【ゆるい小説】「えびちゃん2-2」~黄昏のえびシューマイ~・後編
◆◇◆ 小説「えびちゃん2-2」~黄昏のえびシューマイ~・後編 ◆◇◆
そのお店は、駅前通りを少しだけ奥に進んだ所に在り、通りに面した店先の佇まいに時代を感じる、こじんまりとした中華屋さんでした。入り口の扉のガラスに、掠れた赤い文字で「黄昏亭」とありました。屋号だと思います。「たそがれてい」・・・。
入り口にも時代を感じましたが、店内は更に作りが古く、カウンター傍の壁際には止まったままの煤けた柱時計が存在感たっぷりに立っています。
店内には低い磨りガラスの目隠しが付いた緩いカーブのカウンター席と、その背後に4~6人掛けの四角い木製テーブルが4つ。カウンターの向こうの厨房では湯気が上がり、若い従業員さんが二人、テキパキと手を動かしています。
マスターに勧められ、カウンター席の端っこに並んで腰掛けました。