「はう、この卵焼き、すっごくおいしいです~♪」
幸せそうに、とろけた顔になるフワ。
「その卵焼きは、マスターの得意料理なんですよ」
そう言って、自分も卵焼きを食べるジミ。
「うーん、この甘さ加減が、卵と相性ばつぐんなんですよ」
「確かに、これはおいしいな。・・・あれ」
アカイトは、異変を感じたのか、ジミを見る。
「・・・なんか、俺の卵焼き、辛いんだけど・・・?」
「それは、アカイトさん用にって、マスターが」
にっこりと笑うジミ。
「それ、辛さ10倍らしいですから」
と、可愛らしくモコは言う。
「へぇー、そうかそうか。ありがとな」
そう言って、普通に辛さ10倍の卵焼きを食べるアカイト。
「・・・10倍ですよ?冗談で作ったんですけど、・・・大丈夫ですか?」
ジミは、心配そうに言う。
「ああ、大丈夫だから、俺。だって辛いもの大好物だし」
平気で言ってのけるアカイトに、
「・・・・そーですかー」
悔しげに、それだけ言うモコ。
「モコにゃん、どんまいだにゃん。次は、100倍でチャレンジにゃんよー」
「そうですね、ミンさん。協力してくれますか?」
「いいともー、にゃーん」
「おま、ぱくるんじゃねぇよ」
アカイトはミンを注意する。
「だって、協力してくれますか?と来たら、それしかないなっていうかなんというかにゃん」
全く反省の色がないミン。
「あの番組いいですよね~♪私、毎週見てますよ、金曜だけですけど」
フワがレトと2人で並んで、海老フライをもぐもぐ食べながら言う。
「え、そうなのか?・・・なんで金曜だけなんだ?」
グルトは聞いた。
「・・・だって、私の好きな人たちが出ているから、ついつい見ちゃうんです」
フワはそう言って、海老フライ2匹目に手を伸ばす。
「そうか・・・」
「グルトにゃんもライバル多くて大変にゃんねー。でも、諦めちゃだめにゃん。諦めなければ、いつかは必ず想い人に振り向いてもらえるにゃん」
「へぇー?そういうミンは、やっぱり経験豊富なのか?」
知った顔をしてグルトに言うミンに、アカイトは意地悪く質問する。
「・・・この、つくしの卵とじ、おいしいにゃん」
ミンは話題を逸らしたのだった。




