tamaonionの投稿作品一覧
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妙な着信メール。
彼はメールを開いてみた。
そこにはこう書いてあった。
「ソノ電車、降りたほうがイイヨ。コヨミサン」
「なんだよ、このメール。誰だ?...“はっちゅーね”?」
わけがわからない。
自分で登録していないのに、文字で“はっちゅーね”と発信されるのも、変だ。
ガタン、ゴトン。
次の駅が、近...玩具屋カイくんの販売日誌(274) 地下鉄のアナウンス
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ミクさんとの通話を切って、暦君はスマホをしまった。
「コヨミさん、すみませんね。追い出しちゃうみたいで」
恐縮顔で言うオーナーに、彼は首を振った。
「いえいえ、いいんですよ。また明後日、お邪魔させてください」
「喜んで。お待ちしてます」
オーナーに挨拶をして、暦君たちは、スタジオの扉を出た。
いまま...玩具屋カイくんの販売日誌 地下鉄の着信(273)
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3人は顔を見合わせた。
ドールがしゃべった。
「しゃべったねえ」
おどけた調子で、ミクさんが言ったので、思わず皆は笑ってしまった。
「しっかし。こうヘンな事が続くと、もう驚かないよ」
つぶやくミクさんに、レイムさんが聞く。
「このキーホルダー、しゃべる機能ついてるの?」
「いえ。おなかを押すと、“は...玩具屋カイくんの販売日誌(272) はっちゅーねの予言
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ミクさんは、ぽかんとした顔で、レイムさんを見つめた。
「なんだか、不気味ねえ。ねえ、でも、サナギちゃんは、大丈夫なのかな」
そういって、腕時計に目をやる。
そして、ニガ笑いをしながら、紙魚子さんに向かって言った。
「きょうは、この話のほかに、これからの別の仕事のアイディアの、相談もしようかと思ってた...玩具屋カイくんの販売日誌(271) 行かない方がいいよ
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何度かの着信音の後に、「はい」と、リンちゃんの声がする。
「あ、リンちゃん」
ミクさんは話しを始める。
「そう、そうなの。うん、よかった」
うなずきながら、ホッとした表情になる。
「そう。でも、え?...うん、え?そうなの?」
スマホを耳に当て、ちょっと怪訝そうな表情になる彼女。
彼女の前で聞いてい...玩具屋カイくんの販売日誌(270) ちょんと切るぞ
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ミクさんは、聞き直した。
「ツクヨミ?」
「うん。社長より、エライ奴らしい。会長だか、名誉会長だか」
レイムさんは、意気込んで言う。
「じゃ、その人が、会社を仕切っているってワケね。月光企画を」
ミクさんが聞く。
すると、紙魚子さんが口をはさんだ。
「なんか、謎のヤツなんだよねー」
彼女は、かけてい...玩具屋カイくんの販売日誌(269) 月光企画の ツクヨミさん
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人の心を見透かすように話すレイムさん。
ミクさんは、少々面食らいながらも、思わず話にのめり込んで行った。
「事件が起こりそう、って...。いま、どんな感じなんですか」
問いかけるレイムさんに、説明するミクさん。
以前から、“勝手にしゃべりだす”とか、不思議なうわさがあった人形、“はっちゅーね”。
今...玩具屋カイくんの販売日誌(268) 謎の会社って?
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その時、部屋のドアを「トントン」とノックする音が。
「はぁい」
答えながら、紙魚子さんがドアに向かう。
部屋をのぞきこむように立っていたのは、レイムさんだった。
「ミクさん、こんにちは」
「お久しぶり、レイムさん」
椅子から立ち上がって、笑顔になるミクさん。
2人は、デフォ子さんがここに居たころに、...玩具屋カイくんの販売日誌(267) レイムさんの “カン” 冴える
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「レイムさんはね、妙に“カン”がするどいというか、ちょっと変わってるの」
紙魚子さんは、メガネを指で直しながら言った。
ミクさんは、笑って言う。
「うん。でもね、私もそういう“オカルト”っていうのかな? それを信じてる、っていう訳じゃ、ないの」
そういうと、ちょっと目を斜め上に向けて、考えながら言っ...玩具屋カイくんの販売日誌(266) “はっちゅーね”をめぐるアレコレ
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ミクさんの作った人形のブランド「はっちゅーね」。
その新製品のまわりで、何やら不思議な出来事が起き始めている...。
そんな予感をミクさんは抱いていた。
その思いを、彼女はいま目の前にいる紙魚子さんに、ぶつけてみることにした。
「原因が、ミクさんに?」
メガネをひとさし指で上げて、紙魚子さんは聞き返...玩具屋カイくんの販売日誌(265) 以前に、ひどい目に...
