Apassionato

  6-1.

 会える時間は短かったけれど、私はすごく幸せだった。
 こんな幸せがあるなんて、私は全然知らなかった。
 学校に行って、お昼を一緒に食べて、塾の行き帰りも海斗さんは一緒に来てくれた。
 学会が終わって、海斗さんはかなり時間の融通がきくようになったみたいで、私が空いてるときはたいてい会いに来てくれた。
 会えないときは必ずメールや電話をしてくれた。パパとママが帰ってくる前や、遅くに帰ってきた二人が寝てしまった後なんかに、私は海斗さんと長々と話し込んでしまったことも何度かある。
 私が海斗さんと付き合い始めたことで、愛には散々冷やかされたし、クラスのみんなの視線もなんだか意味ありげで気恥ずかしいけれど、それもあんまり気にならない。
 海斗さんと他愛のない話をして、手をつないで歩いて。塾ばっかりでデートもできないけれど、そんなこと全然気にならなかった。
 海斗さんのすぐそばにいることが実感できていれば、それだけでもこれ以上にないくらいに幸せだったから。
 性格だけじゃなくて、海斗さんはすごく格好いい。海斗さんの細長くて凛々しい眉に、あの理知的な黒瞳。すっきりと通った鼻筋。意外と力があるのに、私より頭一つ分高い長身痩躯。クセのないサラサラした黒髪も素敵だ。服装もスマートで、無地のボタンダウンシャツにスラックスを綺麗に着こなしてる。本当に、あんな人が自分の彼氏だなんて信じられないくらいに格好いいと思う。
 けれど、そんな幸せが続いたのもたったの一週間だった。
 一週間後の金曜日からの二日間。
 その、私の人生すら左右することになったその二日間のことを、私は一生忘れないと思う。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

ロミオとシンデレラ 28 ※2次創作

第二十八話。


べ、別に海斗さんの容姿について全然描写をしてなかったなーとか思ったわけじゃないですよ。
二十八話にもなってそんなこと書いてたら、それこそ今更って思うじゃないですか。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・はい、ごめんなさい。忘れてたんです。

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投稿日:2013/12/07 13:07:13

文字数:717文字

カテゴリ:小説

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