十六光年の半透明

〔1A〕
見渡すこの空に
ぼくの影が伸びる
〔1B〕
ふと　落とされた

大人に孵化する三秒前

〔1A〕
時間が止まった教室に
秘めやかに集う　少女の影は
いつしか静かに溶けてゆく
夢見る世界は　幻想なのか

赤い熱

〔1A〕
舌先で　赤い果実　ころがす
視界が　溶けだす　昼下がり
指先で　掠めとった　ボタンを
溶かした　世界に　放り出す

青い空と透明な翼

僕が「君」の背中を押して
「君」は空へ舞い上がった
透明な翼をはばたかせて
塗りこめた青い空へ

End of the world

〔A1〕
君の手をひいて　高く高く
夏の気配の中　君と走る
〔B1〕
今日までの日常を　脱ぎ捨てていく

奥の細道　ft.芭蕉

芭蕉が夢みた　珍道中
ひたすら歩けば　無我夢中
ひとりじゃさみしい　I　need　you
ちょっとそこまで　お出かけ中
パラッパッパッパ

ふたり、どこまでも

〔A〕
ヒカリ差す　ステージ
きみの手を　にぎる
駆けだした　右足
遠くを　見つめている

夢の足音

お願い　とめないで
恋に落ちていく　この音を
聞き逃さないで
お願い　とめないで
君に堕ちていく　この足を

甘夏みかん

〔1A〕
ふっと　目がさめると
うそ　もうこんな時間
かばんを掴んで　走り出す
かけこんだ　電車

寂しさの感情

君が楽しいとぼくは苦しい
君が幸せだとぼくは寂しい
ずっと遠くにいるから
ゆっくり癒しておいでよ
君が傷ついたときに

蜃気楼

遥か　揺れる　心　ひとり
君と　ふたつ　分けて　枯れて
走る　声が　夏を　叫ぶ
蒼く　遠く　深く　忍ばせて
宵の　灯り　君の　背中

夢の痕

限りあるこのときを　ただ見つめるだけで　立ち竦む
まだ　見えてこない光を　ただ　待ちわびている
ときが進むごとに　取り残されていく
あなたの声が　聞こえたの　夢の中
ときを止めたら　心まで　凍らせて

曖昧な関係

溶けていきそうな熱と
あなたの冷めた視線に
わたしの視界は
ホワイトアウトする
何も望んではいないけど

緑の瞳

あなたが遠くに行くことが
嬉しくて　切ないの
夢の向こう側に
ついていけるのなら
あなたに連れていってほしい

君の空

せっかく会えたんだから
そう言って、君は
ぼくの手をひいて歩く
艶やかな黒髪と
白く踊るスカートが誘う

どこまでも溶けていくように

レンズの向こう側に
真っ青な世界が広がった
溶けていきそうな青の中に
一粒だけ幸せをひたした
あなたの向こう側に

Rental　Color　Palette

〔A〕
退紅　呉藍　潤朱　紅殻
空五倍子　黄唐茶　梅染　藤黄
伽羅色　東雲　赤香　雄黄
金糸雀　柳茶　麹塵　海緑

ぱんぱ、んぱ

メロンぱんみたいに
そとはカリッと
なかはふわっと
あますぎない甘さを
あなたにあげたい

Miroir

〔1A〕
低く　深く　蒼く　永く
揺れて　触れて　夢が　溶ける
君の　心　突いて　留めて
ぼくは　今を　動き出す

ひまわり

〔1A〕
雨があがった　街並み
空を見上げれば　青空
いつもの道を　歩けば
ほらね、笑顔になる

残り香とワンピース

あなたの微かな残り香に
ぼくの心臓が疼いている
頬をなぞるあなたの指先と
そっと微笑む唇につられた
流れ出した時の香りに

スノードロップをあなたに

〔1A〕
闇の奥に　息ひそめて
暗い底から　手招きして
絡めとって　逃がさないの
私のココロは「黒」の中

あなたと、歌声

〔1A〕
振り返る　眼差しは
朝に　まきもどり
あなたと　指を繋いで
繰り返す　心音は

ぱられる

ぼくとあなたは平行線
交わらないけど
行く先はひとつ
あなたの隣にぼくがたつとき
世界は少し色を帯びる

夏の残像

夏の香りが近づいてくる
君の足音と一緒に
すぐそばに迫っている嵐に
ぼくは耳を澄ました
風の中に君を見て

愛して

きみの声が手招きする
ぼくの耳を掠めていく
一瞬の歌声で恋に落ちて
一瞬の言葉で愛を知った
聴こえてくる声は

Ask,and it will be given to you.

求めよ　さらば与えられん
今隣にいるあなたは
紛れもない、ぬくみ
凍てついた太陽と
熱く染まる銀世界

きみと雨の日のオルゴール

雨の中をそっと歩く
きみとぼくと今
このときを大切にしたいなと思った
急にとまったきみの
視線の先にあった

無夢

せめて、僕を連れていって
君の隣の世界に
君の美しい世界に
それが儚い夢でも
僕には、それが希望なんだ

Next World

〔1A〕
朝を駆ける君の
背中見てた季節に
わたしは　ゆっくりと
サヨナラと手を振った

君の世界

〔1A〕
現実と逃避
背中合わせの日常
現在と未来
まだ見えない光

ドロップ

〔1A〕
不器用な僕の手をひいて
さらって　さらって　恋を仕掛けた
最初のくちづけに惹かれて
さそって　さそって　恋に落ちる

届いたら

ぼくが元気なときは
冷たくしてよ
ぼくが病気のときも
冷たくしてよ
君の無関心は

avancer

濃密な静寂を共有したい。
あなたとなら
後退する勇気を持っていないだけ。
深い呼吸をこわがっているの。
あなたはまだ

ぬむりか

ねむーん　ぬむりか
春のうららか
ねむーん　ぬむりか
夏のよいやみ
ぼくをおこして