強烈なスカーレット
踊るようなゴールデンオレンジ
華やかにビビッドイエロー
麗しいピーコックグリーン
晴れやかにスカイブルー
沈むようなウルトラマリン
鮮烈なバイオレット

虹を描いてこう言った
「あなたの色は」

ドレスの裾を摘まんでお辞儀
極彩色、目も眩むような
「何だってありますわ」
嘯く唇艶やかにバーミリオン

絵師は笑う筆が空を切る
パレットの絵の具が煌めいた
真っ白なカンバス筆をおいても
埋め尽くすは白白白

「ミスモノクロそこは楽しいかい
誰かの色を貪る日々
自分の鮮やかさを嘲笑うだけの毎日さ
そこから何を得ようとする」

ドレスは回る色を吸い続ける
灰色は嫌だと泣き叫んだ
多彩色のドレスに何をおいても
混ざり尽くすは灰灰灰

彼女は回る涙を流す
汚いのは嫌よと喚き散らした
有彩色のドレスを脱ぎ捨てても
残った彼女は無無無(ないないない)

何にもない