「さて、恒例の自己紹介の時間だ。・・・なんか、毎回この時間になるまで、ずいぶんと時間がかかるような気がするんだが、まぁ、いいだろう。・・・それでは、そちらの方からどうぞ」
この自己紹介の時間だけは、やたらと仕切るバンは、ザ・モノクロというフレーズが似合いそうな人に話を振った。
『我の、名前は、彩音シキ。性別不明の、重体だ』
シキの声は、直接脳に響くようだった。その不思議すぎる声に、みんなの心は奪われる。
・・・しかし、伊達にツッコミ役を長年やってきていない、現役の赤色の人は違った。
「それを言うなら、意識不明の重体、だろ?それに、重体って何だ?」
『・・・それは迂闊だった。ニュース見て来たから、つい、使ってみたくなって・・・』
なんだか申し訳なさそうなシキに、
「・・・・・そうか。そうだよな、普通重体だなんて日常会話で使える代物じゃないもんな、うん」
アカイトは頷く。
「あの、さっきずーっと料理食べなかったですよね?・・・あの、これ、良かったら」
ジミが、さっきミンが絶賛していた、つくしの卵とじを乗せたお皿をシキの前に置く。
『・・・いいのか?』
「はい♪・・・ほんとは、卵焼きを食べて欲しかったんですけど、あいにくもう無くて・・・」
『・・・そうか』
そう言って、つくしの卵とじを一口食べるシキ。
すると、その姿が、一気にピンク色へと変わっていった。
そうして、みんなを驚かせた後、穏やかなのんびり口調で一言。
「おいしいですね」
「あ、さっきみたいに頭に直接響いてこないです」
モコが呟く。
「それは、この世界に実体化したからです」
さっきより、若干丁寧な口調で、シキは言った。
「私は、色とりどりの季節によって姿やら全部変わりますが、普段はモノクロ仕様なので、どうしてもこの世界ではそうなってしまうんです」
「そうなんですか」
感心したようにモコは頷く。
「へー、それはすごいな・・・。なぁ、みんなもう一人にも自己紹介してもらおうぜ。だいぶ長くなったし、そろそろ作者もバテてきたところだろうし・・・」
「そうだな。じゃあ、そちらの方、自己紹介お願いする」
アカイトの(余計な)一言に、バンはもう一人の黄緑色の眼帯をした青年に、話を振る。
「あ、はい。・・・ぼくは、簿音ミドリといいます。簿音は、うすいねと読みます。・・・好きでうすいんじゃないんです」
なにやらぶつぶつと呟いてるけど、小さい声だったらしく、みんなには分からなかったようだ。
「えっと、好きなものは、都市伝説とかで・・・、はい」
「へぇ、都市伝説ですかぁ。私も、興味あるんですよぉ」
フワがふわりと話題を広げようとして、言った。
「そうなんですか」
「はい。都市伝説といえば、やっぱり王道の口裂け女でしょうかぁ?」
にこりと怖いことをさらっと言ってのけるフワ。
「ああ、口裂け女は有名でいいですよね。・・・ちなみに、もし出会った時はどうしたらいいか分かりますか?」
「もちろん。ぽまーどぽまーどぽまーどって3回言えば、いいんでしょぉ?」
「そうですね、でも一番確実なのは、やはり、べっこう飴ですね。あれだったら、隙ができて逃げやすくなりますからね」
「あぁー、それもありましたねぇ」
「それで、口裂け女だけじゃなくて、口裂け男がいるって知りませんか?」
「えぇ、そんなんあるんですか」
ジミが目を丸くする。
「・・・ミンさん、怖いですね」
「そうだにゃん、怖いにゃん」
「・・・・・っ」
モコとミンとレトは怖いのか抱きついている。
「あはは、何だ?3人とも。怖いのか?」
「アカイトは、私が一番怖いと思っているからな、幽霊なんかは怖くないのだよ」
「おま、何言って」
「ほんとのことだろう?2人っきりになると、思いっきり甘えた声出すのにか?」
「え、アカイトがにゃおん?・・・うへぇ」
バンの証言じみた言葉に、ミンは顔をしかめる。
「何だよ、ミン。失礼だろうが。・・・それに、バン。お前、余計なこと言いすぎ」
ミンとバンに怒るアカイト。
「だって、ほんとに2人っきりになって私がアカイトに抱きついたら、抱きしめ返してくれるぞ?それに、私が実験をしようと準備している時に、後ろから抱きしめてくるんだぞ?『・・・今日は「あー、うるさいっ。そこまではあえて言うなよっ・・・!バン」
バンがアカイトの台詞を少し言ったところで、アカイトは遮った。
「え、『・・・今日は』・・・なんですか?続き気になりますよ」
「そうだにゃん。それに、まだまだ言っていいと思うにゃんよ、バンにゃん」
「・・・いや、これ以上はやめておこう。アカイトに怒られるからな」
バンは苦笑いして言った。



そうして、ホラーになりかけた場の雰囲気を、一気に変えたところで、もう外は夕方になりかけていた。

オレンジ色の淡い光が、空中に華麗に舞っている。



「今日は、ありがとうございました。思わぬところで友達ができましたし」
にこにこと笑顔のミドリ。
「そうですね、次もお会いできればよろしいですね」
ピンク色の姿のシキは穏やかに言った。
2人は、そう言って頭を下げて、研究所をあとにした。
みんなは、見送って、
「それでは、私とミンは帰ります。今日は、すっごい楽しかったです」
「そうだにゃんねー、やっぱりここはいいにゃんよー」
モコとミンも帰っていった。
「グルト、私たちも帰ろう。・・・それでは、失礼しました。やっぱり、ここはいいですねぇ♪」
「帰るか、フワ。・・・それじゃあな、今日もよかったぜ」
そう言って、フワとグルトも仲良く帰っていった。
「・・・お弁当、おいしかったですか?レトくん」
「うん」
ジミの言葉に、こくんと頷くレト。
「おいしかったぜ、ジミ。今度も、楽しみにしてるからな」
アカイトは普通に言ったはずなのに、何故かジミは顔を赤くした。
「・・・そっ、そんなこと・・・っ、アカイトさんが言わないで下さい・・・っ」
「えっ、俺、なんか変なこと言ったか?バン」
「主語のお弁当が抜けてるぞ、アカイト」
「あ、そうだったな。ごめん、ジミ。・・・ん?」
アカイトはジミに謝ってから、あることに気づく。
「・・・・ジミ、あのさ、お弁当の中身さ・・・金平ごぼうが無かったような気がするんだが・・・?」
「あっ!・・・忘れてました」
そう言って、泣きそうな表情で呟く。
「なにしろ、初めてのお弁当作りだったので、忘れていましたぁ・・・」
がっくりと肩を落とすジミに、
「・・・だいじょぶ」
レトは、まだ少し恥ずかしいのかはにかみつつも、そう言った。
「レトくぅん!私、アカイトさんに食べられるし、金平ごぼう忘れるし・・・うわあああああん!!」
「・・・だいじょぶ、だから」
「あー、何だ。俺、ジミちゃん食べた覚えがないんだが」
「・・・・口直しに、私を食べないか、我が愛するアカイト」
「何だよ、口直しって。バンは食べないで、眺めておくからな。・・・それと、愛するは余計だ」
ふいっとそっぽを向くアカイト。
「それじゃあ、私とレトくんも帰ります。今日は、ありがとうございました!また、今度、ですね」
「・・・ばいばい」
モコは満足げにそう呟き、レトは手を振って、2人は帰っていった。




