少し昔の話  【シェアワールド】響奏曲【異世界側】

投稿者: usericonsunny_mさん

投稿日:2011/05/17 18:48:33 | 文字数:1,371文字 | 閲覧数:372 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン

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読んでいただき、ありがとうございました!

早速作品投稿です~
ほんの少し年若い(10代後半くらい?)なイメージで書いたのですが、なんだか皆落ち着いているなぁ。

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TEXT
 

「これを摘みに来たんだろ?」
そう言って近寄って来たのは先ほどの青い髪の男に朱茶の女性。その手には子供のバスケットがあった。中身を確認したのかきっちりと閉められていた蓋が開けられていて、その中から赤い鉱石のようにつやつやと輝く小粒の実が顔をのぞかせている。
「野いちご。今が旬だからね」
そう言いながら、一粒バスケットから失敬をしてぱくりと青い髪の男が食べた。そしてにんまりと幸せそうな笑みをその端正な顔に広げた。
「美味しい」
「あらずるい」
そう言いながら朱茶の髪の女も手を伸ばして、ぱくりとひとつバスケットからの苺をつまみ食いした。
「うん、美味しい」
ふふ、といたずらっ子のように笑って、はい、と女性は青い髪の男からバスケットを受け取り子供に渡した。
「こんなにたくさん、ジャムでも作るの?」
そう言って笑う朱茶の女性に、こくんと子供は頷いた。
「じいちゃんが、これのタルトが好物だから」
だから、と受け取ったバスケットを大切そうに抱きしめて子供は言った。その様子に、長髪の男が眉間皺を寄せたまま口を開いた。
「それでもこんな状況で、子供が一人で出歩くのは危険だ」
子供の不用意な行動を咎めるその口調に、だけど、と子供は思わず声を上げた。
「だけど、だって、どんな時でも楽しむ事を忘れちゃだめだって、ばあちゃんは言ってたもの」
感情的な口調で長髪の男に言い返して。けれど直ぐに子供はバツが悪そうに俯いた。
「魔物がいるってことは、しってるけど、でも、ばあちゃんが言ってたし、じいちゃんが好きなものだから。だから、」
それでも悪い事をしている後ろめたさと、助けてもらったのに口答えをしてしまった自分に居た堪れなくなり声がだんだんと小さくなっていく。
 と、うつむいてしまった子供の頭を、薄紅の女性がそっと撫でた。その柔らかな指の感触に子供が視線をあげると、大丈夫。というように薄紅の女性は微笑んでくれた。
「がくぽ、子供を叱らないで」
柔らかい調子で女性は長髪の男を諌めた。長髪の男性は彼女の言うことならば聞くようだった。女性の言葉に、申し訳ない、と男性は微かに目を伏せて言った。
「言いすぎたようだ。すまなかった」
そう言ってまっすぐに頭を下げてくる。
 塔の術者にまさか謝られるとは思わなかった。驚く子供に、私も野苺を貰っても良いですか?と薄紅の女性が訊ねてきた。驚きながらも、こくん、と頷いた子供に、ありがとう、と微笑んで。女性は子供のバスケットから野苺を二粒手に取った。
「はい、がくぽ」
そう言ってひとつを長髪の男に差し出す。薄紅の女性に叱られたせいなのか、微かに落ち込んでいる様子だった長髪の男が、良いのか?と確認するように子供に視線を向けた。
 こくん、と子供が再び頷くと長髪の男は女性から野苺を受け取り、ぱくりと食べた。それを見て、薄紅の女性も嬉しそうな笑みを浮かべて野苺を食べた。その甘酸っぱい、野原の味を楽しむように女性は頬をほころばせる。
「美味しい、ありがとう」
ね、と同意を求めるように見上げた女性に、そうですね。と長髪の男性も微かに微笑んだ。

 厳しい雰囲気を纏っていた長髪の男の微笑みは、なんだか珍しいもののような気がして。まじまじとその様子を眺める子供に、再び長髪の男は気まずげにひとつ咳払いをした。

響き、奏でよ。世界の音律――。

終わる世界に、彼等は生きる。
ある者は崩壊の謎を解く鍵を求めて旅に身を置き、
ある者は崩壊を食い止める術を探って研究を続け、
ある者は崩壊の余波から無辜の民草を護って戦い、
ある者は崩壊を続ける世界でも当たり前に暮らし、

