春風凪の投稿作品一覧
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僕の彼女は美しい。
それは恋人だからという贔屓目ではなく、客観的に見ても、世の女性たちよりも数倍綺麗に見えるのだ。
少し透いたグレーの瞳を縁取る長い睫に、傷一つない真っ白な肌、淡い桜色の唇。それらが上質な下地の上に、寸分の狂いもなく配置されてある。
まるで作り物かと見まごうほどに、僕の彼女は...僕の彼女
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例えばそれは薄っぺらな関係で
例えばそれはたった1つの鍵が繋ぐ扉で
例えばそれは数字の羅列が紡ぐ涙で
例えばそれはただの心のよりどころで
例えばそれは、独りから解放されたら要らなくなるもので
だとしても私は、私は、私は、
一瞬でも友達というならば
あなたとつながっていられたというならば
それだけで満...KEY
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独りは怖いと
君は泣く。
独りは怖くないと
私は笑う。
君は私に、「強いね」と笑い、
私は君に、「弱いね」と笑う。
正反対のはずの私たちは
何故かお互いの手を手放さない
「手放さないのは君でしょう?」
「君が手放さないからだよ」...相違対象白黒君私。
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メリークリスマス
メリークリスマス
私は何にも幸せじゃないけれど
メリークリスマス
メリークリスマス
世界中の幸せへの嫌がらせ
きらきら光るイルミネーション
手をつなぐ恋人たち
みんなみんな幸せそうね
その幸せ分けてほしいわ...Liar Christmas
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もう、何もかも嫌になる前に、
ホントの、愛を、くださ――――
「――――愛っ!」
自分の名前を呼ばれて目が覚めた。
開かれた白いノート、細い線を引くシャーペン、解きかけの計算問題…。
頭の中に響いたのは、ママの声だ。
…ママは、ここにはいない。今は隣の部屋で、眠ってるはずなのに、勉強に疲れて眠ってし...鎖の少女「ワタシハ、アタシハ――」
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ここは、インターネットシティ…。
* * *
「…ただいま」
家の玄関を開けると、お母さんが待ち構えていた。
上手く視線を合わせないようにしてリビングを通り抜け、階段を上って自分の部屋へと向かう。
小さな頃は、お母さんが怒っていることを察知しただけで緊張し、視線を離せないでいたけれど、歳をと...嘘と、優しさと。―インターネットシティ―
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パパ、ママ、ありがとう。
そして、ごめんなさい。
もう、こんな家には、一秒も居たくない――。
短い手紙を残し、私は黒いコートを羽織って、外に出た。
真夜中とはいえ、もう春だから、そこまで寒くはないのだけれど、体中の傷跡を隠すためには、コートが必要不可欠だった。
最後に一度だけ、パパとママの眠る家を振...サクラノ前夜