夏乃の投稿作品一覧
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―――これは、夢だ。
レンは、目の前の光景を見るなりそう認識した。気付いたわけではなく、言うなれば、そうであることを“知っていた”。
そこはきらきらと輝いていた。
何処か遠く、このレンが知る世界ではない遠い世界で、それでもガラスの壁の向こう側にいる彼等は彼が良く知る彼等であり、同時に全く知らない彼等...死にたがりの君と生きたがる僕。【2】
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「死にたい」
私の命に期限がついた頃、彼は言った。
目の前の少年は特別仲がいいとか悪いとかもなく、この病院で出会ったただのトモダチ。
真っ白い病室のベッドの横、折りたたみの椅子に座っている。時折この橙色の髪の少年はこうして遊びに来てテレビで見たことや外出をしたときに見たもののことなど、なんてことない...死にたがりの君と生きたがる僕。【1】
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おはようございますよ。 あなたに会うために また
早起きキャンペーン 今日も続けるのです ですよ
寝癖をしっかり直して 可愛くなれてるかな
あの人の好みになれてたらいいな なんて思ってしまうの
いつも通りのいつもの挨拶「オハヨ」
あなたの隣こっそり予約してます
「恋してる?」 苺みたいに甘くって酸っ...苺色メランコリィ
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云わなくていい 何も聞きたくないわ
その唇で紡いだ言葉なんて
すぐに嘘へと変わりゆくでしょう
今でも願い続けて
必要ないわ 思い出も時間も
きっと冷たい足枷に変わるの
私を救うためだけに 私は嘘を重ねるの
吐き出す声がいつか真実に
変わりゆくことだけを ただ祈りながら
飲み込んできた壊したい記憶を...嘘吐きの真実
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羽根がふわりと舞い落ちて 翼広げて天を仰いだ
光差し出す白い雲 今なら行けるのかな あの向こうへ
瞳閉じて思い返せば 愛おしくて優しかった日々
長い腕を絡めながら 懐かしい日へ戻れたらと
背に生えてる白い翼羽ばたかせるの 思い出を抱いて
覆い隠してた幾重の白い絨毯 その向こうへと
空から注いだ光の束...雲を超えて
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甘く灯り痛む胸の奥から 滲んだ紅い滴飲み込み気付かぬ振りを
離れていく心留める術があるとしたなら 誰か私に教えて下さい
焼けるように熱い痛みもいつか 喉元過ぎて直ぐに忘れていけるのでしょう
零れ落ちる水は見えないように 瞳を閉じて声を殺して耳を塞いだ
二人生きる世界違ってたの 誓い合った永遠はとても...ささくれ
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五年くらいまえの
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爪先から辿って濃紺の天井に 触れたくて手を伸ばしてた
散らばる月の涙
唇で紡ぎ出す想い雲に乗せても きっと此処からじゃ誰にも
届かないけれど
「また二人で来よう」の約束
忘れないで 忘れないよ 丘から見上げてた星がきらり
風が撫でて 雨と泣いて
拭われて 癒されて 今はもう痛まないから
欠片拾い集め...君がいる空
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頬を掠めていた風が そっと青い海の上
伝って君のもとへ行くよ いつでも
足元で水面は揺らぎ 僕を閉じ込めてるから
想いが届くようにいつも叫んでいるよ
幸せでいて
いつまでも笑って 笑ってて欲しい
過ぎていく時間に 悲しみを流して
暗闇に包み込まれないでね
穏やかな日常塗り潰さないでね
何処までも広が...feel my love
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ひらりひらりと舞い上がって
それは一輪の花のように
指先掠めた残像
掴めることなく揺らいで
砕けて消えてく思い出
戻ることはないの
あなたに会いたくて
紅い華を刻む
笑い合った幸せは儚く
ゆらりゆらりと舞い落ちてく...一輪の花~fragile memory~
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転がる星が今も昔もその先も
叶える願いなんてないこと知らないの?
