時空を超えて・前半
最後の記憶によると教会の中にいたはず。だが実際はゴーストタウンのような街にボロボロなウェディングドレスを身に纏った状態で私はそこにいた。
「おかしい…」
そう呟いてみても曇った空に吸い込まれるだけ。辺りを見渡すと、建物は崩れて元は何の建物なのか検討がつかない。私の体はそんな現実とは不釣り合いなほど綺麗なままだった。怪我をしていると言っても、せいぜい痣やら掠り傷くらいでどれも軽傷。
「良かった、大した傷はなくて…でも、ドレスが…」
冷たいコンクリートにへたり込んでいる自分の服装は、元の白色が伺えない程煤けて、ふわりと広がったスカートの裾は乱雑に破けて、ところどころ穴が開いていた。そんな有様の服をぼんやり眺めていると、一つ疑問点にぶつかった。