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「向こうの世界...?」
ミクさんはつぶやくように繰り返して、考え込む表情になった。
紙魚子さんも、何かを考えているようだった。
少したって、2人はほぼ同時に口を開いた。
「それで」
お互い、目を見合わせた。
ひと呼吸おいて、ミクさんが切り出す。
「きょう、ここにお邪魔したのも、そのことを伺おうと思...玩具屋カイくんの販売日誌(264)
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「ふぅむ。ミクさんの部屋の人形が、しゃべったんですね」
紙魚子さんはメガネのふちを押さえながら、聞き返す。
「で、その人形って、どんな人形なの?」
ミクさんは答える。
「ええ、それが、“はっちゅーね”の人形なの」
「はっちゅーね?」
「うん。私が作ってる製品なの。部屋にはいっぱい、置いてあるんです。...玩具屋カイくんの販売日誌(263) おしゃべり人形
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月光企画という会社について、話し始めた紙魚子さん。
明るい日差しが窓から差し込んできて、おだやかなひと時だった。
でも、話の内容は、それとは似合わない、ちょっと不気味なものになった。
「いろんなとこで、今までよく、聞いてきたのよ。“神隠し”が起こるってこと」
メガネの奥の大きな目をしばたかせて、彼女...玩具屋カイくんの販売日誌(262) 彼女の行方
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「サナギが、行方...不明」
「そうなんですよ。バンドのみんなで、連絡を取ろうとしてて。ちょっと用事があってね」
コヨミ君は、困ったような声で言った。
「でも、昨日からどこにいるのか、わからないんだ。家にも、帰ってないみたいだし」
立ちつくすリンちゃん。コヨミ君は言う。
「何かわかったら、連絡します...玩具屋カイくんの販売日誌(261) 起こっちゃった!?
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通話の向こうで、ミクさんまであわて出したようなので、リンちゃんは変だな、と思った。
「そうね、紙魚子さんに聞いてみよう。何か、わかるかも」
ミクさんの、つぶやくような声が聞こえた。
リンちゃんは、聞いてみた。
「あのー、サナギが、どうかしたの?」
「うん」
はっきりとは答えずに、ミクさんは言った。
...玩具屋カイくんの販売日誌(260) リンちゃんは無事だ!
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けわしい表情のベニスズメさんは、リンちゃんの方を振り返って、言った。
「仕事、長いあいだ、お疲れ様でしたね。リンちゃん。気をつけて帰ってね」
そして、あたふたとホテルの部屋を出て行ってしまった。
ひとり取り残されたリンちゃんは、しばらくポカンと、ベッドの縁に座ったままだった。
さっきから、手に握った...玩具屋カイくんの販売日誌(259) ささげものの攻防
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ベッドに座るリンちゃんの顔をのぞき込みながら、ベニスズメさんは言う。
「よかった。出ないでくれて。無事で、よかった」
ぼんやりとする頭を、自分の片手で叩きながら、リンちゃんはつぶやいた。
「あたし、眠っちゃってたんだ…」
だんだん、頭がはっきりとしてくる。そして、少しずつ記憶がよみがえってきた。
「...玩具屋カイくんの販売日誌(258) 無事で、よかった…?
