タグ「短編小説」のついた投稿作品一覧(6)
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――ルビー国 路地裏
がつ、と響く鈍い感覚。
それと同時に、錐もみしながら飛んでいく目の前の男。
拳を振り抜いた勢いで、そのまま視線は左後方へ移す。
すでにそこには、鉄パイプを振りかぶった奴が一人。
だが、振りかぶっただけだ。
そこから振り下ろすのに、ざっくりコンマ5秒。それくらいの時間...短編 クフェア編その二~握った拳に宿ったもの~
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カチカチと歯車がかみ合う音が響いていた。
その音に合わせるように、一つ一つネジを巻いていく。
穴にゆっくりビスを当て、精密ドライバーで一つ一つ捻じ込んでいく。
キリキリという音が鳴って、また一つパーツが組み込まれる。
正直、この音は苦手だ。なんだか、背中がぞわぞわっというするというか、そんな...【短編小説】アウルム編~丑三つ時の夜想曲~
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あの日から数日が過ぎ、文化祭も無事終了した。
生徒会劇の脚本も無事書きあがり、劇の方も無事終了し、元の日常に戻った。
いや、戻ったように見えただけだった。
「……はぁ」
またか、と言わんばかりに作之助のげた箱からあふれ出る手紙の数々。そのほとんどが、嫌がらせのたぐいのものだった。
その原因...「A sunny day after tears」3
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窓の向こう側から、いつも通りのさんさんとした太陽が注ぎ込んでくる。
カーテン越しとはいえ、相変わらずの強い日差しだ。慣れていなければあっという間に参ってしまうくらいの、強い日差し。
でも、僕はこの太陽の日差しが好きだ。
どことなく、生きているって感じがするから。
ふと、本当に何となく、立て...短編 クフェア編~駆け抜けてどこまでも~
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朝を迎え、いつも通り身支度をし、いつも通り朝食を済ませ、いつも通り学校へ向かう。
学校へ行けば、普段通りに授業を受け、友人と駄弁り、生徒会室で生徒会の業務を行い、たまにサボっては叱られては、気にせずバカ騒ぎをする。
いつも通りのルーティーン。いつも通りの日常。
そのはずだった。
「名取が来て...「A sunny day after tears」2
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ふわっと窓の向こうから香った風が、ぼうっとしていた頬を撫でた。ほんの少し、眠りにつきかけていた思考回路が、その一瞬だけはっきりと目覚める。
思わず腕時計と、黒板の上にかけられている古めかしい時計を交互に確認。
時刻は午後4時を回ったくらい。
窓の向こうでは、新チームとなった野球部が監督の張り上...「A sunny day after tears」1