wanitaの投稿作品一覧
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44.晩夏の葬列 ~前編~
「なんですって? 」
緑の女王の玉座には、現在、黄の女王のリンが座っている。
「緑の民が、次々に自殺している?! 」
緑の各地に展開する黄の軍から次々にもたらされる情報に、リンはがたりと玉座を立ちあがった。
「織物の町ヨワネ、鉄鋼の町ククンダ、木材加工のシルガンド。住...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 44.晩夏の葬列 ~前編~
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43. ハク、新生
昔住んだ森の中に、ハクはひっそりと身を寄せた。
ヨワネの町のほうから、時折騒ぐ声が聞こえてくる。黄の兵が、ヨワネに到達したのだと気づいた。
「……」
ハクは、工芸の町ヨワネの工房に、物心ついたら住んでいた。同年代の子供たちよりもだいぶ早く針を握り、そして森の中に小さな家を与...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 43.ハク、新生
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42.罪なき逃亡者、ハク ~後編~
一軒の工房の前でハクは立ち止まった。
そこは、ハクが長い間、刺繍職人として働いた場所だった。
森の中にたった一人で住み、毎日ここへ通ってきていたのだ。
町を出た日と変わらない、長い年月に乾いた木の扉が、ハクの目の前にある。
「……どうも……」
ほかに、言...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 42.罪なき逃亡者、ハク ~後編~
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42.罪なき逃亡者、ハク ~前編
走り去るハクの背に、暗闇の中からネルの悲鳴が聞こえた気がした。
「ネルちゃん……! 」
しかし、振り返ろうとするとすかさずネルの相棒の鷹かハクの頭をつつく。
「痛い! 痛い! 解ったってば! 」
振り返ろうとする視界は翼にさえぎられ、うしろ髪を引かれる耳はその...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 42.罪なき逃亡者、ハク ~前編
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【ねんど】くるくるみくみく
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【ねんど】くるくるカイメイ
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【ねんど】くるくるリンレン
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【ねんど】くるくるるかさん
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 5番のハミング 11月編
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 5番
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 4番
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 3番
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 2番
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【ねんど】ある森の小さなお店の一日 1番
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ネルがハクに教えたミク様の誕生日を祝う歌。
Uoy, ot yad htrib yppah, MIKU-sama Raed,
ファ、ソ ファ ラ シーシ、レ ミ ファ(フェルマータ;任意に伸ばす)
Yad htrib yppah, uoy
ラ ド ド ファ(フェルマータ;任意に伸ばす)
Ot yad...【歌詞】ネルがハクに教えたミクの誕生日を祝う歌 メロディガイドつき
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『一ヶ月と三日遅れの誕生日』後編!
「で? 声が出ないって」
「うん。なんだか、恥ずかしくって」
「そりゃそうか。『生まれてきてごめんなさい』な人だもんね、あんた」
ネルが鼻歌で曲を付けて歌う。
「もうこれでいいんじゃない? 題は『白の娘』」
「いいわけないでしょ! もう……困るよ」
「ああほんと...ちょっと一休み『一ヶ月と三日遅れの誕生日』後編!
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ちょっと一休み・『一か月と3日遅れの誕生日』前編!
それは少し前の緑の国のお話。
「ミク様はわがままだ。」
ハクが緑の国の女王、ミクのお付きとなって3か月ほど過ぎたころ、ハクはそう学習した。
ハクは、緑の国のヨワネという紡染織で有名な工芸の村で、刺繍職人として働いていた。腕前はすこぶる良かっ...ちょっと一休み『一ヶ月と三日遅れの誕生日』
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41.ネルの意地
ネルとハクは王宮を出て夜の町を走っていた。
「ネルちゃん、ネルちゃん……待って」
ハクの足がもつれ、ネルがもどかしげに引っ張る。
「何よ! 急いでどこかに隠れないと! 黄の国の軍が押し寄せてくるわよ! 」
「待って! 」
強くハクが引っ張り、ネルはつんのめるように振り向く。
...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 41.ネルの意地
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40.最後の言葉
「……ねぇ、レン。リンと一緒に、私の家来におなりなさいな? 」
命を失う直前、抱き上げたミクは、レンにそう囁いた。
「さすが、ハクの惚れた男だわ」
レンのことを、ミクはそう評した。
なんという皮肉だろう。レンは、ハクと青の国で別れた後、もう二度と交わることのない運命だと覚悟し...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 40.最後の言葉
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39.ミクの命
夜の闇に鋭く響いた笛の音。それを聞いた瞬間、召使の姿をしたリンは、手持ちの荷物に火打石を打った。
乾いた縄に火花が散る。鞄の布の端に着火したことを確認すると、リンはその鞄を与えられた控え室に置いたまま、部屋を走り出た。
「あっ。どこへ行かれます……」
扉の前で控えていた緑の国の...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 39.ミクの命
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38.密会
ミク女王とリン女王。小さな緑の国と、大きな黄の国を守る二人の女王が、真夜中の庭で対峙した。
「ミク様」
「リン様、ご即位おめでとうございます」
ミクが、大きな月を背に静かに微笑んだ。薄い闇と黒い木立、そして静かな池がミクの背後を守っている。
昼間は美しい緑を見せる庭も、この夜は静か...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 38.密会
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37.運命の歯車
