ziuの投稿作品一覧
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重ねた呼吸を傾けて
手向けた花だけ色付けた
なみだの滲む跡を辿り
足音を消した木漏れ日
薫る風にさえ躓いて
立ち止まるたびに振り向いた
白昼の中で揺らぐ夜を
抱きとめてしまえたらいい
忘れないように描いた
あどけない輪郭崩れて...スピカのアトリエ
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赤いリボンを揺らすまで
口づけはおあずけ
長い睫毛がきらめいたら
お喋りはおしまいなの
ちいさな鈴だけ転がして
耳元をくすぐった
すり抜けるたび追いかけたら
躓いてしまいそう、ねえ
曲がり角でまた振り返るの
ふいの風は甘い薫りで...kitty
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ほんの少しだけ
色をつけたら
背伸びをしたの
気付かないくらいに
特別なことを
ひとことで教えて
風に揺れた睫毛を
目で追うような恋でした
それでいいと思えないのを
恨む夜も嫌いになれないで...ベビーピンクのためらい
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濁るほど落ちた透明の
罅割れた硝子瓶に
砂糖菓子を閉じ込めた
繕えもしない
隙間から雨が降り
色褪せては花になる
宝物はなんですか
泡になった恋ですか
何色の溜息なら
掴めたのか教えて...ミア
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シガレットに惑う朝靄も
目を瞑れば見えやしない
爪を立てた腕を慰めたら
躊躇うように滲むインク
切り取ったジオラマを
繰り返しては笑った
机に並べた君の声を
まとめてしまえば楽にもなるの
その視線の重さはいつも
睫毛だけが知っているノイローゼ...180°のノイローゼ
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きみのせいと突き放した
あの鼓動を攫ってほしい
冷たい指で噎せかえる
薫りを残した窓辺のガーデニア
溜息だけ揺蕩う部屋が
切なくて目を閉じた
耳鳴りはやさしい言葉で
慰めるだけ
ワンピースに溢した朝は
囀りだけが滲む...ガーデニアの初恋
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あゝ滲む文さえ
袖に声を潜め
すれ違うたびに
絡む小指から灯る焔
暮れなずむ花吹雪
ひとつふたつ枝を手折る
はらり儚く舞い散るなど
この夜に似合わないと云って
月を飲み干して酔い痴れた盃
片割れ椿...椿
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砂糖で汚れた水に
傷口を浸して
息苦しくなって
考えるのもやめた
好きでいる理由を
問いただす夜は
なんて不誠実で
すこし退屈な純情
泣いたら信じてくれますか
嘘だと笑ってくれますか...夜の風と心象風景
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三日月に飛びのって
足跡を隠したの
泣いてしまえば
きらきらり、光る
迷子の星と
小さな戸惑い
夜を裂いてそして
花束を贈ろう
あなたまでの距離は
きっと林檎がいつつ...夜の隅で
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立ち竦むくらいの
恋を邪魔といって
捨て切れるほど
甘い悩みじゃないの
好きよ、好きよ
耳鳴りみたいに愛して
言葉足らずのきみに
鼓膜を揺らしてほしい
いろんな言い訳で着飾って
きらきらと光るたびに...鱗
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なにもない昼下がり
きっかけもないくらい
知らん顔で見つめる
子犬が通せんぼ
ファーストキスに夢見て
眠りにつく年頃
俯いて歩くのは勿体ないから
恋をしてしまったなんて
知らないわ知らないわ
好きだなんて蓋して...レモンスカッシュの焦燥
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はらりはらり永久の月
さめざめ五月雨咲き乱れ
一片と落ちる椿を
重ねては少し微睡んだ
黄昏に手を惹かれては
萎びた簪を尋ねましょう
白い首筋を彩る言葉を
知らぬ随に舞い散れば華
ふいに躓いた小石の隙間から
覗いたのは朧月...狐火と宵の境界
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瞬きをひとつ
お砂糖はふたつ
午前2時の雨が
窓をたたいた
好きなことと
嫌いなこと
増えてしまったの
困るくらいに
シュガーオーバー
助けにはこないで...シュガーオーバー
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蛍光灯は暗い部屋で
震える指を透かしていた
瞬きするたび忘れたくて
きみの名前を呼んだの
ダーリン教えて昨日の夜
伏せた目はなにを知っていたの
足音だけじゃ分からないよ
噎せかえるほど嘘をついてほしい
甘い味のリップグロスを
冷たい舌で転がしてみた...リップグロスの言い訳
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泪のあと滲む夜に
魔法をかけて
ゆらりゆれる波間の月
探して
白い足では歩けやしない
夜の眩暈に溺れてしまう
please tell me
I can say
please tell me
行かないで...マリンブルーの夜明け
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枯れかけた花を
やさしく手折って
すこし傷のついた
その指が好きなの
吸い上げた水の
その色を教えて
どんなに淡い色でも
見失わないから
ピリオドスケープ
終わらないことが君を置き去りにした...ピリオドスケープ
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赤い糸さえも切り取られて
そうして手にした長い夜は
目を逸らすほどに彩られて
滲んでゆくの、ゆくから
いつかは忘れるのに
瞼で塞いだ夜を
憶えていたくてまた
数えはじめた
いくつも失くしてから
気付いた鼓動だとか...Acedia
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嘘と愛を気取って
それからだれか消えて