やっつ ななつ むっつ
誰かが数を数え始めて
いつつ よっつ みっつ
何処かの誰か誰かさんって
ねぇまた 聴こえないのって
ねぇまた 聴こえているって
いつでも 誰も答えや
ここでは しないはずなのに...サイレント
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空が泣いたら雨降るように
大地に命が芽吹くように
世界に音が溢れるように
隣で君は笑ってたんだ
たとえば僕が泣きたくなって
立ち止まりそうになるときに
いつでも君は背中を押して
先を促してくれたから
僕は君に何を伝えて
何を託していけるだろう...smile for me
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二人出会った季節
桜舞う並木道には
君と過ごした思い出
みんな詰まっているんだ
もう会えなくても
僕はここで想うだろう
君のことを
ほら 二人で空を見上げた先に
広がるのは青く遠い
今僕が見上げてる空と同じ空...始まりの花
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いちまい ひらり はらり 千切りましょう 離しましょう
いちまい ふわり ゆらり 離しましょう 浮かべましょう
ただようように たゆたうように
舞い上がり 舞い上がり 遠ざかっていく
いくつの いくつもの ひとつの 離された
ただひとつ たったひとつの 君への 願いたち
この手に ひらり ちらり 切...紙吹雪
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モーニン モーニン
産まれてきた君に
モーニン モーニン
最初の挨拶を
ずっとずっと前から 出会えることを
ずっとずっと前から 楽しみにしてたよ
逢いたかったよ
生を叫ぶ君に
今はたった一言を
Good morning morning...ハロー ハロー
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足元に咲き散る紅 痛みさえ感じない
貴方の愛情さえ傷を増やしていく
祈りの意味さえ今は知らずに
華は枯れ果てて 独り朽ちていけばいい
紅月が闇を呑んで哂う
漂う静寂は雨に飲まれていく
手のひらに崩れ落ちた 涙ひとしずくさえ
癒すことは出来ない
何処かで貴方が微笑う
紅く冷えてく...紅い月
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手のひらに包み込んだ君がくれた砂時計
流れ続く止まることない時間(とき)
閉じ込められてしまう
何度も甦り巡る想い
ずっと気付いていた わかっていた
もう君は過去に住まう人
もう君に会うこと出来なくても
想いを飲み込んで
涙拭いて顔を上げて笑えばいい
忘れることは出来なくても...砂時計
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あなたがいなければ知らずにいた世界があります。
あなたがいなければ出会えなかったひとがいます。
あなたがいなければ感じることのなかった苦しみがあります。
あなたがいなければ得ることのできなかった喜びがあります。
あなたがいたから手に入れられたすべてのもの
あなたはすべてをうしなった
あなたがいなくな...ありがとう。
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銃口は君に向けたまま
引き金に指を添えたまま
きっと闇へと撃ち落としてあげるわ
君は何を 君は誰を 何処か遠く見てるの
何度叫びこの手伸ばしても
もう振り向かない 触れられない 届かなくて見えない
定めている狙いはもう逸らしてあげない
標的は優しかった夢
消えかけの願いにトドメを
戻ることない闇へ逝...Trigger
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靴に爪先入らないなら
さあ 斬り落とし 王子の元へ
馬鹿な女 白鳩気付き
そっと囁く 血塗れの靴
靴にかかとが入らないなら
さあ 斬り落とし 王子の元へ
馬鹿な女 白鳩気付き
そっと囁く 血塗れの靴
灰かぶり姫 真っ赤な靴に
足を入れたなら 王子のもとへ...緋色シンデレラ
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懐かしい音に誘われて歩き出す
貴方と出会った雪降るあの日
並んでいる隣の温もりが優しいこと
ただ嬉しくて
二人で眺めてた街のイルミネーション
隠れるように手繋いで
降り続けている雪よりもっとずっと
冷たくなっていく貴方の右手
目を覚まして もう一度笑って
愛した人 二度と会えない...夢の中に
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手を繋いで君と歩く
いつもの道 いつもと同じ
空見上げて 手を伸ばして
遠いねなんて笑い合ったの
駆けてゆく季節の中で
私達同じ速さ
少し紅いその耳見上げて
笑ったら君は怒るの
ごめんねと手を合わせた
それが二人の幸せだった...二人の道
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いつかまた会いたい
そう願ったね
確かな想いをただ強く抱いて
久遠の月には空から見守られては
止まらない涙と誓った
ずっと忘れないよ
大切な約束を
腕の中包み込んで
いつも君を想ってた
約束など切なすぎて...願い
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