ブッチさん

比較的最近になってからボカロワールドに首を突っ込み始めた人です。

ブッチさん

ブッチさん

phcpcke4t0v

比較的最近になってからボカロワールドに首を突っ込み始めた人です。
若干、絵が描けますが……上手いかどうかは……。

あとPC持ってない(涙 ついでに言うと持てない(金銭的に

どうぞヨロシク。

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  • 謝音光雲shon_terumo

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イチオシ作品

哀歌

 私に……用ですか?  ええ、構いませんよ? あの話ですよね。  それにしても珍しいですね、今更あの話を記事にするんですか?  ……あぁ、そうですか。そうですよね。そろそろ、一年になりますからね。  良いですよ。あの話をしましょう。  それにしても、いい天気ですよね。  あれは……、今から六年前のことです。私はマスターに出会いました。マスターはまだ中学一年生でした。  私はマスターのお父さんに買われ、マスターの家に来たのです。その日は土曜日で、マスターが午前中の部活を終えて帰って来た所を、私が出迎えたんです。  ふふ……、あの時のマスターの驚き様は、今でも覚えていますよ。  元々、マスターは音楽に疎い人でした。楽譜なんて読めませんでしたし、リコーダーがせいぜいの人でした。  ですが、それは興味が無かっただけのことだったんでしょう。私と一緒に付いていた取扱説明書を片手に操作し始めたら……。  始めはたどたどしいものでした。一つ作業を進めるとまた説明書を確認して……。そんなものだったのに、一ヶ月で見違える程のスキルアップを遂げていたんです。  今にして思えば、あの頃が1番輝いていました……。お互いに成長して行くのが分かった……、あの日々……。  ああ、すみません。つい……。  そんな日々は二年しか持ちませんでした。マスターは変わらず私に接してくれましたし、新しい曲があと少しで完成する。そんな時でした。  あの時に作っていた曲は、とても明るいものでした。マスターが中学三年生になって、将来を夢見ていた、夢のための応援歌……。   そんなもの、無くなってしまいましたが。  ふぅ……。青い空って、気持ちの良いものだと思いません? 爽やかで……。  ある日、マスターの両親が二階の部屋で口論をしていました。その間、マスターは部屋の扉を閉めてベッドに入っていました。  私にはすることがありません。マスターの机の椅子に座って、扉越しに聞こえる不鮮明な口論の内容を聞くことぐらいしか、私には出来なかったのです。  マスターの表情は見えませんでした。ベッドに入って顔を布団で隠していたから……。  その内、口論は終わりました。私はマスターに声を掛けようとしましたが、よく見るとマスターは寝ていました。  ですが、私は気付いたんです。  マスターの枕は濡れていました。マスターの目には涙の跡がありました。  私は何も、出来なかったんですよ。  それから口論は頻繁に起こるようになりました。それも次第に激しくなって……。あるときには、マスターのお祖母さんが呼ばれて来た事もありました。  そしてその度にマスターは勉強もなにもかもを中断して、ベッドに入りました。そして泣いていました。  壁越しでも十分に聞こえる口論の内容は……マスターのお父さんが浮気をしていた、というものだったのです。  口論はいつも夜に。朝にはいつもと変わらない、何食わぬ顔でマスターの両親は朝食を食べていましたし、マスターも素知らぬ顔で朝食を食べていました。  私とマスターが作曲をすることは無くなりました。それもそのはずです。マスターは中学三年生、曲がりなりにも受験生なんですから。  私はその間、我慢していました。……何を我慢していたのかは、今となっては分かりません。  そして、最初の口論からだいたい一月が過ぎた日曜日。マスターのお父さんは家を出て行ったのです。  これまでの比じゃない激しい口論。しかも昼間からです。マスターはベッドに入って頭から布団を被っていました。  その内、バタンと荒々しく扉を開ける音がして、ドスドスと歩いて階段を降りる音と、それを追い掛けるマスターのお母さんの喚き声が聞こえました。  そのままその声は一階に降りて行き、玄関の扉を開ける音、外に出ても続く喚き。  ですが、一回だけ鈍く打ち据える音がしたかと思うと車の発進音がして、お父さんがいつも会社に行くときに使う車が無くなっていました。  ……マスターは、声を殺して泣いていました。  一時間も、二時間も……ずっと……日が暮れるまで、泣いていました。  私は見ていることしか、出来なかったんです。  下に降りると、マスターのお母さんに会いました。左の頬を赤く腫らして、目を真っ赤にしていました。  マスターのお母さんは私を一目見て、また顔を俯けました。  次の日は学校でした。この時ほど月曜日が残酷に思えた時はありません。  ですが……。  すみません……。少し、休ませてもらっていいですか?  空って、なんで青いんでしょうね?  聞こえなかったですか? 空ですよ、空。  空の青さは変わりませんよね……。私は、変わってしまったのに。  はぁ……。  ……マスターは昨日のことなど知らないように起きて、朝食を食べて、行ってきますと言って、いつものように学校に行ってしまいました。  次の日も、その次の日も……。  マスターは何事も無かったかのように、振る舞っていました。私にも極力、変わらないそぶりで……。  マスターのお母さんも、一瞬暗い顔を見せましたが、マスターと同じ用に朝食を食べて、パートに行ってしまいました。  そして一週間が過ぎました。  マスターのお母さんはマスターと私を呼んで、こう言ったのです。 『あいつを憎め、悔しさをバネにしろ。いつか見返してやるつもりで頑張るんだ』  マスターのお母さんがマスターのお父さんを“あいつ”呼ばわりしたのはこれがこれが最初でした。  私は曖昧な返事をしました。