タグ「KAITO」のついた投稿作品一覧(67)
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「ごめんなさい……」
青い髪の男が私の足元で土下座をしている。
私はそれを見下ろしながら仁王立ち。
さながら、愚かな咎人と、傲慢不遜の女王様だ。
「な・に・を、申し訳ないと思ってる訳?」
「それは……その……」
男が顔を上げる。
眉がこれでもかというほど下がり、瞳には涙を溜めている。
それでも威厳あ...【めー誕】 赤 イズミ草
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ちずさん【アイコン】
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episode5 ××××
彼女を追いかけていくと、そこにはこれまた綺麗な噴水があった。
噴水の周りには鮮やかな薔薇が咲いており、水がきらめいて何とも言えない。
でも、やけに重苦しい空模様のせいで、それらが余計に際立ってなんだか不気味だ。
「ねーぇ? どうしてあたしを追いかけてきたの?」
「えっ……...-Lost Maze-
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誕生日からいったい何日たっただろうか。
一週間? それ以上? もう数えることをやめた。
僕には酒好きの彼女がいる。
彼女の去年の誕生日には花束とケーキを夜中に届けに行ったのだが。
彼女からのお祝いの言葉や贈り物が届けられることも気配も一向になく、彼女がいる身にしてはとてつもなくさびしい誕生日だったこ...マフラー 【イズミ草】
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episode4 in the third garden
≪第三庭園≫
ということは、第一、第二もあるのかと彼に問うとどうやらあるそうだ。
後でまた案内するとも言われた。
でもこの美しい庭園、私たち以外誰も人がいない。
いや、家政婦さんのような人が決まった時間に手入れをしに来るのだろうか。
さっきの...-Lost Maze-
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episode3 廊下
コツ、コツ、と。
不気味なほどに反響する私たちの足音。
まるで機械で加工しているような、不自然な響き方だ。
前を歩いているカイアールは私が話しかけない限り黙々と歩いているだけだ。
ただただこの気味の悪い音を聞きながら、延々と続く廊下を歩いていた。もうかれこれ20分くらいだろう...-Lost Maze-
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episode2 信じられないということ
カイアールと名乗った蒼い青年の後について歩く。
少し歩いた後、無駄に馬鹿でかい扉が現れた。
「ね、ねぇ……カイアール……さん? これはどこに通じてるんですか?」
「ああ。僕のことはカイアールでいいよ、エルカ。ここはこの城の――玄関、とでもいうのかな。まあ、そ...-Lost Maze-
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episode1 荒城の迷路
――カツ、カツ
私に聞こえるのは、恐らく自分が歩いているであろう足音だけ。
未だに暗闇は続いていて、生きているかすらわからない気持ちの悪い感触。
もうどれほど『歩いた』のだろうか。
けれどなんとなく、視界は開けているような気がする。
記憶ほど曖昧なものはない。
もう最初...-Lost Maze-
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「どういうことですか!!? ちゃんと僕はネズミをすべて退治したじゃありませんか!!」
男は焦っていた。
「だから、何度言ったらわかる。お前に賞金は与えられない、と言ってるのよ」
「金じゃない!! アイス一年分だ!!」
「どっちだっていいでしょ!!」
「アイスは金じゃ買えないんだよ!!」
「あほか! ...ボカロと愉快なボカロたち。
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ある月の綺麗な夜、男は笛を片手に広場にある大きな湖のほとりに佇んでいた。
男に表情はなく、ただ風によって押しては返すかすかな水面を見つめていた。
そして男は笛を唇に当て、奏でだす。
誰も聴いたことがないような、危ういメロディー。
それでもどこか物悲しい、心地良いメロディー。
少しの間、物音一つしない...ボカロと愉快なボカロたち。
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「お誕生日おめでとう!!!」
なーんて言葉と綺麗な花吹雪が、私の部屋に舞うことはなく、とうとう一人で誕生日を迎えてしまった。
本当は一番に祝ってほしい人がいたのだけれど、忙しそうだったから一緒に私の誕生日を迎えてほしいなんて言えなかった。
なんとなく一人で食べるケーキはむなしい感じがしたので何も自...【めー誕】誕生日の夜 【イズミ草】
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「あー! カイトだー!」
「本当だー! なんか如何にも胡散臭い別にセンスもよくないむしろ悪い服着ていきなりやってきてネズミ倒すからアイス一年分くれっていいくさったあのカイトだー!!!」
青年は困っていた。
「なんか如何にも胡散臭い別にセンスもよくないむしろ悪い服着ていきなりやってきてネズミ倒...ボカロと愉快なボカロたち。
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昔々、あるところに。
ネズミの被害にあっている小さな町がありました。
人々は困り果てていました。
食糧がなくなる。
家を蝕まれる。
農作物を荒らされる。
そんなある日、なにやらおかしな服を身にまとった、青年がやってきてこう言いました。
「報酬をくれるのなら、この僕がネズミを一匹残らず退...ボカロと愉快なボカロたち。
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カイト王子と、隣国の姫君の結婚式が今日に迫った。
人魚姫は何もできず、震えていた。
あの日の自信はどこえやら、とうとう【死】が迫っていたのだ。
あの人に気持ちを、想いを伝えることができないまま、自分は死んでしまうのだと。
笑えるほどに実感していた。
時刻は1時を過ぎたころ。
今日の日が昇れ...ボカロと愉快なボカロたち。
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人魚姫が次に目を覚ましたのは、見知らぬやけに豪華な天蓋付きベッドの上であった。
人魚姫は少々顔に戸惑いの色を見せ、あたりをきょろきょろと伺った。
しかしそこには魔女どころか、見慣れた妹のリンの姿もない。
不安に充ち溢れ、とうとう身体を起こそうとしたその時だった。
人魚姫の『足』に突如、得も言...ボカロと愉快なボカロたち。
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第七十三話 ずっと見てた
「伝えたかったなあ……」
独りごとなのか、俺に言ったことなのか。
