村上夏木の投稿作品一覧
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独りきり
慣れぬ喉焼く 琥珀色した グラス傾げ
その熱さえも 胸の奥には未だ届かず
席を立つ
ah…
暗闇覆うヴェールが 視界奪うの
いつまでも降り止まぬ雨よ どうか隠して
頬伝う雫を
片隅響く なき声 まるで私ね
震えてるぬくもり抱き...夜雨のヴェール
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街の果実
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枕木響かせ 今電車が近付く
遮断機の音が ただ負けずに鳴ってた
それじゃまた明日(あした)ねと
いつも通り言いながら
笑顔で手を振っていた君を
当たり前と思った
日常って何なんだろうと
疑うことさえしなかった僕が
今はただ繰り返しては
答えばかりを探しているよ...Crossing gate
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焦がす夏陽に 青空高く
聳え立つ様な入道雲
軒先一つ 吊られて揺れる
風に澄む音の硝子風鈴
夏の夜祭 風鈴屋台
ちりりとさざめく 幾多の音色
不意に足止め 手を伸ばす
心留まりし唯一つ
同じ風鈴 短冊触れて
鳴らすその音の如き男...硝子風鈴
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「どうしてそんなこと言うの?」
揺らめき映しながら夕陽に染まる空 輝く川
笹の舟が遠くへと霞む
一つきり影伸びた 隣の空間
見る度に目を逸らす
あの日思い出して
まるで運命を知っていた様な 君の台詞に
傷付き零れた 声は擦れて そして傷付けた
君は正しかった
何度繰り返したか分からない...一葉(仮)
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憧憬(仮)
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海から昇る朱い陽を 輝き据えた蒼天を
微風(そよかぜ)揺れる新緑を 大地に靡く黄金を
語り部歌う悲劇が襲う日まで
彼(か)の女(ひと)の胸元に映し 飾った
哀しみに暮れた涙を受けて
戦場散る人の形見と変わり
大地と共に海へ沈んだ日から
水面(みなも)の光を遠くに見つめ
綿雪が舞い落ちる様な光景は
昔...アトランティスの滴
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午後七時
ガラスに 灯り染められてく街見下ろしながら
下り側エレベーター
車やバイクのライト集うロータリー
君がもう来てる
「いつもと変わらないだけの週末じゃ面白くないでしょ?
喧騒の夜をちょっとだけ離れて本当の空見よう。
今から」
見慣れたイルミネーション 眩しかった夜景が
被るヘルメット端 ...君と
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日差しと風がまた 季節運んで巡り来た
今も 瞼閉じて 耳を澄まし 記憶呼び覚ますよ
時が 水面映る景色 塗り潰しても
隣り合ってた日々 面影を
鮮やかに 何度でも
深い水と木々の 緑の中 笑い
瞬く飛沫上げ 響かせた声
煌く天の川 指さし立ち止まり
彷徨う蛍火に 二人手繋ぎ
あの最後...Nostalgia -夏のせせらぎ-(仮)
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朝の街 交差点
同じ様な顔で 歩いてく人波に
何故かひとり 立ち止まってた
瞼閉じて見えた光景 繰り返してた時間で
前を歩く姿 駆けて繋ぐ掌(てのひら)
忘れそう
光だけ見てた あの日聞こえていた声
想い出す 振り返り向けられた眩しい笑顔
風が吹く街角に ひとり残されたままで
忘れてく 零れてく 幸...ひとり残された街で
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途絶えた日常 重なる惨状
光景 知らせに ただ立ち尽くした
支える掌 数多の励まし
この空 祈り捧ぐよ
彼の地へ 君へ 届けと
見えない明日に 肩寄せ 震える
不安の中にも 笑顔を思うよ
失くしたものより 今 在る 感謝を
哀しみ救う優しさ
心に留めて 生きよう...I Pray
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傷に汚れ血のついた羽を強くはばたかせ
高いその縁(へり)を転げ落ちてしまいそう