ずっと、おやすみ
なにもかも、秘密。ああ。
甘いだけの痛みは
ゆめのまた、夢でした
恋を投げ捨てて、さあ
きみを抱きしめたなら
きっと変わらないけど
ぼくはここにいるかな、かな...きみとぼくの心拍
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趣味じゃないのに
ピンクベージュで
女の子になった夜
泣きたくなるの
スカートの星屑を
守るために翻した
どちらへ行こうと
あそこは底なし
ひとつ、またひとつ夜を殺して
女の子になるからまた愛して...少女理論と憧憬
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一雫、綴る文さえ
人知れず燃えてゆくのね
爪先で辿るあの日の
黒髪の貴方へと
水面には艶の微笑み
一片と舞い散る如く
腕にはその首を擡げて
数多の契りを交わしましょうか
此処で
百にも満たない戀でも...鬼灯と宵の焦燥
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窓もない部屋で
傷をつけた夢は
果敢ない林檎の
お伽噺みたい
右と左を迷うように
君がくれたのは
飽きてしまうほどの
やさしい憧憬ね
曖昧な繭のなかで
抱かれて眠るenvy...繭
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白く崩れた
その淡雪を零して
映えた口づけを
赤く染め上げた
嘆くその頬を
愛しげに攫って
涙などいらないと
教えてくれればいい
鮮やかな花びらを散らして
生き急ぐあなたを...鮮花
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あといくつの夜を
越えたら逢えるのかなあ
両手で数えるには
あまりにも多いから
朝露に濡れた
こんな景色だ
きみを隠して
笑っていたの
まるでソーダみたいな恋でしたと
言わせてほしいのお願いよ...水槽と恋煩い
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聴き慣れたラブソングを
そんな声で歌わないで
優しいことばかり覚えてしまった
少しずつ臆病になって
置いてきた強がりを探して
歩くたびに転んだ
この距離を教えて
その腕のなかで泣いてしまいたいの
いつか望んだことはきみにしかきっと
叶えられないことだと言わせてほしくて...初戀
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冷えた爪先を
紅茶で濡らして
ちいさな火傷に
ただキスをして
いらないものは
たくさんあるのに
欲しいものだけ
隠れてしまう
途切れ途切れの透明な
飛べもしない翅を磨いた...uca
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継いで接いで着飾った笑顔
また虎の威を借りて歩いた
振り向いては嘆く感傷
どうか視線だけ匿ってほしい
ふいに突き刺した長い黒髪の奥
覚えた距離も捨てて
恋に落ちてくきみの隣で
愛して愛してそうして焦がれたのに
瞼の裏に焼きついたのは
砂糖菓子みたいな優しい言葉さえ...シアンの痕跡
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やさしい指先と愛しいその声で
わたしを呼んでほしい、行かないで
ミルクで着飾ったチープな愛してる
どうして気付かないの
素直になれないなら手を繋いでいよう
両手に抱えた笑顔なら知ってるから
ああ、すこし冷えたの
きみが好きだというチーズリゾット
ああ、隠し味のなみだを
知らないまま笑ってほしい...チーズリゾットの恋
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ナイショにしたら
溺れてしまうけど
こぼれた吐息に
たまに凍えてみたいわ
盲目になれない
ふたりきりの部屋
浮かぶまえに涙なんて
消えていくのに
サヨナラしてね
赦してあげるから...twister
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きみが知った盲目は
憂鬱みたいな色をして
おいしそうな溜息を
惜しげもなく零したんだ
後ろから眺めてた
弱虫と怖がりで
深呼吸をふたつだけ
泣き出しそうな空模様
ハートに夜を馴染ませて
独りで夢も見れないで...淡水魚の呼吸
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曇り空に浮かぶ星を
片手でまた切り取ったの
味気なくて何もなくて
セイレーンは微睡んでる
ひとつだけ、ひとつだけ
重ねては揺れる鼓動を
眠るたび数えたら
瞬きもしなくていいの
溺れては零れては
退屈と涙を呑んだ...ハリネズミの憂鬱
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花びらが落ちたら
一つずつ重ねて
そうしたらきみに贈りたくて
ありきたりな台詞ね
口づけを隠した
あの花を教えて
控えめに指を絡めるから
可愛い人と言って
ふわりと薫る春の色を数えた
瞬きの合間も見つめて...春色シェリー
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いつの間にか
覚えた綺麗な声と
目も眩むような
素敵な言い訳
かわいい扉には鍵をかけてしまった
聞こえないなにも聞こえない
踵を鳴らせばどこでも
行けると信じていたの
リボンを結んで転んだ
幼い、わたしの幼い靴...幼い靴
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瞬きを繰り返して
味気ない夢を見てた
星を流すような
泣き虫にもなれなくて
頬を伝うのは光る
金平糖なんかじゃないの
かわいいだけの夜は
忘れてしまった
花曇りとティーカップ
紅茶には花びらを浮かべて...花曇りとティーカップ
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暗がりなあの夜を
飲み込んで息をする
そうやって目を閉じて
チョコレートで蓋をした
もういいかい
海月がゆらり落ちて
カーテンを引いたら
おしまい
水底のティータイム
角砂糖ひとつだけ...退屈な夜と角砂糖
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ちいさな手をひいて
曲がり角を撫でる
きみの影はいつも
すこし遠い
泣き虫でもいいの
振り返る仕草が
何より好きだから
困らせるの
ふいに、ほどけた指に
ひとり不安になって...mimi