窓からは相変わらず夏を感じさせる暑い日ざしが差し込み、階段を一心に見つめる少女の首に突き刺さる。しかし、少女はそんな事気にしても居ないようだった。
生暖かい風が入ってきて、髪を揺らす。
近くにある教室...ワールズエンド・ダンスホール <1>
-
少しの間、物思いにふけっていた頭を現実世界へと起動させる。
……もう、どんな事をしても無駄なのに。もう彼は帰ってこないのに。
それでも……貴方に縋っている私は。縋ろうとしている私は、最低だ。
私は目隠しをしていた腕を離し、ベットから降りた。
鏡の前まで来る。―私の顔は、相当酷いものだった。
『ねえ、...最後のリボルバー 3
-
―一歩城へ入れば、そこはキラキラと眩しかった。
数億はかかっているであろう、城の豪華な内装。さすが王子の主催の舞踏会の場だけある。天上から釣り下がるシャンデリアは、全面が大理石で出来た床に光が反射して、より輝いて見えた。壁や様々な所に格調高い絵画や、名の知れた有名な彫刻家のフロンズ像が置かれ、螺旋階...サンドリヨン 其の弐
-
―私は、孤児だった。
いつ死んでもおかしくない生活。
冬だろうがボロボロの薄着、町の人々からは「汚い」と罵られ、ろくな仕事も見付からない。
でも、そんな私を救ってくれたのは―……
「おいで。私が救ってあげる」
―仙女(フェアリーゴットマザー)だった。
*
それから数年後、私は16歳になった。...サンドリヨン 其の壱
-
「あの……」
桜の木の下で、「悪」の私は出会った。
「……何ですか?」
私はあくまで無表情で返す。なんせ彼は「正義」側の人間なのだから。絶対に仲良くしてはいけない。
私は桜の木に持たれかかったまま、彼の方を見る。腰に刀を下げ、髪が長いのか制服の襟の中に入れている。身長は高い方だ。私の身長で彼の胸くら...最後のリボルバー 2
-
「君に仕事を持ってきた」
始まりの一文は、それだった。
とあるクリスマスの日、私のところに一つの箱が届いた。
それはまるでクリスマスプレゼントを包装するあの箱のようで、私は不思議に思いながらその箱を開けた。
「サンタさん」。
―いや、サンタ、と呼ぶには相応しくない。なんせサンタは子供に夢や希望を与え...最後のリボルバー 1
-
私は、もう一度外へと出た。
雨は相変わらず道路を、木々を濡らす。
私は、立てかけていた傘を手に、街に紛れた。紛れれば、自分への視線は、学校みたいに向けられない。それがどこか安心できて。
私は待ち行く人の影を追いかける。傘を差して悠長に歩く人も居れば、学生鞄を頭に乗せて走る人、雨宿りをする人もいる。
...鎖の少女 3(最終話)
-
ザー。
まるでラジオの雑音の様な雨の音が、外で響いている。
大分激しい雨らしい。窓に雨滴が叩き付けて、ポツポツと特有の音を鳴らしている。
それはまるで、私の心の中のようで。
今、両親は居ない。といっても、仕事が忙しかったりして小さな頃から殆ど家にはいないのだけれど。今日は偶然仕事が忙しかっただけだろ...鎖の少女 2
-
もう、何もかも嫌になる前に……
ホントノ愛ヲクダサ……
「ほんと、初音さんってすごいよねー」
期待しないでよ。
美化しないでよ。
私はそんな人間じゃないのに。
だれも本当の「私」を見てくれる人が、いない。
「そんな事、ないよ……」
私は演技するので必死なの……
苦しくて辛い。...鎖の少女 1
-
私とリンとが仲良くなって数日たったある日。
私は偶然、懺悔室の前を通りかかった。懺悔室の扉は少し開いていて、その中は幻想的でどこか厳かだ。穢れを寄せ付けない神聖さの様なものが有る。