周りばかり追いかける両目 凝らし見てごらん
鏡映る君 どんな姿してるか
先を急ぐ事 夢中過ぎてて
上がる悲鳴 本音さえも 聞こえない振り
遠くまで その羽じゃ飛んでけないよ
ねぇ だから 難しいのかもだけど
いつかまた飛...羽を休めて
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晴れた空背に そこにいる
先の不安もどこ吹く風で
よくよく風読み 捕まえろ
回って今日も風任せ
気楽でいいね
膝抱え 屋根に並んで
遠く見る
ひらり 風受け君は言う
二つ足なら 進めるさ
風吹く先を示すこと...風見鶏
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迷子顔してた日の君を
笑顔にした 風船は
いつの間にか萎み切ってて
傷付けた 傷付いた 言い合いを繰り返し
何一つ変えられず 閉園のベル鳴らした
土砂降り空に回転木馬 想い廻るよ
被った道化の裏の真実 見せられぬまま
愛想まき散らす仮面 視界の端
人の波 振り返って
立ち尽くす日々...Clown in the ring
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広く青いこの世界 闇浮かんだ惑星(ほし)は
力 生命(いのち) 欲望が 渦を巻いて動く
誰もが安らぎ 繁栄を望み 争い繰り返されて
幾多の思いも嘆きも全てが 数字に埋もれ 瞬く間に消され
僅かで小さな望みも願いも 指から零れ落ちる砂の様で
僕らの祈りは 届くのだろうか
夜(よ)に集った人々が 胸抱い...Prayer -平和の歌声-
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夜半(よわ)の月が見てる
舞台 獲物 それだけのハズ
注ぐサーチライト
嫌ね 逃げなきゃ
右手には突き刺さるライト
左手に迫り来る警察(ポリス)
センサー スイッチも切ったし
どうして? ヘマしてないはずよ
どうしよう行き止まりみたい
しょうがない扉(ここ)しかないわね...Call & Whisper
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今よ 誰もいない
荷物 切符 忘れてないね
眠り醒めそうな街 そっと抜け出し
黒いドレスに高いヒール アップのヘアにマスカラして
光るピアスに薄いショール 銀のリングにラメのネイル
すましてた姿と偽り もうこれで最後にしたいの
慌てすぎて靴が脱げそう ねえゴメンちょっとだけ待って
今宵も優雅に光る月...Footsteps in The City
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今日もまた 夕焼けと入れ替わり
浮かんだ闇に 儚いきらめき
過ぎていく 人波の中に
トクベツな微笑み 今 心を捕える
ねぇ 今度は信じていいのね?
この薬指につながる 糸の先を
煌くシャワー 浴びせられる祝福
揺らめくリズム この身体(からだ)を委ねるの
感じた全て 心を満たしていく
溢れる熱さ 永...蜃気楼の街
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窓にひらり 雪瞬く 吐いた息が綿菓子みたいね
庭に咲いた花も白いお化粧はじめ 今かと待ってる
風 歌奏で きらり小人わらってる
雪に乗って ほら 魔法かけるよ
外にはしゃぐ笑顔あふれ
家でなぜか誰かがため息
空が散らした 冬の雪の魔法 今届いて
街の明かり 雪に光り いつもよりも綺麗に見えるね
あの...雪の小人
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風が、優しく吹いて木の葉をそよがせる。
此処に来たのは、ずっとずっと前。
私が、まだ小さかった頃。父様も、母様もいた頃。
父様のお気に入り遺跡。お弁当を用意して遊びに来た。
忙しかった父様が、珍しく私を膝に乗せて。
楽しそうに、子どもみたいに目をキラキラさせて、お話をしてくれた。
遠い...この腕につかまって
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機械じかけの双子人形
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青い抜けるような空に 雲がそびえてお城みたい
容赦ない強い日差しに 瞼細め 手かざして
暑さ増してく蝉の声
今年も来たね
ボタン三つ外したって 熱さ抜けないブラウスだって
たくし上げ短くしてた 濃い色のスカートもそう
真っ黒のローファー 全部 もう脱ぎ捨てて
やったね!
