それでもピアノは鳴り止まない

それでもピアノは鳴り止まない
「友達って一体何だろう」　
「サヨナラが上手くできる人かな」　
ちゃんと寂しくない距離で
「お出かけだ　晴れると良いな」　

最後に蛍を狩る少年

最後に蛍を狩る少年
蛍の向かう彼方　鈴鳴りのような横顔
肩並べ酔い語り　澄んだ日暮の夕泣き

傷も涙も幸せも全部　赤青黄色に喩えて

綺麗な嘘の咲く夜に

綺麗な嘘が咲く夜に
君の寂しさを　虚しさを　そっと分けて
君の吐く嘘も　本当も　僕は嬉しいから
君の引き受けた　捨てられない　痛みを教えて
君の傷跡も　孤独も　僕を救えるから

十三月のホワイトノイズ

十三月のホワイトノイズ
この世界を受信拒否しても　絶えず流れ込む君のノイズ
また繰り返す十三月の雪が　傷を撫でた
「あいつといると痛い目を見るぞ」　そのどこが悪いか解からなかった
痛みも降り積もってしまったら　同じ重さでしょう　

クオリアの終点に至る夜

クオリアの終点に至る夜
君が不在の季節に　未来の無い話をしよう
名前もさえも不確かな　君の手がかりは　温度のクオリア
隣トナリ　歩く道　星を呼ぶ白銀灯　寒そうに
探る君のトポロジー　白い息と　背中の温度　

シナスタジアの透明な夏

シナスタジアの透明な夏
「夏を迎えに行こうよ」　ピアノみたいな君の声
「どこに行くんだよ」　「どこでもいいよ」　問題はそこに無い
アスファルトと　排気ガスと　行き交うエンジンがなる音　
最果てを語る　飛行機雲に　柄にもなく祈った