JAM
――そういえば、木イチゴやら、ブルーベリーやら。あれらに砂糖と水飴を混ぜてトロトロになるまで煮溶かした食べ物。あれは何と言う食べ物だったかな?
それまで目を落としていた分厚い古書をパタンと閉じる。
そうして静かに問えば、君は酷く驚いたように、蒼い瞳を見開いた。
どこまでも暖かい、温室を思わせる空間。頭上に張り巡らされた無骨な鉄骨の間には、透明なガラスが天井一面にはめ込まれている。そこからはどこまでも深く澄み渡った青空が覗いていた。時折楕円形をした飛行船や、美しい彩色の施された鳥たちが気まぐれに頭上を通り過ぎて行った。