今年はどんな風に夏休み過ごそ...Summer Vacation
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抱えた膝に 零れた一粒
視線の先に 首傾げ一羽
見上げてた つぶらな瞳 くるりと 丸く一声
頬から涙すくい 肩へ 不意に舞い降りて
真っ白 くすぐる羽
いつの間にか その優しさに
ただ忘れて 無邪気に笑ってた
ためらう肩に せっつく嘴(くちばし)
風にはためく カーテン開けば
どこまでも広がる 青...無邪気な翼
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照りつける太陽 焦(こが)れた砂浜
はしゃいだ目の前 差し伸べられた手
波打ち際に 水 光 跳ね
声 弾け重なる
見下ろした月が
砂浜 掌(てのひら) 感じた熱さの
全てを冷やして
潮騒の中 湧き上がる記憶
瞼を閉じれば涙 塩辛く沁み
今 心 肌に残る 幾つもの 痕だけが...真夏の残響
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幼い頃はよく遊んだ 残酷な運命を知らず
もう引き離され 長い年月が経つ
今二人をつなぐのは 僅かに交わす手紙だけ
現実に決して許されぬことだと分かっていても
諦めることができなかった
手紙を見る度 強くなる想い
いつかあなたに逢えたなら その微笑みを見たい
ずっと忘れぬよう 瞼に焼け付くくらいに
今...Last Letter ~消せぬ想い~
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幼い頃はよく遊んだ 残酷な運命を知らず
もう引き離され 長い年月が経つ
今二人をつなぐのは 僅かに交わす手紙だけ
現実を思い知らされるだけとは分かっていても
諦めることができなかった
手紙に記したささやかな願い
『いつかあなたに逢えたならそのほほえみを見せて
ずっと忘れぬよう瞼に焼け付くくらいに...Last Letter ~切なる願い~
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忘れ去られたような 人一人居ないこの場所で
背負った重い荷物 地面滑り下ろした
通り過ぎていく風が 草を揺らした
風の行く先 広がった 空と地平だけ
遠くへ ただ遠くへ
辿り着けば 何かが 変わると思ってた
今 佇んでいるだけで
何一つ 変わってないと 気付いた
乗り物を乗り継いで 運ばれるままに...自分探し
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この手へ残して「頼む」 そう告げて去って行った
あなたに どうすればと問う術は もう何も……
求めたものは指先を触れる前に失くした
残されたものも明日知れぬこの世に
失うまいと流れに抗いもがけば
張り巡らされた網の目にただ搦(から)まるばかり
奪われ炎へ消える日を予感していたんだ
一筋希望を手に掴み...抗う者たち(仮)
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rainyday
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真夏の日差し 照り返される街 逃げ水に揺れる光景
午前の活気は 気怠さを帯びて 誰もが浮かされてた
水枯れた空気の中で 灼ける熱気と日差し浴び
果実はより大きく甘く 恍惚の魅惑を 抱(いだ)き熟れる
足元 水乾き 崩れそうなこと知らず 止まぬ熱気に果て知らぬ浮かれ様
人は祭りを 待ち 望み 踊り ...街の果実
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外は雨
まわりは皆 雨降り天気続く日は ユウウツそうな顔をして
溜息で空眺めてる
傘差し歩けば 滴のリズム
同じメロディ一つもないの
晴れてる時は聞こえない 遠くの音も耳に届くよ
傘に合羽に長靴なんて
昔みたいなフル装備は さすがに今はしないけど
雨はやっぱりトクベツなの
雨続き...雨はトクベツ
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鳴った電話
それが僕を非日常へと引き込む合図
知らせにただ驚いてた
誰かに手を引かれ気付いた
車飛び乗る
焦る気持ちも玻璃の向こうに見ているようで
辿り着く頃 そこで見たのは
君の変わり果てた姿で
為す術もなく指の隙間を時が滑って流れていくよ
僕はどうして今になるまで 何も気付かぬままいたんだろ...絵筆の追憶
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あなたの姿が見えなくなる度に 泣きながら探してたあの頃
喜ぶ顔が見たくて 摘んだ花を頭の上から降らせた
笑った顔は太陽が照らすように 皆の心を 明るくしたね
成長してから素直になれなくて 苛立って顔背けてた日々
言い争ってばかりで 時に涙あなたの頬から流れて
悲しむ顔は暗闇が覆うように 皆の心に ...太陽の様に
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君と二人で見れた星空は作り物 静かなドームの中には星と音楽流れてた
都会に映る夜空 消えた後に漂う余韻の中 君の笑顔 心焼きついた
あのプラネタリウムを見上げて君と共に過ごした時
最後の宝物になると知らず
都会(まち)の夜空だけしか見なかった私には それも眩し過ぎたのに
必ずいつか君に本物を見せ...プラネタリウム
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旅に出る時の 半分は 荷物をたくさん詰め込んで
行く先はもう決まってる 初めての場所
押し込まれて乗った船で 長く長く海に揺られて
陸に着いた先では風を切る列車へ
海の上退屈だけど 列車は悪くない
通り過ぎて 行く眺め いつでも飽きないから
旅の途中では 太陽に照らされ 雨風 さらされて
大変な ...荷物を詰めて
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