赤い果実

二作目。
テーマはきれいなヤンデレ。

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もう一度時を選ぶとしたら
君に会わない世界を生きる
もう一度君を選ぶとしたら
気づきもしない世界を壊す

もう一度今を選ぶとしたら
君にやさしい世界を贈る
もう一度君を選ぶとしたら
毒を飲み干し世界は腐る


甘い蜜を隠す　赤い果実をその手に
横たわる君の目　開くまではあとすこし


（「うれしい」と泣き「哀しい」と泣く
よろこびと哀しみは裏表
「愛しい」と抱き「淋しい」と抱く
好きも嫌いも諸刃の剣
「甘い」と笑い「苦い」と笑う
味わいつくせば飢えに渇く
「会いたい」と泣き「さよなら」と泣く
胸に抱けばすり抜ける）


錆びた鍵を突き刺し
歪むドアをこじ開け
踏み込む部屋　きわどく甘く
君がくすぐり堕ちた先に
蜜をこぼす


君のその手にある赤い果実が
腐り落ちればただ甘くかぐわしく
君の毒を味わい飲み干せば
時は止まる

君のその目にある黒い輝石が
崩れ落ちればただ淡く消えていく
君の夢を蝕み呑み込めば
世界を侵し彩りゆく

君のその手の赤い果実が
だれに渡され甘く熟したとしても
だれとやさしく甘く夢を育んでいたとしても

君のその手にある赤い果実を
奪い尽くしてただイカれ朽ちていく
君の愛も痛みも憎しみも
僕を侵し彩りゆく