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たしかに、頭の中で声がした。サナギちゃんの声のようだった。
リンちゃんは、凍りついたようにそこに立っていた。
すると、不意にすごい眠気が襲ってきた。まるで、立っていられないくらいに。
「な…なんで?…」
彼女はその場に座りこむようにして、目を閉じてしまった。
さっき聞いた“開けちゃダメ”という声を、...玩具屋カイくんの販売日誌(257) 一夜が明けて
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ベッドに横になったまま、リンちゃんはいつの間にか、眠り込んでしまっていた。
「あ、寝ちゃったか。うへ、服も着替えてないや」
身を起こして、部屋の時計を見る。
「あれ?」
リンちゃんの泊まっているホテルの部屋には、机の上にデジタル文字の時計がついている。
でも、その時計に文字は出ていなかった。
「時間...玩具屋カイくんの販売日誌(256) ホテルの夜 ~その3~
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運ばれてきた食事を、夢中で食べるリンちゃんを尻目に、サナギちゃんは考え込んだ。
ベニスズメさんの伝言が書かれたメモに、じっと見入っている。
「どうしたの。冷めちゃうよ。早く食べなよ」
早くもデザートの皿を引き寄せて、サナギちゃんに声をかけるリンちゃん。
彼女は言われて顔を上げたが、ふたたび小首をかし...玩具屋カイくんの販売日誌(255) ホテルの夜 ~その2~
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「お食事をお持ちしました」
ワゴンの横のボーイが、うやうやしく頭を下げて言う。
廊下に飛び出そうとしていたサナギちゃんは、出鼻をくじかれた感じで立ちすくんだ。
「失礼します」
ボーイはそう言うと、部屋の中にワゴンに乗った夕食を運びこみ、うやうやしく一例して部屋を出ていった。
「うわ。すごいよ、これ」...玩具屋カイくんの販売日誌(254) スタジオでの出来事 ~ホテルの夜
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スタジオでの3日目の夜。
ここで仕事をしていることを知らないはずの、ミクさんからメールが来た。
リンちゃんと相棒のサナギちゃんが、首をかしげ、顔を見合わせているところに…
また、部屋の電話が鳴った。おずおずと、リンちゃんが受話器を取る。
「あ、ベニスズメさん? はい。え?」
さっきと同じように、何か...玩具屋カイくんの販売日誌(253) やっぱり帰ったほうが… ~スタジオでの出来事 5
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ハミングスから発売される、新商品の「リンリン・はっちゅーね」。
その商品宣伝の「プロモーション・ビデオ」の撮影を、スタジオにこもって続けさせられている、リンちゃん。
ついに3日目の夜。「きょうもここに泊まろうか」と、相棒と話しているところへ…
泊まっている部屋の内線電話が鳴った。
「はい。ええ、リン...玩具屋カイくんの販売日誌(252) リンちゃん、家に帰りなさい ~スタジオでの出来事 4
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●アニメ大好き!というのではないのです。
でも、たまにアニメを見ます。映画館で。
アニメといっても、幅はすごく広い。では、自分の好きな分野は……?
そう思って、思い出していくと、結構、片寄りがあります。
クリエイターで言うと。
新海誠さん。細田守さん。宮崎吾朗さん。…の、中でも“淡々とした”作品が好...<タマネギのサブカル・エセ・エッセイ> ◆ アニメ。心のイメージのためのツール
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「それで、その朝の10時過ぎまで、ヒュンダインさんを待ってたんだ」
リンちゃんは続ける。
「ふうん。で、一緒にビデオに出てくれたわけ?」
レンくんが聞く。
「うん!一緒に、ちょっとからむ感じでね。楽しかったよ」
リンちゃんは、ニコニコして言う。
「私とサナギが演奏してると、ドラムの影から急に、あの人...玩具屋カイくんの販売日誌(251) リンちゃんの3連泊! ~スタジオでの出来事 3
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●休みの日にたまに、これまで「ニコニコ動画」とかで、マイリスをした曲を、まとめて聴いています。
で、思うのですが..。
最近、ユーザーの方々の作る曲って、とても優れたものも多いんですけど、
どれも言ってしまえば“ノン・ジャンル”のモノが多いんですね。
一昔前だと、ヒットする曲は「ロック」「j-pop...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ みんなで“ぶつかろう”! でも何に!?
