メカクシ団員は、直ぐ様会議室に集められた。シンタローに、ヒビヤ、マリーに、あのときはいなかった団員もちらほらといる。ヒビヤはどうやらニジオタコミュショーヒキニートの存在を見くびっていた。確かにそうだ。こんなアウトドア派のヒキニートがいるはずがない。しかもコミュニケーション能力ももしかしたら人並み以上はありそうな彼等が実はニジオタコミュショーヒキニート? 世界は何だか概念の付け方を間違えたのではないかと思ってもしまう。
「さて、メカクシ団員の諸君、会議を始めよう。内容は簡単だ。“カゲロウ作戦”を決行する」
 キドのその言葉を聞き、会議室はざわめきを隠せなかった。それほど重要な作戦であることが、団員全員が理解しているというのがあるのだろう。
「では、概要などを説明していく。まずは再び潜入、今度は箱庭内へと入っていく」
 その言葉を聞き、ヒビヤは驚いた。何故なら、前回の作戦でも“何故かヒビヤにだけ”箱庭内には入るなと灸を据えられていたからである。
「ヒビヤは恐らく箱庭へ入るなとあのときは命令した。だが、今回はヒビヤも入っていい。これは重大な作戦だ。失敗は許されない。いいな?」
 キドの言葉に、ヒビヤは頷く。
「よろしい。では――“メカクシ完了”」
 その言葉と共に、キドやヒビヤ含むメカクシ団団員はフードを深くかぶった。





 そして。
「……ここが、箱庭……」
 キドたちは再びあの高い壁へとやってきていた。
「ああ。これがそうだ。……さてと、入口を探さねば……」
「既に見つけてあるが?」
「さすがはシンタローだな。よし、では入っていこう」
「礼もなしか」
「……ありがとう」
「どういたしまして」
 そんなやりとりを交わして、メカクシ団は箱庭の中へと入っていった。






 “箱庭”。
 実質はヒビヤはそれしか知らない。それしか聞かされていない、といったほうが正しいのかもしれない。キドからの説明もなかったし、シンタローやコノハ、マリーも教えてくれなかったのでヒビヤは独り仲間はずれの感じになっていた。
「……ごめんね。何も分からなくて」
 そう慰めるようにつぶやくのはマリーだ。彼女はメデューサらしく、目を合わせると石になってしまうのだという。だが、実際は『彼女にその意志がなければ』石にさせることもないので、皆分け隔てなく仲間としている。
「いや、別に君が謝ることじゃないよ」
「そうだけど……、あなただけ解らないってのもちょっと……」
「マリー、あまりしゃべるなよ」
「それってまさかダジャレだったりします?」
「……?」
 キドはまったく解らないようだったがシンタローが後で笑っていたので、シンタローには解るものだった。どうやらこの団長、天然らしい。
「……とりあえず、箱庭に潜入した」キドはフードをさらに深くかぶった。「見たまえ。ここが箱庭だよ」
 キドの言葉に従い、ヒビヤはそこを見た。
 ――そこは見覚えのある信号機だった。
 ぞわり。ヒビヤの背中に冷や汗が走る。
「……まさか、」
「漸く解ってくれたようで嬉しいよ。ここは……箱庭。“君が前住んでいた世界”さ」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カゲロウプロジェクト 10話【自己解釈?】

勝手にオリジナルエピソードです。カゲロウ編終わらせるくらいの話です。

―この小説について―

この小説は以下の曲を原作としています。


カゲロウプロジェクト……http://www.nicovideo.jp/mylist/30497131

原作:じん(自然の敵P)様

『人造エネミー』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13628080 
『メカクシコード』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14595248
『カゲロウデイズ』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm15751190
『ヘッドフォンアクター』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16429826
『想像フォレスト』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16846374
『コノハの世界事情』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17397763 
『エネの電脳紀行』
『透明アンサー』
『如月アテンション』
ほか

――

閲覧数:1,479

投稿日:2012/05/25 23:56:27

文字数:1,306文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました