香雲の投稿作品一覧
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雨は淑やかだ
空から真っ直ぐに落ちてきて
木に触れ
人に触れ
地面に触れる
触れてはじめて
静かに音を立てる
己の存在を
ひっそりと囁くように
風は麗らかだ...存在
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サヨナラ
遠く旅立つあなたに
サヨナラ
またいつかどこかで
別れの季節に
梅の香りがないた
とまどいながら
明日を振り返った
昨日と同じ景色
昨日と同じ時間...サヨナラ
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平穏な日常
つまらない生活
一歩踏み出したくて
でも、動くことができない
言葉なんていらないわ
隣にいるだけで
安らぐことができるの
退屈な感情
意図しない反応
一つ壊して欲しくて...一歩、脱出
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子どもの泣き声と雑踏の中
インターホンの音が響いて
留守電のメロディがなった
君はひとり空を見上げて
にっこりと微笑んだ
見渡す限り灰色の世界で
緑色のコートを翻して
ぼくの傷口に君が触れたとき
ぼくの心は悲鳴をあげた
雨の中を走る車...きずぐち
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とても近く すこし遠い
ずっと先に もっと奥に
近づいてきて 邪険にしてよ
遠ざけていて 甘くゆらして
きみとわたしとの 秘密もあやまち
わたしに教えて きみだけの秘密
わたしの足元に きみからの追跡
遠くにいるはずで すぐそこにせまるの ...erosion
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旅に出たいと思った
ひとりでもかまわない
旅に出た先で
君と恋に堕ちたい
君の向こう側に
わたしの旅立ちがある
まだ見ぬ世界の中で
君とたゆたう空気が積もる
向こう側へ
帰りたいと思った...むこうがわ
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走り抜けた毎日と
まぶしい季節に
サヨナラをして
先の見えない明日と
不安定な日々に
アイサツをして
きみはここから離れていくけど
ぼくはここから離れはしないよ
Re;
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君との距離と
もどかしい気もち
君の心臓をねらって
照準を絞った
君への距離と
ささやかな気もち
見てないふりをして
ねらいをつけて
そっと耳元に近寄って
ふっと軽やかに囁いて...ばきゅん
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あなたの空は
晴れていますか?
わたしの空は
くもっています。
あなたの頬は
渇いていますか?
わたしの頬は
濡れているのです。
瞳を映した空の色
空を映した瞳の色...こちらは、晴天
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冷たい指先を
冬の柔らかいまどろみに浸した
君の声はかすれて
ぼくの声が響いた
君は日常の焦燥感を
ぼくの声にぶつけた
灼熱の指先を
夏の激情に揺らした
やっと届いた声は
響かずに消えていった...ぼくの声と、君の指先
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あの人は わたしのことを 見ていない
その目は こっちを見ているのに
心はどこか はるか遠くに
あの人は わたしのからだに ふれていない
その手は 肌にふれているのに
ほんとの指は どこか遠くに
うちあけたいのに
うちとけたいのに
言葉にするのは
ゆるされないの...あの人
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君が好きというほど
現実が透明になってゆく
遠い月や星にも
手が届きそうで
君が嫌いというほど
現実は鮮明になってゆく
信号機の明滅が
目を焦がしそうで
好き、嫌い、
きっと、すきらい...君の声に、浸される
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スクリーンの中へ
君はずっと ぼくはそっと
画面のあっちと
画面のこっちと
見つめあえる距離
触れあえない距離
スクリーンの中へ
君はすっと ぼくはもっと
いつかの街も
夢の中の天空も...スクリーン・シンドローム
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午後の風に吹かれて
マラルメ、あなたは何思う
宇宙の神秘 追憶の欠片
いつもそこにはない想い
さしずめ、この生活に
意味が見出せないのか
遠く離れてしまうのか
十六夜の香りに誘われて
マラルメ、あなたは何思う
官能の今宵 唯一の美徳...マラルメ、十六夜
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さよなら
その響きだけで
ぼくは きっと強くなる
ありがと
その言葉だけで
ぼくは ちょっと弱くなる
雨のあと 君の雰囲気を吸いとって
雪のあと ぼくの心を切りとって
君はいつもひとりきり
ぼくの心は迷い道...いつか、向こうで
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しのびよる 夜の気配
せまりくる 闇の気配
正しいのは どっち?
かぎりある 夜の姿
はてしない 闇の姿
許されるのは どっち?
ひたひたと つつみこむ
冷たいぬくもり 激しい冷静
夜に潜む あなたの闇は
いつでも隣に...あなたのとなり
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赤い空を見上げて
ふゆがつぶやく。
「もう少し早く、来ていれば良かったね。」
その隣でゆきがささやく。
「もう少し遅いほうが
良いくらいだよ。」
ふたりは顔を見合わせて
くすり。
ほほえみあう。
夕映えが残っていく。...となり
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なめらか あでやか
つややか ひややか
あさはか さわやか
おだやか たおやか
うららか すみやか
やすらか のどやか
しとやか きよらか
ひめやかに 恋
しーっ...恋
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雪の中に 孤独がひとり
香りの中に 孤独がひとり
記憶の中に 孤独がひとり
音楽の中に 孤独がひとり
雨の外に 孤独がふたり
呼吸の外に 孤独がふたり
思い出の外に 孤独がふたり
私の外に 孤独がふたり
ひとり ふたり ひたり ゆらり
心は揺れて ひとりになる...ひとり
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