焔姫 20 ※2次創作
第四章 03
焔姫は、それからは一度も振り返る事なく歩いていく。その後を、男は早足で追いかけていた。
いつもとは違う状況だったが、その構図という意味ではいつもと同じと言えた。焔姫と男が歩いていく途中ですれ違う者たちはそれこそ何人もいたわけだが、彼らは二人の様子が普段と違うという事に気づきもしなかった。
焔姫は王宮広間から階段を降り、一階へ。それから回廊を突っ切り、王宮の正面の方へと向かう。
男には、焔姫がどこに向かっているのか見当もつかなかった。王宮から出ようとしているわけではないはずだが、だとしたら一体どこに行くのか。