「うーん、そういえば、かなり前だけど、私たちの出てたフリマに、出てたと思う。その人」
ぱみゅちゃんは言った。
「へぇ、その、霧雨さんが?」
ネルちゃんが聞いた。
「うん。確か、本業のかたわら、趣味でイラストを描いてたんだと思う」
ぱみゅちゃんは、思い出しながら言った。
「そうか...」
考えこむように言って、吉さんは背中を丸めた。
陽のさんさんと照る、日曜日の公園。
吉さんたちの会社の、ジー出版の開いた「フリーマーケット」が行われている。
公園の横には、移動カフェ「ドナドナ号」。
そのそばのベンチで、彼と話しているのは、
ジー出版のフリマ担当の、ネルちゃんと、造形作家のぱみゅちゃんだ。
●有名になってみせます!?
吉さんは言った。
「うちの雑誌に、この間、その霧雨さんが、作品を売り込みに来たんだ」
「えっ、その人が?」。
ぱみゅちゃんは驚いた。
「そうなんだ。で、いろいろ自分の作品を見せてね。“きっと、有名なモノづくりのアーチストになってみせます”とか言って」
と、吉さん。
「ふうん。その人、功名心が強いタイプなんだね」
ぱみゅちゃんは言った。
「でも、その絵が、なんとなく、どこかで見たようなものがあって。で、気になって」
彼は言った。
「じゃ、その人は、パクリ屋さんなのか」
ドナドナ号のたこるかちゃんが、売り場から顔を見せて、言った。
「いや、パクリ屋ってわけじゃないけど」
吉さんは、苦笑する。
●昔はここに、出てたんだね!
ベンチに座って、ネルちゃんはうなずいた。
「そう。じゃ、昔はフリマとかに出てたんだ。アマチュアとしてね」
彼女は、ホットドッグを、パクついて言う。
「ぱみゅちゃんやルナさんは、うちのフリマの常連だからさ、私も仲良しだけど...。
昔に一度か二度くらい、フリマに出店してても、覚えていないなあ、その人のことは」
「それで、作品を見せに来たときに、うちのフリマにも出たことあるって言うから、」
吉さんは、ボソボソと言う。
「今日、ここに来て、聞いてみたんだよ」
「やっぱり、ぱみゅちゃんは覚えてたんだね。さすがだね!」
ネルちゃんは言った。
「おっさんのわりには、するどいとこ突くじゃん。まだアタマは、ボケてないようだね」
吉さんに向かって、ひどい口を聞く。
●役に立つんだよ!
「そうかぁ、いろんな人がいるんだね、アーチストの世界って」
たこるかちゃんは、ドナドナ号をほったらかしにして、ベンチの横にやって来た。
「うちのルカさんにも、教えておこう」
「それがいいわね。ちょっとチェックの情報だね」
ネルちゃんは言った。
「ぼーっとしているようでも、けっこう役に立つんだよ、このオヤジは」
彼女は、笑った。
「でも、まだ、パクリという確証はないからね。やたらと人を疑うもんじゃ、ないよ」
吉さんは言った。
「オヤオヤ。じゃ、なんで、このフリマに来たのサ」
と、ネルちゃん。
ぱみゅちゃんは、にこやかに言った。
「まあ、まあ、いいじゃない。情報サンキューね、おっさん」ヾ(^o^;)
(Part3に続く)。
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