マスターは……小さく頷いた、ようにも見えました。  でも、私は聞いてしまったんです。部屋に戻るとき、マスターが小さく呟いたのを。 「勝手なこと言いやがって……」  マスターがお母さんに対してそんな風に言ったのもまた、初めてでした。  その内、マスターも受験勉強に励むようになりました。マスターとの作曲も暫くはお預けです。  私も応援しました。手伝ったりもしました。私も基礎的学力は元からありましたから、マスターに教えるときもありました。  傍目から見ると、マスターは頑張っているように見えました。事実、頑張っていましたし……。  ですけど、それは勉強に没頭して他の事を忘れようとしていただけだったのかもしれません。  そして、年が明けて三月。マスターの合格発表がありました。結果は合格。  私もマスターもマスターのお母さんも喜びました。ですが、私は気付いていなかったんです。……いや、もしかしたら気付いていたのかも知れません。  マスターが、私の目を見なくなりました。  私だけじゃありません。マスターのお母さんとも目を見て話さなくなりました。会話のときは、確かに向いてはいるんですが、その目は私ではなくその後ろにさりげなく向けられていたんです。  また、マスターが勉強する姿もほとんど見られなくなりました。  マスターの成績は次第に低下していき、元々苦手だった英語は毎回赤点を取るようになったのです。  それだけじゃありません。作曲も全くやらなくなってしまいました。手を触れようともしなくなったのです。  成績を落としていたマスターに、マスターのお母さんが怒らないはずがありません。そして、マスターのお母さんはその度にこう言ったのです。 『あいつを憎んで、それをバネに頑張るって約束したよね』  マスターはもはや何も言わなくなりました。そしてただずっとお母さんの説教が終わるのを待っていたのです。  それから一年が経ちました。マスターは高校二年生。クラス委員長になった、と言ってました。部活の顧問が変わった、とも。  それからのマスターは急激に変わっていきました。特に、目が変わったんです。  どこと無く怯えたような、そんな目をしながら、目付きは辺りをギョロギョロと睨んでいる。そんな目でした。  私とはほとんど話さなくなりました。  そして、その冬の事です。  マスターは修学旅行から帰ってすぐ、今度は部活の遠征に出掛けていきました。どうやら文集に載せる、クラス委員長の原稿を任されたようでした。  この遠征は去年は無かったのですが、顧問が変わったことで色々と部活の方にも変化があったようです。  そして遠征から帰って来たマスターは、テストの成績表を持って次の日学校から帰ってきました。  どうやらクラス委員長の原稿に行き詰まっていたようです。  そして、成績表をお母さんに見せました。お母さんは烈火の如く怒りました。こんなので受験はどうするつもりだと、あの時の約束はどうしたと、そう言ったときです。  突然、マスターがお母さんを殴りました。私の目の前で、殴りました。  お母さんは突然過ぎて呆然としていました。するとマスターは、台所に走り、そこから包丁を……。  え? 顔色が悪い? 大丈夫ですよ。……ええ、大丈夫です。  私にはマスターが包丁を片手にお母さんへと向かっているのが分かりました。私は駆け出しました。今でも、なんでそんな行動を取ったのか分かりません。  そして、マスターがお母さん目掛けて突き出した包丁は……。  私に刺さりました。  私のお腹に。痛いというより、熱かったですね。  マスターは包丁を抜いて、また刺しました。また、抜いて、今度は切り付けました。何度も、何度も、何度も……。  私のナンバリングタトゥーが歪んでいるのもそのせいです。01に見えます? これ。……見えないですよね。  そうやって私の意識が薄くなっていったとき、マスターは私の目を見ました。  そして、自分自身を切り付けて……笑いながら倒れました。  あの時の話は、これでおしまいです。次に目が覚めたら、もうココでしたから。  ……あの後に知ったんですよね。マスターが、お父さんの写真を大事に隠し持っていたのを。  私は、見ていることしか、出来なかったんです。  ……もうそろそろ、日が暮れますね。  たまに会いに行くんですよ。マスターの所に。……マジックミラー越しですけど。  もしかして、マスターの所に行ったりします? そうですか。でしたら、歌とメッセージをお願いできますか?  曲名は―― ――――――  VOCALOID保護施設。ボランティア団体が主として行っている、文字通りの施設だ。  マスターのいなくなったVOCALOIDや、VOCALOIDに虐待を行ったマスターから保護したVOCALOID達が身を寄せている。  その中に一人、ナンバリング01型のVOCALOIDがいた。当時としては騒がれた『VOCALOID殺害未遂事件』その事件の被害にあったVOCALOIDだ。  彼女は毎日、屋上に上がっては空を見上げ、そして日暮れになると“歌”を歌う。  その歌は、どこかもの悲しく未来の希望を歌った歌。それは近所で評判となっていたのだ。  本人の了承を得てCD化も行われ、徐々に売上を伸ばしているという。  彼女はその歌を誰に対して歌っているのか。  何故歌い続けるのか。  それは分からない。  未だ精神病院に入院中のマスターに対してなのか、それとも我々人間に対してなのか。  ただ、彼女はこの言葉をよく呟くという。  私はただ、見ているだけだった―― ――文責 〇〇新聞編集 〇〇〇〇。

うん。……深くは語るまい。

語り手はミクさんです。……雨の日って本当に鬱物書きやすいですよね。

……。


さて、と。

あ、そうそう。これ付けるの忘れてた。


※この物語は事実を元にしたフィクションです。


まあ、こういう未来もあったのかなーって、ね。

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投稿日時 : 2009/06/26 18:47

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