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●最近は、以前ほど「マスコミ」の影響力というのは、強くはないようですが…
新聞を見ていて、ちょっと思ったことがあります。
テレビや新聞などのマスコミ。そのやり方ですけど。
ちょっと「あざといなあ」と感じました。
というのも、この所、議論の多い「消費税」に関してですが。
●ネットを見ていたり、毎日の周...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ マスコミのトリック?新聞を見て
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●これといって、意味はないんですけど、最近。
ラジオ、とくにFMラジオで、クラシック音楽を流しているときは、何となく聴くようにしています。
というのも、近頃は昔のように、熱心にレコードやCDの音をスピーカーの前で聴く、ということが…
結構、減ってきています。
パソコンとかでyoutubeの動画を観た...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ クラシックをラジオで、かけ放しにする
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「ふうん。それで、日曜の夜もそこに泊まったわけか」
レンくんはそう言って、自分もクッキーに手を伸ばした。
「でも、お前それで、月曜の朝には、うちに帰ってこなかったじゃないか」
リンちゃんはそう言われて、バツの悪そうな顔をした。
「うん。帰ろうと思ったけど。明け方になって、起きて帰る支度をしてたら」
...玩具屋カイくんの販売日誌(250) コラボの魅力!? ~スタジオの出来事 2
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●どうも最近の「政治」を見てると、ホントに頼りない感じがしますよね。
まあ、いつものコトと言っちゃえば、そうなんですけど。
安倍さんが首相になって、新しい内閣でスタートしたら…
閣僚の不祥事がやたらと、明るみに出てきます。
それも、政策とは関係ないことばっかりで。
論議の的となってる「カネ」とか、そ...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ 安倍さんと花いちもんめ&オニゴッコ?
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リンちゃんの話をリビングで聞いていたレンくんは、思わず聞き返した。
「泊まっていけ、って…? そんなに、大げさな仕事だったの?」
リンちゃんは、口をとがらせて答える。
「うん。そこのスタジオに入ったのが土曜だったでしょ。アタシもサナギも、けっこう乗ってやってたからね」
そういって、コップのミルクを口...玩具屋カイくんの販売日誌(249) スタジオでの出来事
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●東京・有楽町に「マリオン」という建物があります。
このシンボルの、正面の大きな時計。
「マリオン・クロック」という「からくり時計」があるのです。
この時計、というかこの建物が、出来て30周年を向かえ、ちょっとした式典がありました。
仕事がらみで、その様子を見に行きました。
30年、ということで、普...<タマネギのブー録(ブーログ)> ◆ からくり時計の、鐘の音でつれづれ
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4日ぶりに、わが家に帰ってきたリンちゃん。
心配していた兄のレンくんも、とりあえずホッと安心。
ちょうど両親とも出かけていたので、レンくんはリンちゃんを連れてリビングにおりてきた。
何となくお腹がすいている様子で、彼女はレンくんの出したクッキーを食べながら…
この数日の次第を、話し始めた。
それによ...玩具屋カイくんの販売日誌(248) リンちゃんと、紅スズメ
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●ボーカロイドの曲など、いわゆるユーザーが自分たちで作った、「DTM」(デスク・トップ・ミュージック)などで作られた音楽を、聴くのが好きです。
もっぱら「聴き専」ですが(笑)しかも以前ほど“のめり込んで”聴く機会も、ちょっと減り気味ですが。
それでもいわゆる「ボカロ」には、新しいキャラクターにも関心...<タマネギのエセ・エッセイ> ◆ ボカロは居るのか、居ないのか?
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紙魚子さんの話を聞いたりりィさんは、首をかしげて腕を組んだ。
「ふぅん、不思議な、面白い噂ね。でも、仕事で一緒に組むと、必ずヒットするなんて…」
彼女はちょっと身を乗り出して、ニコッとした。
「クリエイターの人なら、ちょっと興味が沸く話ですね」
紙魚子さんは、ちょっと驚いたように目を見開いた。
「あ...玩具屋カイくんの販売日誌(247) クリエイターなら気になる…?