【勝手小説】trick and treat [ route→treat]

投稿日:2010/10/31 08:40:42 | 文字数:2,364文字 | 閲覧数:1,176 | カテゴリ:小説

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小説版「trick and treat」の後編(1)です。なんか今までホラーしかなかったのでやってみました。
ハッピーハロウィン!

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※注意!
これは鏡音リン・レンの楽曲「trick and treat」を零奈が勝手に小説化したものです。
二次創作が嫌いな方、原曲のイメージを壊されたくない方はすぐに戻ってください。
なお、これを読む前に前編を読むことをお勧めします。




一体、どれくらい歩いたのだろうか。足が棒になるくらい歩いても、まだたどり着かない。
拭っても拭っても拭いきれない不安に、ミクは目隠しを取ろうとした。
魔法使いに引かれていない方の手で、そっと目隠しを外す。

「!」
そこで悲鳴を上げなかったのを、ミクは内心全力で誉めていた。
かぼちゃのランタンが、森に落とす影。
あらぬ方向に曲がる足首。左右で高さの違う肩。ちょうどかぼちゃのように歪な形の顔。
魔法使いが振り向く。にぃっ、と猫に似た笑顔だが、今はそれが逆に恐ろしい。
「おやおや、悪い子」
長年の友人に対するようなおどけた声が怖い。
「もうお目覚めですか?」
くすり、と魔女が笑う。
「目隠しが解けたなら、盲目にしようか?」
二人は互いが互いの虚像だといわんばかりに、そっくりな笑顔を浮かべる。
「ほらほら、笑いなさい?可愛いお顔で!」
双子は手を繋いだままくるりと回ってミクの前に立ち、とんがり帽子で表情を隠す。

「ネェ、頂戴?」

魔女の可愛らしい笑い声が、ミクの全身に鳥肌を立たせる。
とてとてという擬音がぴったりな様子で、魔法使いが歩いてきた。
「どうしたの?そんな目で、体を震わせて」
魔法使いはミクの顔を覗き込み、なぞなぞの答えを見つけたといった笑顔を浮かべた。
「わかった!温かいミルクでもてなして欲しいんだね?」
不意にランタンの明かりが揺れる。見ると、魔女がランタンを持った手で一軒の家を指差していた。
「さぁ、中にお入り?ここはとても暖かいの。見返りなら、ポケットの中身でいいから!」
双子がそっくり同じ動きで近寄るのを見ながら、ミクは集会場での注意を完全に思い出していた。

『いいですか?もしも、“trick or treat”ではなく“trick and treat”というそっくりな双子に会ったら、ポケットの中のお菓子をあげてください。あげないと悪戯されますが、あげると向こうもお菓子をくれます。森のお化けだからといって、決して気味悪がったりしてはいけません。わかりましたね?』

ミクは悪魔の仮装のポケットからクッキーの包みを二つ、取り出した。
「これでいい?」
双子の顔がぱぁっと輝く。
「「ありがとう、お姉さん!」」
ぴったりと揃った声で、双子は礼を言う。その顔を見てミクは悟った。
「もしかして・・・今までの全部、あなたたちの悪戯なの?」
「「うん!」」
いっそ清々しいまでに無邪気な双子に、ミクは全身の力が抜けたような錯覚を覚えた。
「もう夜が遅いよ、お姉さん」
「名残惜しいけどまた来年、だね」
双子は少し寂しそうな顔をして言った。
「明日もまた、会えないの?」
ミクの問いに、双子は淡く笑った。無理をしているのが見え見えの笑顔だった。
「僕達、一年に一度しか町に降りられないの」
「だからね、また来年、なの」
魔法使いが家に入る。出てきた時には、ミクのそれより大きなお菓子の袋を抱えていた。
「これ・・・お姉さんに。来年も、また会えるよね?」
縋り付くようにミクを見上げる双子から袋を受け取ると、ミクは二人の頭を撫でた。
「うん、きっとまた会えるよ。だから、そんな顔しないの。ね?」
ミクが笑いかけると、双子もそれに応えて笑った。
「最初に会った所まで案内するよ。」
魔法使いがとんがり帽子を目深に被り直し、ミクに手を差し出す。
ミクがその手を取ると、魔女がかぼちゃランタンを軽く持ち上げた。
「そこからなら、ちゃんと家に帰れるでしょ?」
ミクは頷いた。

宵闇が覆う森を、3人の子供が歩く。ランタンを持った魔女、緑の髪の悪魔、魔女によく似た魔法使いの3人。
彼らはそれから、様々な事を話した。ミクは町に住む人々の事や、町で行われる祭の事。双子は森の動物達や、たまに森を訪れる人々の事。
木々の擦れる音に混じって響く、子供達の忍び笑い。
やがて森は開け、別れの時が近付く。
「ねぇ」
ミクは双子に問い掛けた。
「あなたたちの名前、聞いてもいい?」
二人はきょとんとした顔になる。名前という概念すらわからないといった顔だ。
「私はミク。あなたたち、もしかして名前がないの?」
双子は悲しげに頷く。
「なら、私が付けてあげる!」
「いいの?」「本当に?」
「もちろん!」
ミクはしばらく考え込む。
「なら、魔女ちゃんは“リン”ちゃんで、魔法使いくんは“レン”くんだね!」
双子は顔を見合わせ、口の中で言われた名前を繰り返す。
「レン?」「リン?」「なんかいい名前!」「名前っていいね!」
手を取り合ってはしゃぐ双子の様子は、夜の森に似つかわしくないほのぼのとしたものだった。
「じゃあ・・・お別れだね。また来年ね?リン、レン、お菓子ありがと」
双子はこくりと頷く。ミクは帽子の上から二人の頭をぽんぽんと叩くと、にこりと笑った。
「「ミク姉ーぇ!また来年ねー!」」
ぴったりと声を揃えて、リンとレンは彼女を送った。
「また二人っきりにだね、レン」「そうだね、リン」「来年は、どんな悪戯でミク姉を迎える?」
ミクの去った森に、早くも来年する悪戯を考える声が響いた。

ミクが家に戻ると、まず両親にこってりと叱られた。家に戻ると、もう寝る時間を過ぎていた。
とりあえずベッドに入り、今日の事を思い返す。
今日はとても驚かされたから、来年会った時は私のほうから悪戯を仕掛けよう。
自分が名前を付けた双子の驚く姿を想像しながら、彼女の夜は更けていった。

最近歌詞も書くようになったので、小説書きというより文字書きですw
誕生日を記念して雪歌ユフさんをお迎えしました!
全然使えてませんが、いつかユフさん曲を作ってあげたいです。
そしてゆくゆくは鏡音をお迎えするのです。
気が向いたら作品も見ていってくださると嬉しいですoyz
メッセとかブクマとかくれると狂喜しますw

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