それはわからない。何しろ今グミは俺に背中を向けているから。
「しっかしなぁ、いつもは面倒見のいい姉御気質気取ってるくせに、こういうの苦手だよな、お前って」
ああ、昔からそうだ。
励まそうと頑張って...ノンブラッディ
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第七十二話 愛しい背中
彼旅立った。
もうあたしとレンが会うことはまずないだろう。
見送りくらい行けばよかっただろうか。
それでも、レンを見るときっとひきとめてしまう。
消えちゃうくらいに抱きしめて共に生きたいと思ってしまうわ。
だから―――これで―――。
「よかったのかよ。見送り、行...ノンブラッディ
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第六十九話 還
もう一度眼をあけると、そこには懐かしい面々がそろっていた。
最初に目に入ったのは、親友、メイコだった。
そして、グミ、カイト、レン。
みんな心配そうに私を見ていた。
「よかった、目を覚ましたのね」
メイコが涙ながらにこう言った。
「無茶しすぎだぜまったく、もう若くねぇんだか...ノンブラッディ
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第六十五話 君の幸せを祈ります
「いいのか本当に」
レンをおりんに会いに行かせてから、れんの背中を見送りながら、ちょっとだけ後ろにいたカイトがあたしにそう耳打ちした。
そんなこと言わないでよ、泣きそうなんだから。
「ん、別に。あんなのどうでもいいわよ」
「相変わらず、かわいくねぇなぁー」
...ノンブラッディ
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第六十四話 門
とても≪人間界≫の≪江戸時代≫とは思えないような虚大な、異空間。
それは≪魔界≫と≪人間界≫をつなぐ世界。
私の目の前には、無駄なほど威厳あふれる門がそびえ立っている。
私の後ろには、ぐみ、かいと、そしておかみさんを抱えた、咲屋――いや、学園長だ。
「いいのか? おりんを、呼...ノンブラッディ
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第六十一話 謎
「全ては―――レン―――あなたの為よ。……わかるわね……?」
「はい」
私は全てを飲み込んで、そう答えた。
あとは全て私に託されたんだ。
私がこれからする選択で、全てが決まる。
「すみません、ちょっといいですか?」
ずっと大人しく聞いていたぐみが話に割って入った。...ノンブラッディ
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第五十八話 謎
「ルカを助ける方法なら、あるわよ。魔界へ還せばいいの。そうすれば魔力が回復して元通り元気にな」
「ちょっちょっと待ってください!!」
いきなりそんな話を始めた咲屋さんを、私は思わずとめた。
「まだ何も解決していません。おかみさんが何をしようとしていたのか……さっきの物は、かい...ノンブラッディ
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第五十七話 満月の夜に
「……なるほどな。そういうことかよ、まったく」
かいとが溜息をついた。
皆話を聞いた後の何とも言えないこの気持を溜息にしたかったが我慢していたのに。
「すみません。でも、もうれんやみなさんを殺したいとは思っちゃいません。ミクの気持ちが、わかった気がしますから……」
お...ノンブラッディ
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第五十二話 目的
「……っく……」
あたしが目を覚ますと、そこにはレンとおりんと、そのほか数名とともに、どこかの客間にいた。
だいぶ長く人間界に住んでいるが、ここは来たことがない。
「だから、あたしはおりんを助けに行こうと思って、レンを見送った後荒れ屋敷に戻ったんだけど、なんだかそっからおぼえ...ノンブラッディ
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第五十一話 全て
私たちが寿々屋へ戻ると、時すでに遅し、おかみさんは息をしていなかった。
前の少しふくよかな優しい雰囲気は感じられない、凛とした長い桃色の髪を畳になびかせ、眠ったように。
「お……っかさ、ん……?」
おりんさんは、急いで駆けよった。
雪は――いつの間にか降りやん...ノンブラッディ
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第五十話 あの人の意思
「ねえ、そんな顔しないで? 私頑張ったの――あなたのこと……まもろうとして……」
おりんさんは私を抱きしめながら悲痛に訴えてきた。
今にも泣きそうな顔して、今にも零れそうな涙を溜めて、今にも壊れそうに身体を震わせて。
「ねえ……おっかさんが言ってた、私人間じゃないの……...ノンブラッディ
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青蝶さん【アイコン】
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カイトおめでと!
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第二十八話 無気力
すっかり息をしなくなったミクを膝の上に抱いて、ただただ見つめていた。
この洞窟の外には、僕にやられた同族たち。
ここには、僕の所為で居なくなった愛しい人。
そして、狂った僕。
ここにはもう、なにもない。
さっきまではっきり覚えていた君との記憶も、もうすぐ思い出になって...ノンブラッディ
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デッドレコード
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第二十七話 汚い、綺麗、やっぱり
容赦なく君は、赤黒い液体をその形のいい唇を大きく開いて、吐き出した。
胸に刺さった剣に、歪む君の表情。
もう、綺麗な君じゃない。
そう思ってしまった僕はきっと、ダメな奴だ。
あんなに好きだった君。
あんなに守りたかった君。
あんなに綺麗たっだ君。
それ...ノンブラッディ
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第二十六話 紅く染まった君と僕。
「……ミク……?」
僕は、腕に抱きよせる。
よく見ると、右手は――ない。
無残にも引き千切られている。
到底信じがたい。
この紅く染まって、「ヒューヒュー」と情けない声を出して、痛みに悶絶している。
ミク――?
「――なっさけねぇなぁ」...ノンブラッディ
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かかってこいよ。
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青蝶さん【アイコン】
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12月
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