-終戦-
 手が、震えてしまってどうすることもできない。
 自分がしたことを理解するのに、しばらく時間を要した。
 嫌な汗が背中を伝い、落ちていく感覚があった。それから何があったのかを考えていたが、自分の立っている場所から下をのぞき見て、やっと何があったのかを理解した。螺旋階段の下で、弟が血塗れになって倒れていた。
「――レンっ!?」
 そのまま下へと駆け下りようとして、また、あの声が頭に響いた。
『お前の弟はヒトゴロシ、トドメをさせ』
 体中の神経がこわばって、また、頭の中が真っ白になって――。

 でも、ダレノタメ?
 誰を―――殺したって言うの?

 その問いに、声は待っていましたというように答えた。
「えっ―――?」

「避けてばかりいないで、攻撃もしてみたらどうだ!!」
「そう?あんまり攻撃しないほうがそっちに有利かなぁとか、考えたんだけど?そういうことなら、遠慮しないよ」
 一層レオンの動きが素早くなり、目にも止まらない速さでルカの後ろに回りこんだ。それに気がいて、ルカが振り向こうとしたときだった。ルカが持った剣がレオンの腕に傷を作った。それとほぼ同時だったのだ。
「!?」
 いきなりレオンの動きが止まり、そのままレオンがドアのほうを睨みつけた。ドアのほうにいたのは、紅いワンピースと白いエプロンを身に着けた、勇ましい賢者の姿だった。
「主!!」
 そう叫んだルカに、安堵の表情が浮かんだ。
 それにそっと微笑んだメイコはすぐに顔を真顔に戻して、ルカに命令を下した。
「大体、話はわかったわ。ルカ、どうにかしなさい」
 どうも自分で手を出すつもりはサラサラ無いらしい。
 それに頷くと、ルカはゆっくり手に持ったネックレスをレオンにつけた。その途端、レオンがその場に崩れそうになって、壁に手を付きルカとメイコを順に睨みつけた後、ミリアムを強くにらみつけた。

 暗くなった視界、闇の中で光の無い意識の中に、ランはいた。その世界は、先ほどまでレンがいた世界と全く同じ世界と思えた。
 階段の下、意識も絶えそうになっているレンと、その喉もとへ落ちていたガラスの破片を突き刺そうとかまえているランの二人がいた。
 風邪の影響と体力の消耗、それにこの怪我でどうにかランの手を止めていても、それだけでいっぱいいっぱいで、これ以上は持ちこたえられる自信が無い。ランの手に一層力がはいったかと思うと、一旦手を引いてそのまま勢いよくそれを振り下ろす。もうだめか、とレンは恐怖に強く目を瞑った。そのときだった。
「楽しい?」
 ランの細くて白い手首を、大きなカイトの手がしっかりとつかんで離さなかった。
 よほど力がはいっているのだろう、ランは苦痛に顔をゆがめ、しっかりと握られたそのカイトの手を振り払おうとしているらしいが、到底そんなことはできないに決まっている。なにせ、カイトはランよりも根本的に力が強いのだから。
 そのとき、ランがその場に倒れこんだ。
「ら…ラン?…またかよ」
 倒れこんだまま、ランは眠っていた。

「レオン、もう、やめましょう」
「ミリアム!!裏切る気かッ!?」
「違う!あまり力を使いすぎないほうがいいといっているの。私たちみたいな半端者には、静かに暮らすのがあってるの、わかるでしょう!?」
 叫びあうレオンとミリアムを見つめていたルカとメイコはその光景に唖然とした。普通ならば男であるレオンが、上に立ってどうのこうの言うのだろうとおもっていたのが、なんとミリアムがレオンの髪の毛をつかんで、自分と目があうようにして叫んでいるのだ。
「す、すごいわね…」
「ええ。なんだか普通とは違うオーラを持っているとは思いましたが…。この豹変振りには…」
 苦笑いをするルカとメイコを無視して、ずっと不毛な言い合いを続けるミリアムとレオンに、メイコが痺れを切らして切り出した。
「…それで?さっきのネックレスはなんだったのか、教えてほしいんだけど」
「あれは、制御装置です。能力に制限をつくって制御をつけた相手の力を最大限まで引き出させないようにするための、特別製ネックレスです」
「へぇ。時代は日々進歩しているのね」
「主、ババ臭すぎます」
「失礼ね」

 
「それじゃあ、そちらもお大事に」
「ええ、ありがとう」
 館の前で、ミリアムとローラはメイコたちの頭を下げた。
 それをみて微笑むと、メイコたちは家へと帰る帰路についた。

「――てことで、この二人は、ウチに連れて帰ってしばらく様子見。いい?」
「そうして頂戴。リンも回復するまで、心配だしね」
「それでは、カイトさん、また今度。主、行きましょう」
「ええ」
 そういって、ルカとともにリンをおんぶしながら帰るメイコを見送ると、カイトは魔界へと帰る呪文を唱え始めた。

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  • 非営利目的に限ります

鏡の悪魔Ⅲ 17

こんばんは!りおんです!!
一応、戦いは終わりました。
プリマ(アンと名乗っていたほう)もミクの元へ帰りました。よかったですね。
あ、今日の要約、忘れないうちにやっときましょう。
「夏休み終わってくれるな」
これは自分のココロの中でした。ちゃんと今日の要約しましょう。
「なんかグダグダ」
いやぁ、わかりやすいっ
今日は比較的早めの時間なので、テンション上がってます。
それでは、また明日!!

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投稿日:2009/08/22 21:58:52

文字数:1,994文字

カテゴリ:小説

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