薄暗い室内に目を凝らす。暫くそうしていると、誰かがすすり泣く声が聞こえてきた。か細く今にも消え入りそうな声。―それは紛...白ノ娘 ―5(最終話)―
-
数メートルも先まで咲き誇る赤の花
薄れ行く意識の中見つめた景色
「ああ、とても綺麗だわ」
視点が回転して
空は混ざって
薄く微笑んで
最後の言葉
「さようなら世界」
あたり一面真っ白く
覆われた何かで...氷片
-
「生きていてごめんなさい」
*
あの惨劇から数ヶ月。
私は町外れの教会で新たに暮らし始めた。
静かな教会。教会の近くには小さな港が有るが、余りそこに人は近寄らない。風が強いからだという。
そんなある日、革命で王女が死んだと風の噂で聞いた。
―当たり前だと思った。
今まで黄の国の国民を苦しめ...白ノ娘 ―4―
-
私とミクちゃんは二人でこっそり村を抜け出して、街で暮らし始めた。
街は活気があって、あの私を蔑んでいた人達が住んでいた村とは違いとても居心地がよかった。誰も私を蔑まない。大切な人も隣に居る。
もちろん仕事無しでは飢え死にしてしまう。だから、私達は仕事を始めた。
不慣れな仕事と生活でも、二人なら大丈夫...白ノ娘 ―3―
-
レ「ぎぃゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
今日も苦労人次男の絶叫が響き渡ります。
メ「な、何?」
ミ「あ……また轢かれたみたいだよ」
部屋からこっそり顔を覗かせるメイコとミク。その視線の先には……
レ「だああ!謝ってるだろ!」
リ「問答無用!最低男は失せろォぉぉぉ...ボーカロイドの日常 *2
-
・MEIKO(20)
男勝り長女。
面倒見が良くしっかり者。弟妹を纏めるリーダー役で、兄妹から慕われている。
酒乱。お酒が入ると絡む。
一見グラマスな大人の女性だが、以外に女の子らしい一面も。
・KAITO(18)
へタレ長男。
いつも弟妹にいじられている。お人好し。リンレンからは「バカイト」といい...ボーカロイドの日常 *登場人物
-
「ちょっとあんた」
ある晴れた昼下がり。
突然ノックもせずに堂々と部屋に上がりこんできたのは、隣に住む女の子だった。女の子の目は猫科の動物を彷彿とさせる瞳で、それが今は釣り上がっていて余計に怖い。女の子は腕を組んで私を見下ろす。
「あんた、緑の髪の子と仲良くしてるんでしょう?」
「はあ……」
女の子...白ノ娘 ―2―
-
「さあ!お酒をもっと持ってきなさーい!」
「めーちゃん、さすがにこれは飲みすぎじゃ……」
「うるはーい!今日は無礼講じゃー」
「ぐふ!?(吐血)めー……ちゃ」
「お、お姉ちゃん!さすがにそれはやりすぎじゃ……」
「ミク、心配してくれるのか!」
「キモイよ、お兄ちゃん」
「酷いっ!」
「メイコ姉!お酒...ボーカロイドの日常 *1
-
「生きていてごめんなさい」
いつからだっただろう。こんな気持ちが湧いてきたのは。
いつからだっただろう。こんな弱音ばかり吐く自分が大嫌いだと思い始めたのは。つまらない人生だと思い始めたのは。
ああ……こんな私が生きていて、ごめんなさい。
「あの子、魔女なんじゃないの?」
「顔は若いのに白い髪なんて…...白ノ娘 ―1―
-
――行かなくちゃ。
そんな事……分かってる。
ずっと目で追っていたもの。ハズレクジを引いてしまう様な事でもついつい手助けしちゃうくらい、キミが優しい事も知ってる。
だから…
「……この手を離してよ」
私はキミと繋がれている右手を見て、震える声で呟いた。それが彼に伝播しているかは分からないけど。
大好...初めての恋が終わる時 *3