soranari0817さん

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最後の願い

1年になってすぐ一目ぼれしたあなたと卒業式に恋人になれた瞬間はもう死んでもいいと思った。
 大学は別でも同じ市内、家だって電車を乗り継いで1時間もかからない。大学生になっても関係は順調だった。誕生日にはプレゼントを買ってデートして祝った。クリスマスだってお正月だって一緒にいた。あなたは車の免許をとって、一緒に海だって行った。なんて幸せなのだろう、そう思って生きていた。ある日の誕生日、あなたは指輪をくれた、サイズわからなかったからって大きいサイズ、首にかけとけばいいって言って。ぶっきらぼうにかばんの中に放り込んできてびっくりしたよ、でもうれしかった。あなたが前、指輪は本当に一生守るって決めた人にしか渡さないって言っていたのを覚えていたから。特別な指輪、家に帰ってすぐにチェーンをさがして首にかけた、何度も手で包み、感触を確かめた。ああ、なんて幸せなのだろう!
 次の日、今日は会う約束はしてない。お互いの授業時間が合わなかったのだ。こんなに会いたい、と感じているのは付き合い始めたころ以来だ。だけど今日は会えないのだ・・・もそもそと朝食を咀嚼する。いつもなにげなくつけているテレビのニュース番組、どこか遠い県だったり隣町だったり殺人だの虐待だの集団感染だの興味のない話題を淡々と読み上げていくニュースキャスター。急にパッと画面が変わった。気味の悪い能面顔の王だ。珍しい、いつの間にか日本は血で受け継がれる王政になり行事以外には出てこなくなった。そして何を考えているのか、何も考えてないような能面の顔で話しだした。「昨日発覚した集団感染のウィルスの正体が大変危険なものだと発覚したため感染地域を焼却処分します。」そのことを何とも思ってないような能面顔はこの時代にそんな原始的なことをするつもりなのか?画面の下に流れるテロップには私達の住む町も含まれていた。
 ああ、なんということだ!なんのウィルスかも、うつっているのかさえ判らないのに殺される、なぜそんなことに、あんなに沢山いる大臣たちは何もしなかったのだろうか。なぜ、なぜ!急いで家をでた。となり町に出てしまうことはできないか見に行こう。家は端だからすぐだ。するともう人で溢れ返っていた。その人垣の前には透明なプラスティックのような壁、いつの間にか頭上高くまで伸びてもう上空でくっつきそうだ。この前発表された隔離装置だろう、その時は治すために使うものだと思っていたのに・・・。人々が壁を叩いても蹴ってもびくともしないそれはあっち側のガスマスクを被った人、装置を作動しに来た人かな、を余計人情味がないように見せた。そしてなぜか壁のこっち側にもマスクを被った人がいる。その男はマスクを脱いで頭を下げた。一瞬見えた顔はもう絶望のような悲しみのような、いいことなんて全くないような顔だった。その場で騒いでいた全員が一斉に黙る。そして下げた頭を上げ、話しだした。「私は、この装置を起動させる責任者、そして中の人への説明係です。」
 長い説明を終え、みんなの顔がさらに暗くなる。無理もない、内容は酷いものだった。ウィルスの感染方法は不明、ただ高熱に弱い、治療方法は不明。症状は身体の先端から感覚が無くなっていき、最後には神経全部が死ぬ。ちょっとずつ死んでいくということだ。焼却処分は今から5時間後、丁度町が無くなるくらいの爆弾が投下される。さっき外にいた奴らも、あのギリギリに住んでいた人たちも、もう殺されている。少しでも接近した奴は殺す、との命令だった。あいつらを恨まないでやってほしい。そう男は締めくくった。なぜ私はこんなに冷静なのかわからない。もう頭の中が一杯一杯で実感がわかないせいもあるのかも知れない。みんな出られないことがわかると、その場で泣き崩れる者、自分で自殺しようとする者、大事な人を探しに行く者、さまざまだった。しばらく呆然としていた私もはっとして走り出した。あの人に会いに行かないと、最愛のあなたは今どこに!

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2012/02/23 02:00

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