白が白を追い越して
やがて全てが真っ赤に染まった日


僕らに一つの命が降った
君の中に鼓動が一つ増えた
笑った　泣いた　そして笑った
それは陽だまりの中の　永遠


白が白を追い越して
夕焼けに世界が頬を染めた日
帰り道　隣に少し気を遣いながら
長い影　歩いてく　ゆっくりと


絵にしたいと思った
歌にしたいと思った
でも何にも出来ない僕は
言葉に残すしかなかった
今　こんなに幸せだということを





白が白を追い越して
やがて全てが真っ赤に染まった日


僕らに一つの手紙が届いた
二人を引き裂く国の命が届いた
泣いた　泣いた　そしてまた泣いた
それは時代が弄んだ　運命


白が白を追い越して
夕焼けに鳥が歌うのを止めた日
帰り道　久方ぶりに掌結んで
長い影　歩いてく　ゆっくりと


絵にしたいと思った
歌にしたいと思った
でも何にも出来ない僕は
言葉に残すしかなった
今　溢れだすこんな感情を





白が白を追い越して
やがて全てが真っ赤に染まった日


僕に一つの電報が届いた
母国で降ってはならない爆弾が落ちた
泣きそうになった　しかし止めた
きっと大丈夫だと　信じた


白が白を追い越して
夕暮れに友の笑い声が消えた日
御守　もう一度だけ強く握って
数多の影　走り出す　最期へと


絵にしたいと思った
歌にしたいと思った
でも何にも出来ない僕は
言葉に遺すしかなかった
今　駆け廻る全ての想いを









白が白を追い越して
やがて全てが真っ赤に染まった日


遠くから歌が聞こえてきた
何処の誰かも分からない人の詞に
やたらと明るいメロディーが乗って
子供たちが笑って歌っていた