「緑の国は、青に渡さない」
それは黄の国のリン女王の願い。
「黄の国を、青の皇子への手土産に」
それは緑の国の女王、ミクの願い。
互いの国の幸せを願う、二人の女王の思惑が、夜半過ぎの緑の王宮で、ひそやかに激突しようとしていた。
ネルは王宮の通用門から黄の国の二人を中へと導い...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 37.運命の歯車
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36.国境
黄の国の一隊長セベクの天幕にて待つ緑の国の密使、ネルのもとへ、乗馬の装備に身を固めた女王と、荷物を抱えた召使が現れた。
「ミク様にお会いするためのドレスです」と召使は説明した。
「お待たせいたしました。ネル様。参りましょう」
静かな声音で女王がのたまう。風は徐々に夕方の気配を含み始め...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 36.国境
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35.太陽の陰で
まずリンがしたことは、全軍にネルの存在を知らせることだった。
「あなたが、緑の国からの使者だということは皆に知らせておいたほうが良いわ」
ネルがリンの居場所を突き止める前に、他の黄の兵士に捕まったことで、「黄の軍に緑の者が紛れ込んでいる」という噂が広まってしまっていた。
「もし...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 35. 太陽の陰で
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34.届けられた密書
リンは進軍の只中にいて、集まる人々を激励し、鼓舞した。
「黄の国の明日は、あなたたちにかかっているわ! 」
実際その通りだった。旱魃で苦しむ人々は、女王から支給される食べ物と賃金は本当に魅力的だった。もとより居た兵士たちは新しく参じた人々を兵士として激励し、新しく兵士となっ...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 34.届けられた密書
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33.緑の思惑、黄の進軍 ~黄編~
そのころリンは、ホルストの編成してあった軍を動かし、緑の国に向かっていた。
「ホルストはたしかに、良い読みをしていたわね」
王都は諸侯に任せてある。リンは彼らにある仕事を頼んでいた。
ホルストとシャグナの遺体と領地の後始末である。
ホルストの遺骸は、見つか...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 33.緑の思惑、黄の進軍 ~黄編~
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33.緑の思惑、黄の進軍 ~緑編~
「ミクさま!」
この日も緑の国の女王、ミクは、ハクとともに刺繍にいそしんでいた。そのミクのもとに、金色の髪の若い女が飛び込んできた。ハクとともに和やかな時を過ごしていたミクの緑色の目が、一瞬で緊張をはらんで輝く。
「ネル! 待ちかねたわ!」
ミクが玉座から立ち...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 33.緑の思惑、黄の進軍 ~緑編~
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32.鳴く風、巡る音
「生きたい。生きて、この国の行く末を見たい。」
……それが黄の国の巨星、ホルストの最期の言葉となった。
小さな鞄に全ての荷物をまとめ、メイコは長く暮らした城を出た。中身は全て金貨だった。リン女王から頂いた、退職金だった。
服も本も、思い出も全て城で処分するように、出会った...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 32. 鳴く風、巡る音
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空よ 風よ 高き峰よ、
唄う雲になりたい
君の影に重ねて
そっと守るよ
暑いときは日陰に
寒いときは雪綿
そっとかぶせてあげる、
唄う雲になりたい...【歌詞】唄う雲になりたい
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31.落ち逝く星
「ホルスト様!」
玉座の間の外の番兵が、血まみれになって出てきたホルストと医者のガクに色を失った。
「すぐに医者と担架を!」
「私が医者だ。担架と、そして部屋をひとつ空けてくれ! そして私の道具を返してくれ!」
すぐに走り出そうとした番兵を、ホルストの声が止めた。
「いい。……...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 31.落ち逝く星
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30.解雇、そして
「私が死すれば、この力、黄の国は失うぞ!」
そう叫んだホルストを、女王リンは剣で刺した。
「……!」
ぼたり、と重い血の塊が赤いじゅうたんに落ちた。
「リン殿! ホルスト殿!」
「ガクの縄を解きなさい。その医師は単なるホルストの雇われ者。もう用は無いわ」
縄を解かれたガクが...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 30.解雇、そして
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29.粛清
諸侯の中でも強い力を持つシャグナが捕らえられた。そして、殺された。
ホルストは、王城まであと一日半という道のりの途中で、リンの遣わした兵士達に捕らえられた。
「何をするか! 私はこの国の重要な地区を治める諸侯のひとりであるぞ!」
「リン女王殿下のご命令にございます」
なに。メイコは...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 29.粛清
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ちょっと一休み・悪ノ娘と呼ばれた娘 後編
それはちょっと昔の黄の国のお話。
黄の国の諸侯の一人、シャグナは最悪の気分でした。
ふと気がついたら、手に大きな青あざがあります。腹がなにかにぶつけたようにジンジンと痛みます。そして、日向に長時間さらされたようなぐったりとした倦怠感があります。
「それ...ちょっとひとやすみ・悪ノ娘と呼ばれた娘 後編【悪二次・小説】
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ちょっと一休み・悪ノ娘と呼ばれた娘 前編
それはちょっと昔の黄の国のお話。
むかしむかしのほんの少し前。
大きな大陸の大きな王国は、砂漠に暴れ川、険しい山脈に海の向こうの豊かなライバル国と、かなり厳しい状況を抱えていました。
そして、その国の頂点に君臨していたのは、まじめで呑気な王様でした。...ちょっとひとやすみ・悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】
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28.女王リン、即位
レンと王女の部屋で落ち合い、王女の服装に戻ったリンは、まずレンに指示を出し、緊急事態の名目で王と王妃の部屋へ向わせた。
目的は、亡くなっている王と王妃を発見するため、そして、彼らに長年にわたり危険な投薬をしていた医師の身柄を押さえるためである。部屋に着いたレンは、大声で兵士...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 28.女王リン、即位