「はぁ、みんな帰っちゃったな。・・・どうする?バン」
窓から夕日が差し込む、再び閉じた世界に戻る室内で、アカイトは、隣にいるバンを見る。
「そうだな・・・とりあえず」
バンは、そう言って、アカイトの両手首を捕まえた。
「・・・実験体になってもらいたいのだが・・・今更、逃げないよな?私の婚約者よ」
「・・・・・いいぜ、でもそんなに無理はできないからな?」
アカイトは、やけに色っぽい目で頷いたのだった。



 
    
日差しはどこか人を惹きつける。
次は、誰が、研究所を訪れるのだろうか・・・?




       一応、続く(はず)!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【コラボ】 シキとミドリの登場と料理といつもの時間をみんなで【後編】

こんばんは、長かったんだか短かったんだか春休みは終わって、また忙しくなり始めたもごもご犬ですこんにちは!
明日は、早速テストがある・・・orz
・・・それはさておき、今回は前編に引き続き、後編です!
今度は、シキとミドリくんも活躍はしていますので萌えていただければ幸いでs(黙

今後は、前みたいに忙しくはならないと思いますが、多少は忙しくなるので、もしかしたら投稿ペースがだくんと落ちるかもしれません。
そうなったら、慌てず騒がず、気長に待ってて下さい><
土・日は多分投稿出来る可能性が上がりますが、最悪な時は当分出来ない日が続くと思います。
・・・と、今のは推測なので、なんとも分かりませんが、一応話しときます><
それでは、失礼しましたよー!

閲覧数:99

投稿日:2010/04/07 19:14:04

文字数:4,166文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • あおと

    あおと

    ご意見・ご感想

    わー!お仕事早くてビックリです!!しかもシキが動いて喋ってるなんて・・・。
    自分が思っている以上にキャラを生かせてもらえてとても嬉しいです♪
    つくしの卵とじなんて素敵な食べ物で変化できてシキも喜んでいます(#^^#)
    使って下さりありがとうございました!!

    2010/04/18 11:24:23

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >あおとさん

      お仕事というより趣味でやってる感がします(笑)
      嬉しいと言って頂けてこっちも嬉しいです!
      今度は他の料理で挑戦してみようかと・・・!
      今度はいつになるか分かりませんが、楽しみにして下さると嬉しいです♪

      >桐生新さん

      かわいいですよね^^
      どんどん手が付けられないような気がs・・・こほん、頑張ります(笑)
      ジミちゃんは料理が上手いんですよね?、各家ごとに一人いたらいいと思います←
      そうですか!ありがとうございますー!(嬉)
      今後もお楽しみに♪

      2010/04/21 18:59:22

  • ねじのこ

    ねじのこ

    ご意見・ご感想

    うわー!ミドリが喋った!←

    他の小説も読ませていただきました!
    色んな方の亜種たちとも絡ませて頂いて…
    うちもミドリも友達が出来て良かったです(ほろり←
    本当にありがとうございました!

    2010/04/09 16:57:49

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >ねじのこさん

      自分の亜種が喋ると少なからず驚きますよねw←
      他の小説も読んで下さったようで、嬉しいです!
      そう言ってもらうと、やりがいを感じますね良かったですよw
      また次回は、いつになるか分かりませんが、読んで下さると嬉しいです!

      2010/04/10 13:54:12

  • 久我 愁

    久我 愁

    ご意見・ご感想

    テスト頑張れっ
    咲ちゃんが最近可愛くて仕方ないよ ケーキは咲に任せろw←

    2010/04/07 19:19:53

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >愁くん

      ありがとー、テスト頑張るよww
      咲ちゃん可愛いよねww
      ケーキ・・・あ、咲ちゃんいつか出させたいなぁー。
      それで、お弁当の次はケーキ・・・あはは、なんだか楽しそう♪
      今度、連絡するねー

      2010/04/07 19:30:38

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