覚えてる?
夏の始まりを告げた蝉が
僕らの始まりの音になったこと
ふと見上げた青空には
大きな入道雲があったこと
吹き抜けた風は思い出を連れて
照りつける日差しは面影を添えて
噴き出す汗と隣りの声は
やはり僕には心地よくて
夏がやってきた
誰も知らない20××回目の
覚えてる?
加速する蝉たちの輪唱が
私たちの笑い声を連れてきたこと
居眠り仔猫も大きくなって
もうお母さんになっていたこと
乾き切った水は今も何も語らずに
揺れ続く草花は輝きを増して
駆けていく子供たちと遠くの色は
やはり私の心に語りかけてきて
夏にまた戻ってきた
これから始まる20××回目の
わかるはずも無いよね
これからの喜びや
これからの悲しみなど
でも 楽しみで仕方ないんだ
これからの幸せも
これからの不幸せでさえ
夏が好きになった
だって 君が好きだから
秋も好きになった
だって 君が好きたから
『『 また はじまるよ。 』』
夏がやってきた
二人だけの20××回目が
ずっと一緒にいようね
これから始まる20××回目も
夏・恋・歌
3部作作品 その3。
その1とその2の二人が恋に堕ちた、数年後の夏物語。
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