準備が完了したところで、4人は宿屋の外へと出て行く。まず向かう場所は、イバーノの町の蒸気船乗り場である。そこへ向かうのも、夢のなかで見た先人たちの軌跡を辿るためだ。

 蒸気船乗り場へ向かう道中に、レンが口火を切った。

「みんな。僕たちが、これから行くイルヴァルス大陸にロアさんって言うヒトが居るみたいだね」

「ぼくは、そのヒトの事を覚えている……」

「フーガさん…私も、覚えています」

「えっ? ミクちゃんとチカンは知ってるヒトなの?」

 ロアと名のついた人物について2人は知っていた。

「昨日にね、私がリンちゃんとレン君に話した大きな剣を背中に装備した騎士のおじさんのことだよ」

「そのヒトは自分をロア・エリュティア・ハイゴーと名乗り、小さい頃のぼくにブルースカイ・ジークレフを渡してくれた……」

「じゃあ…そのロアさんが、父さんたちの仲間だった…ってことですか?」

 フーガはレンからの質問に対し、無言のまま頷いた。かつてのジークレフに導かれし者たちの仲間、即ち自分たちの親と旅していた事を意味する。

「お父さんたちがしてきた旅のことは、ロアさんが知っているはず……。だから、みんなでイルヴァルス大陸に行こう」

 町の港が見えてくると【蒸気船乗り場】と云う施設へと着いた。波とともに潮風が吹くと磯の香りがするのだ。
 海岸沿いの先へ広がる海に無数のカモメたちが鳴きながらこの場所へ来た旅人たちを出迎えていた。

 そんな風景である港の海上に浮かぶ大きな蒸気船には【Nelson Steam Works】と…この船を製作した会社の名前が表記されている。

 ミクたちは蒸気船に乗るためお金を支払うことにする。

「すみません。イルヴァルス大陸行きのお船に乗りたいのですが」

「はい、4名さまのご乗船なら26Gになります」


ミクは蒸気船乗り場のおばさんへ26G支払った
おこづかいが36Gから10Gになる


 そして……彼らは蒸気船へと乗り込んだ。次なる目的地、イルヴァルス大陸を目指すために……。

 蒸気船が出航前の汽笛を鳴らすと『ガシュッ ガシュッ ガシュッ ガシュッ』と機関が動く音が船体から発される。
 甲板上から縦に2本並んだ煙突からは、白い蒸気に混じる黒煙が吹いており、これから初めての船旅がはじまるのだ。

「キレイな海だね、みんな」

 そう仲間たちへ告げたミクは、甲板の手すりを握ったまま眼前に広がる青い海原を称えていた。頭に巻いたバンダナとツインテールを風に靡かせながら、新しい目的地への旅に青緑色の瞳を輝かせている。




──G clef Link 旅の始まり編 終──

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蒸気船の移動中BGMは耳ロボPさんの【ぐるぐる大航海】を再生してください!

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投稿日:2020/01/14 01:36:25

文字数:1,116文字

カテゴリ:小説

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