キミとデートとゴーランド【1】
「はい。ここに遊園地のチケットが二枚あります」
騒がしい放課後――こんな時はいつでもどこでも寝られる、という素晴らしい特技を生かして昼寝をしようと思っていた彼は、その言葉を無視しようかと思った。けれど、その可愛らしく、それでいて力強い声を聞き、それをしては駄目だと彼の本能が告げていた。
彼がゆっくりと顔を上げると、予想通りの一人の少女が――その声の主が立っていた。柔らかな亜麻色の髪に、頭に乗せている白いリボン。光と好奇心に溢れた蒼い瞳は、彼女の性格を一目でわからせる。
栗布 凛(くりふ りん)。それが彼女の名前だった。
「凛、それ言うなら電話にしてくれよ……」