タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧(51)
-
「っと、わぁっ!」
朦朧とした意識の中で、ミク姉の声をきいた。その直後に、盛大に転んだと思われる音と、何かが転がり落ちる音。
リンもミク姉も、何もない道で転べるような人だけれど、今回は何か持っていたのだろうか。
唯一自由に動く左手で、ベッドのカーテンを開ける。俺の部屋の床に、何故だか果物が大量...【中世風小説】Papillon 6
-
「リン! リン!」
身体を強くゆすられて、初めて誰かがそこにいることを知る。焦点の合わない瞳で、翠を見つけた。
「ミク、姉……?」
周りを見回す。誰かが床に倒れていた。そのすぐそばに、カイトが立っている。カイトが誰かを倒したらしい。
でも、何故。分からない。あたし、何してたんだっけ。
「よかっ...【中世風小説】Papillon 5
-
流血表現があります。苦手な方は読むのをおやめください。
-----
失うことに、慣れる日なんて来るのだろうか。君を失ってもいいと思える日なんて、来るのだろうか。もし君を失いたくないと願い続けたら、失わずにいられるのだろうか。そんな自分勝手を、世界は許してくれるのだろうか。君は、許してくれるのだろう...【中世風小説】Papillon 4
-
「わぁ、可愛いーっ! ほら、見て!」
並べられた商品を見てははしゃぐあたしに、げんなりとしてついてくるレン。
高熱にうなされているレンに無理やり、街へ出かける約束をさせて、今日ようやくのデートとなった。少し離れた場所を、何食わぬ顔してカイトが歩いている。一応、用心棒だ。
「なんなのレン、もっと楽...【中世風小説】Papillon 3
-
君だけを見ていた、とか、君だけを守りたい、とか。
もうそんな、白々しい言葉しか思い浮かばない。それを証明するものなんて、もうどこにもない。
夢の中で、ただ君の姿を探していた。夢の中でくらいは、君の笑顔に会いたかった。
降り注ぐ光の中、噴水を浴びて、緑の絨毯に寝転がった日々。一日中、手を放さず...【中世風小説】Papillon 2
-
あなたはもう、忘れてしまったでしょうか。二人でなら、何もこわくなかった頃のことを――。
-----
「ルカ姉! メイコ姉!」
あたしは、白い衣のすそが翻えるのも気にせずに走り、部屋に飛び込んだ。あまり品はないけれど、これでもこの王国の第三王女だ。
「ねぇ、レン見てない?」
部屋の中にいた姉二人...【中世風小説】Papillon 1
-
「うっわぁ、すごーい」
リンは素直に感心した。
感心すべきところではないのかもしれないが、あまりの金額に、そうとしか言えなかった。ミクの首にかけられた額。首、とはいっても、条件は生け捕り。よくも悪くもこの美貌なのだ。元ご主人様は、相当執着しているらしい。
「すごいって、リン……」
呆れた様子で...【小説】サーチライト 9
-
いじけた様子で草をいじるミクと、そのそばで彼女を守るように立つリン。
「つまんないなー。街に来たんだから色々見たいなー」
先ほどまでと様子が違いすぎるミクに苦笑し、リンも同調する。
「ですよねー。あたしも色々見たーい」
しかし、ルカが危険な目にあった場合に合流して逃げるため、もしくはミクが見つ...【小説】サーチライト 8
-
「わぁ……すごい」
フードを深くかぶったまま、ミクは感心する。街と呼ばれるような場所に訪れたのは、久々だ。その活気に、人の気配に、圧倒される。
「すごいすごい!」
隣にいるリンは、呆れるほど元気だ。そんなリンの首根っこをつかまえて、ルカがつばの広い帽子をかぶせる。
リン自身の過去も分からないし...【小説】サーチライト 7
-
「つまり、こういうことですか。ミクさんとルカさんは、レン――あ、呼び捨てでいいですよね、を探している、と。そんでもって、彼の居場所はもちろん、現在の実年齢も外見年齢もよく分からなくって、唯一の情報はあたしの顔なわけですね」
リンの顔が情報、というのはよく分からないが、まぁリンによく似た顔、という意...【小説】サーチライト 6
-
「それで、なんでこんなことになったわけ?」
長い桃色の髪の女性が、呆れた口調で言った。申し訳ありません、とミクは素直に頭を下げる。
はぐれてから五日後、ルカはちゃんとミクを探し出した。
水が調達できない状況だったら貴女死んでたのよ、と散々怒鳴った後、ミクを助けたリンに礼を言う、そこまではまぁよ...【小説】サーチライト 5
-
幼いころに親とも別れてしまったミクは、自分の正確な年齢を覚えていない。
魔女狩り直前の友人たちは十歳かそこらで――にも関わらず、ミクだけ外見年齢も精神年齢も四歳程度だったから、「魔族」だとバレたわけだ――、権力者に囚われていたのが十年間くらい。
集落に来たとき、ルカが四歳かそこらだから、集落で...【小説】サーチライト 4
-
デュエット
-
ミクの目の前にいるのは、十年以上も前、数日間しか思い出のない金髪の子ども。当時から、おそらく二、三歳しか年をとっていない。
「レン……?」
金髪の子どもは、ミクが呼んだ名前を、不思議そうに繰り返した。高い声。
ミクはようやく思い出した、彼は――レンは、こんな声ではなかった。どこか似てはいるけれ...【小説】サーチライト 3
-
歌姫が集落から消えて数日が経った。
「まぁいいんじゃないの、ルカが一緒なんだったら」
確かに、ルカが一緒に姿を消していたことに気付いた時は、カイトも安心した。ルカがすべてを知っていながらカイトたちに何の相談もしなかったことは納得がいかないが、ミクの性格を考えれば、下手に引きとめるよりは黙ってつい...【小説】サーチライト 2
-
リン……のはず。
- 1
2