そして、彼は。
『世界』を渡った。


 * * * * *

興味を持っていただいてありがとうございます。
当コラボは、共通の世界設定でそれぞれが話を書く、シェアワールド企画です。
『世界』さえ共有できれば、どのキャラを書くのか、どんな話にするのかといった部分は自由にしていただきたいと思っています(勿論、ピアプロ規約の範囲内で)

がっつり連載するも良し、ぽんと思いついたエピソード1話だけ投下するも良し!
基本は小説コラボですが、絵師さんや楽師さんの参加も大歓迎☆
かなり何でもアリのフリーダムな企画ですw どうぞお気軽にご参加くださいませ♪

コラボ参加は敷居が高い……という方は、『シェアワールド・響奏曲』タグを付けての企画参加もおk!
詳しくは掲示板の「参加の手引き」スレを御覧ください^^

参加にあたって疑問などありましたら、掲示板の「質問・要望」スレをお使いください(メンバー以外も書き込み可です^^)
または、主催宛に個人メッセージを送っていただいても構いません。
お気軽にどうぞ^^

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作品へのコメント2

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    ご意見・感想

    作品UPお疲れ様です!
    女王様ルカさん来た…!
    sunny_mさんのがくるか設定を見て最初に思ったのは「ルカさんが上」だったので
    イメージ通りで嬉しいです(*´▽`)
    かいめいのくいしんぼー!なんだよお前らかわいいじゃないかくそー!!
    一歩下がってるのかいつも出し抜かれてるのか分かんないとばっちりがくぽさん萌です。
    そしてぼっけぼけなくせに案外世渡りうまそうなカイトさんずるい。好きになるしかないじゃない←

    2011/05/26 11:57:53 From  とかこ

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    メッセージのお返し

    >とかこさん
    コメントありがとうございます?!
    無邪気系の女王様になっていきそうですよ、ルカさんはw
    がくぽは無邪気さに翻弄されると良いよ!!
    そして皆の行動のとばっちりを受けると良いよ!w
    というか、本当にがくぽさんはどこまで格好つけていられるか。それが問題です

    彼らが総じてくいしんぼうなのは、私のせいかもしれません←
    というか私が書く話には、食べ物が出てくる事が多いなぁw

    かわいいとか、好きになってもらったりとか、ありがとうございました!

    2011/05/27 23:40:30 sunny_m

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    その他

    くっそう先を越された!w
    もうね、読めば読むほど自分も早く書きたくて困りましたよw

    穏やかで無邪気なルカさんと生真面目ながくぽの主従も美味しいし、悪友っぽいカイトとがくぽの距離感も美味しいし(そう、こういうのを書きたいんですよ私も!何故かいつもSとか言われるけどw)
    あと野苺をつまみ食いするカイトとメイコが、なんか物凄くツボでした! 可愛い、けど子供をフォローする気遣いなんだろう、けどやっぱ可愛い……!

    落ち着いてる、と書いてますが、でもこう、無邪気さとか初々しさが抜け切ってない感じでいいですよ!
    「子供」ではなくなったけど、「大人」というにもまだ微妙な、そんな感じ。

    術の表現も凄く好きですー! きらきらしてて綺麗で、いいなぁ。
    脳内に森の光景が浮かんで、もうほんと美味しくいただきました!
    投下ありがとうございましたー!

    2011/05/17 23:21:50 From  藍流

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    メッセージのお返し

    >藍流さん
    先を越してしまいましたw
    というか、今藍流さんの方の作品を読んで鼻息が荒くなってしまっているのですw

    このカイトとがくぽの関係は、がくぽは常にとばっちりを受けているような気がします(笑)
    カイトに好き放題されて、メイコには無理難題を押し付けられる感じで。
    なんか気がつくと俺、もしかして貧乏くじ引いてないか?みたいなw
    でもルカさんが一番なので、他の人には容赦ない態度でいると思うのですがw
    それにしても、本当にがくぽさんはどこまで格好つけいてるのをどこまで維持できるのか…。

    初々しさは残っていますか…!良かった!!
    まだ世間知らずな無鉄砲さとか、そういうのがあるかもなぁ。と思いつつ書いたので^^

    ファンタジーっぽいのはホントあまり書いていないので、ちょっとどきどきしつつw
    こちらこそ、ありがとうございました☆

    2011/05/18 22:50:15 sunny_m

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